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ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)
21 (正しい交渉の仕方)
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「助かた」
クローゼットから出てきたロウが言う。
「どういたしまして…さて、これからどうしましょうか?」
「レナ、助けに行く…。」
部屋を出て行こうとするロウをジムが止める。
「闇雲に行っても掴《つか》まるだけです…落ち着いて…。」
ジムが辺りを見渡す。
銃はあるけどマガジンが無い…あれは?
「量子通信機…ですか。」
人工筋肉で出来た手で通信機を掴《つか》む。
緑色に光るポケットに入りそうなサイズの箱。
「それ、ハルミ、持ってた。」
「ハルミさんが?」
「通信設定はまだ残っていますね…。」
ジムはネット回線を通常回線から量子通信機に切り替える。
「さて…どなたが出るでしょうか…。」
「レナ達が掴《つか》まった?」
クオリアに起こされたナオが言う。
どうやら低所得者を蔑《ないが》ろにしていた政府に対して『パラベラム部隊』と名乗るテロリストが城を占拠したらしい。
「ああ、マズイ事になった。」
「救助は?」
「出来ない…タイミングが悪い事にあの後すぐ、海中のセンサーが反応を示した。
今日の午後当たりにまたワームと戦うはずだ。」
「戦うって言ったって3機で?いくら何でも無理だろう。」
6機でもやっとで余裕は無かったんだ…元々無茶だったが、これはもはや無謀のレベルだ。
「これ、昼までにDLで奇襲して奪還した方が早くないか?」
「行くだけならな…だがDLでは外の敵は叩けるが、城の内部には入れない。」
「まぁそうだな…。」
DLは4.5mの巨体だ…天井は2.5mなので、しゃがめばどうにかなるかもしれないが、苦労して入った所でロクに身動きも取れない。
『こちらジム、CQ、CQ』
ARウィンドウが開き、ジムのモニターが表示される。
「ジム、助かったのか…クオリアだ 状況は?」
『ロウさんと私は無事です…救出プランはありますか?』
「現状では、DLで乗り付けて壁に穴を開けて脱出させるプランが最適だと思われる。
ジム達は敵に気づかれず監禁場所を特定…回収まで人質を守る事。
殺傷は許可…ただし必要最低限に」
クオリアは自分の責任の元、勝手に殺傷許可を出す。
外交官を人質にしているし、相手は捕虜に成れないテロリスト…問題は無いだろう。
『了解…それでは。』
ARウィンドウが消え、通信が切れた。
「さて、私達はワーム戦について考えよう。」
ピンポーン
チャイムの音は580年経っても変わらないらしい。
時間は午前4時30分…人質が掴《つか》まってから30分が経過している。
まだ夜であり、この時間帯に来る客はロクな奴では無いだろう。
インターフォンに男の姿を映し出されている。
「どなたですか?」
ナオが聞く。
『『パラベラム部隊』です…お話があります。』
敵だと…。
ナオは クオリアとジガの方向を見る。
「問題ない…。」
「ああ良いぜ」
「仲間から許可が出た…今開ける。」
ナオは ショットガンでの壁抜きを警戒し、姿勢を低くしゃがみながら玄関に行き鍵を外してドアから離れる。
「鍵は外した…ゆっくりと入れ」
ドアが開き男が入ってくる。
ナオがしゃがんだ状態でリボルバーを向けている事に気づいた男はゆっくりとドアを閉め、手を上げてナオに近づく。
ナオが男の背後にまわり、頭にリボルバーを突き付け、片手でボディチェックをする。
「上着の下にホルスターがあるな…」
「ええ、用心の為…」
「ジガ手伝ってくれ」
「ああ」
ジガが上着を脱がし、ホルスターからグロックを抜き、セーフティを確認…その後マガジンを取り出しポケットにしまう。
6発じゃあ解決できない環境で生きている人か。
「身体をスキャンしているが、他に武器は無いみたいだ…。
もう警戒を解いても良いんじゃないか?」
「ああ」
ナオはリボルバーをホルスターにしまう。
「さあ、そこにソファがある…座って話そう…あいにく茶は出せないが。」
クオリアが『どうぞ』と向かいのソファーに手を向ける。
「ええ構いません…。」
男が座る。
テーブルを挟んでソファーにクオリアとジガ…その後ろに立った状態でいつでも銃を抜けるようにしているナオ…。
「名前は明かせませんが…『交渉官』と呼んでください。」
「状況は理解していますか?
