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第一部
71.それ教え子に言っちゃダメじゃね?
しおりを挟む「で、どういうことですかユリアーナ様」
「言っている意味がわからないわ、エヴァ」
パーティの次の日、私は初のエヴァの授業日を迎えた。
「いろんなところに飛び回りすぎです。いつか体を壊しますよ」
「……どこまで知ってるの?」
「愚弟を買ってからフォーレイン家の令嬢と茶会をし、全属性の少女と会い、また私と会い教師と教え子になり、パーティで第一王女と友達に……までです」
―――ほぼ全部じゃん。
エヴァの情報収集能力が恐ろしい。
「さて、お小言はこれぐらいにして」
―――お小言だったのか。
「本日ユリアーナ様に教えるのは座学・魔法・武術です」
「やった……!」
武術はずっとやってみたかったのだ。
やっとできる!
興奮を隠せそうにない。
「まず先に座学から始めます」
「えー」
「ご褒美は後に取っておくのが学ばせるコツなのですよ。ちなみに本日はケーキを用意してあります」
―――それ教え子に言っちゃダメじゃね?
しかし私は座学が嫌いなわけではない。
ただ早く武術を習いたいだけだ。
「とりあえず、主属性は答えられますか?」
そんなの子供でも答えられる。
「火、水、風、地、空、光、闇の7つでしょ」
「その通りです」
火、水、風、地、光、闇の6つは名前の通りそれらを操る魔法だ。
残る1つ、空と言うのは他の6つをまとめたようなもので、補助系の魔法だ。
「主属性の相性はわかりますか?」
「火と水、風と地、光と闇が相性が悪い。火と風、水と地が相性が良い。それ以外は普通ぐらいよね」
「はい。その相性になる理由は知ってますか?」
「どっちも同じ威力の場合、火と水、風と地は打ち消し合う。風は火を強め、水と地は風化と侵食みたいに攻撃威力を高める」
「正解です」
ちなみに【治癒】や【回復】は水や風、光の属性があると威力が増し、火や地、闇は攻撃系の魔法が多い。
空は裏方が多く、【強化】や【速度向上】などの全体の総合力を高める効果がある。
空間系統魔法や時空解凍魔法は主属性とはまた違った属性が必要になる。
属性は生まれた時から決まっているものだが、魔力が増えると属性が増える。
その時もらえる属性はその人の性格や元の属性が影響するらしい。
ちなみに私は主属性7つに加えていくつか持っている。
―――いやぁ、マジで大変だったわ。
魔力を増やすためには魔力圧縮をする必要があるのだが、それがまた大変なのだ。
急な魔力圧縮をすると体が適応できず、目眩や吐き気、激しい頭痛が始まる。
非常に危険なため15歳から入る魔法学校に入るまで魔力圧縮は基本的に禁止なのだが……ルールってのは破るためにあるのだと前に本で読んだことがある。
きっと大丈夫だろう。
(※ユリアーナは前世で病室育ちなので常識をあまり知りません)
―――まだまだ魔力は少ないから頑張らないとね。
あと、勘違いされやすいが属性がなければその系統の属性を使えない……というわけではない。
属性があるとその魔法の威力が上がるというだけで、特別重要なことではないのだ。
けれど属性の有無は力量に差が出る。
あった方がいいのはたしかだ。
「その様子だと、七大魔法は使えるみたいですね」
「想像にお任せするわ」
―――とっくにおわかりでしょうけど。
聞く必要はないと思うが、一応私たちは先日初めて会った教師と生徒の設定だ。
付き合うとしよう。
「では、七大魔法を展開してみてください」
「ん、わかった」
感覚を研ぎ澄ませ、体にある魔力を集めた。
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