あなた達の団体はこちらの外交官とボディガードを人質にし、王城で立てこもっていると…。」
「ええ知っています。
ですが、こちらとしても仕方ないのです…。
現状、私達には無能な都市長の元、ワームに殺される未来しかありません。
そう言った未来を回避する為、私達は立ち上がったのです。」
交渉官はしっかりと自信を持った声で答える。
「それで、そちらの要求は?」
「明日…いや、今日の早朝。
土木作業用のDL格納庫を我が決起部隊が制圧にかかります。
皆様方にはこれを援護して頂きたいのです。」
「十分に可能ですが…報酬は?」
「人質の解放…2個中隊の戦力の追加です。
これなら、犠牲は出るもののワームには対抗できます。」
1機あたり416機…砲撃による支援もあるから十分か…。
「私は条件としては良いと思う…如何だろうか?」
クオリアが言う。
「ウチとしても賛成だ…戦力は欲しい…ナオは?」
『クオリア…遠隔でDLを停止させる事は出来るか?』
ナオは少し考える素振りをしながら、クオリアとジガに内緒話通信で話しかける。
『実際難しい…そもそも遠隔操縦によって味方機が敵に寝返る事を防止する為の有人機だ。
エレクトロン対策で電源などを落とすには物理キーしかない。』
クオリアはこっちの考えを読み、答える。
『だよな…。』
『なら腹部のに爆弾を詰めて遠隔起爆させれば良いんじゃないか?
構造上内側からは脆《もろ》いだろうし、少量でも無力化は出来るぞ』
隣にいるジガが答える。
「分かった…どうせ人質が取られている以上、選択肢は無いんだ。」
考えが決まったナオは交渉官に言う。
「ありがとうございます。」
交渉官が手を差し出す。
「はぁ…テロリストと契約なんてな…。」
国際条約違反か?
ナオが交渉官の手を握り、契約は成立した。
クローゼットから出てきたロウが言う。
「どういたしまして…さて、これからどうしましょうか?」
「レナ、助けに行く…。」
部屋を出て行こうとするロウをジムが止める。
「闇雲に行っても掴《つか》まるだけです…落ち着いて…。」
ジムが辺りを見渡す。
銃はあるけどマガジンが無い…あれは?
「量子通信機…ですか。」
人工筋肉で出来た手で通信機を掴《つか》む。
緑色に光るポケットに入りそうなサイズの箱。
「それ、ハルミ、持ってた。」
「ハルミさんが?」
「通信設定はまだ残っていますね…。」
ジムはネット回線を通常回線から量子通信機に切り替える。
「さて…どなたが出るでしょうか…。」
「レナ達が掴《つか》まった?」
クオリアに起こされたナオが言う。
どうやら低所得者を蔑《ないが》ろにしていた政府に対して『パラベラム部隊』と名乗るテロリストが城を占拠したらしい。
「ああ、マズイ事になった。」
「救助は?」
「出来ない…タイミングが悪い事にあの後すぐ、海中のセンサーが反応を示した。
今日の午後当たりにまたワームと戦うはずだ。」
「戦うって言ったって3機で?いくら何でも無理だろう。」
6機でもやっとで余裕は無かったんだ…元々無茶だったが、これはもはや無謀のレベルだ。
「これ、昼までにDLで奇襲して奪還した方が早くないか?」
「行くだけならな…だがDLでは外の敵は叩けるが、城の内部には入れない。」
「まぁそうだな…。」
DLは4.5mの巨体だ…天井は2.5mなので、しゃがめばどうにかなるかもしれないが、苦労して入った所でロクに身動きも取れない。
『こちらジム、CQ、CQ』
ARウィンドウが開き、ジムのモニターが表示される。
「ジム、助かったのか…クオリアだ 状況は?」
『ロウさんと私は無事です…救出プランはありますか?』
「現状では、DLで乗り付けて壁に穴を開けて脱出させるプランが最適だと思われる。
ジム達は敵に気づかれず監禁場所を特定…回収まで人質を守る事。
殺傷は許可…ただし必要最低限に」
クオリアは自分の責任の元、勝手に殺傷許可を出す。
外交官を人質にしているし、相手は捕虜に成れないテロリスト…問題は無いだろう。
『了解…それでは。』
ARウィンドウが消え、通信が切れた。
「さて、私達はワーム戦について考えよう。」
ピンポーン
チャイムの音は580年経っても変わらないらしい。
時間は午前4時30分…人質が掴《つか》まってから30分が経過している。
まだ夜であり、この時間帯に来る客はロクな奴では無いだろう。
インターフォンに男の姿を映し出されている。
「どなたですか?」
ナオが聞く。
『『パラベラム部隊』です…お話があります。』
敵だと…。
ナオは クオリアとジガの方向を見る。
「問題ない…。」
「ああ良いぜ」
「仲間から許可が出た…今開ける。」
ナオは ショットガンでの壁抜きを警戒し、姿勢を低くしゃがみながら玄関に行き鍵を外してドアから離れる。
「鍵は外した…ゆっくりと入れ」
ドアが開き男が入ってくる。
ナオがしゃがんだ状態でリボルバーを向けている事に気づいた男はゆっくりとドアを閉め、手を上げてナオに近づく。
ナオが男の背後にまわり、頭にリボルバーを突き付け、片手でボディチェックをする。
「上着の下にホルスターがあるな…」
「ええ、用心の為…」
「ジガ手伝ってくれ」
「ああ」
ジガが上着を脱がし、ホルスターからグロックを抜き、セーフティを確認…その後マガジンを取り出しポケットにしまう。
6発じゃあ解決できない環境で生きている人か。
「身体をスキャンしているが、他に武器は無いみたいだ…。
もう警戒を解いても良いんじゃないか?」
「ああ」
ナオはリボルバーをホルスターにしまう。
「さあ、そこにソファがある…座って話そう…あいにく茶は出せないが。」
クオリアが『どうぞ』と向かいのソファーに手を向ける。
「ええ構いません…。」
男が座る。
テーブルを挟んでソファーにクオリアとジガ…その後ろに立った状態でいつでも銃を抜けるようにしているナオ…。
「名前は明かせませんが…『交渉官』と呼んでください。」
「状況は理解していますか?
あなた達の団体はこちらの外交官とボディガードを人質にし、王城で立てこもっていると…。」
「ええ知っています。
ですが、こちらとしても仕方ないのです…。
現状、私達には無能な都市長の元、ワームに殺される未来しかありません。
そう言った未来を回避する為、私達は立ち上がったのです。」
交渉官はしっかりと自信を持った声で答える。
「それで、そちらの要求は?」
「明日…いや、今日の早朝。
土木作業用のDL格納庫を我が決起部隊が制圧にかかります。
皆様方にはこれを援護して頂きたいのです。」
「十分に可能ですが…報酬は?」
「人質の解放…2個中隊の戦力の追加です。
これなら、犠牲は出るもののワームには対抗できます。」
1機あたり416機…砲撃による支援もあるから十分か…。
「私は条件としては良いと思う…如何だろうか?」
クオリアが言う。
「ウチとしても賛成だ…戦力は欲しい…ナオは?」
『クオリア…遠隔でDLを停止させる事は出来るか?』
ナオは少し考える素振りをしながら、クオリアとジガに内緒話通信で話しかける。
『実際難しい…そもそも遠隔操縦によって味方機が敵に寝返る事を防止する為の有人機だ。
エレクトロン対策で電源などを落とすには物理キーしかない。』
クオリアはこっちの考えを読み、答える。
『だよな…。』
『なら腹部のに爆弾を詰めて遠隔起爆させれば良いんじゃないか?
構造上内側からは脆《もろ》いだろうし、少量でも無力化は出来るぞ』
隣にいるジガが答える。
「分かった…どうせ人質が取られている以上、選択肢は無いんだ。」
考えが決まったナオは交渉官に言う。
「ありがとうございます。」
交渉官が手を差し出す。
「はぁ…テロリストと契約なんてな…。」
国際条約違反か?
ナオが交渉官の手を握り、契約は成立した。
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