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蜜月
宝探し
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戻って来た日常を謳歌する。放課後は地下牢とはおさらばして、全力でイチャつこうと思っていたのだが、先輩はキャンプ道具探しを再開しようと提案してきた。
「早いとこキャンプ道具を集めちまおう。壊れてたら修理もしないといけないしな」
オレとしては先輩の部屋にしけ込み、昼休みの続きを早速にでも始めようと企んでいた訳で出鼻を挫かれた思いだったが、地下室暮らしで鈍っていた体をほぐしておく必要もあるかと、久し振りの校内探索を了承した。
「山本から手紙を貰ったんだ。まあ、当たるかは分からんが、今日は体育倉庫やその周辺を探してみよう」
プリントの裏を使った雑な手紙(?)には「6点(100点満点中)」と殴り書きされていた。意味は分からないが、人様の物を上から目線で採点する山センに腹が立ち、思わず握り潰して投げ捨てる所だったが、グッと堪えて手紙をじっくりと調べてみる。
ザラッとした床の上で書いたのか、プリントにはザラッと感がしっかり残っていた。そして、裏面には砂ではない細かな粉が付着しており触れた指先をわずかに白く汚した。
「これ、体育の時に使う白線引くやつか」
体育倉庫に目星を付けた理由を推理してみせると、正解だったらしく先輩は満足そうに頷いた。
「ちょっと面倒な場所だが、他の奴に見つかると余計ややこしくなる。早めに回収しておこう」
本当にキャンプに行けるかは置いといて、今や山センの遊び道具になってしまっている道具は早く回収してやりたい。異議などあるはずもなく、オレらは体育倉庫に足を向ける事にした。
校内には生徒の溜まり場になっている場所が何カ所かあり、その一つに体育倉庫は数えられる。ちゃんとした部活かは怪しいが、運動系の部活モドキは無数存在し、そいつらが拠点として体育館や体育倉庫を無断で使っている。部活なら部室棟がある訳だが、そちらには髭がいるせいか、遊び半分の奴らは近寄れないらしく、探索難易度は非常に高いエリアだったりする。
相手が三年や話の通じる二年なら、先輩を見て勝手に散ってくれるのだが、一年や話の通じない二年の場合は、オレに全力で絡んできやがるので面倒なのだ。
なので、奴らがボールを持ってグラウンドへ出払った頃合いを見計らい侵入する。
「小物だとありがたいね」
倉庫から出て来る人数を数え、オレは先輩にだけ聞こえる声で呟く。
「ん、大丈夫だ。多分、小さいと思うぞ」
隠し場所だけでなく、隠された物にまで心当たりがあるような口振りだ。それが何か聞こうとして止める。ここで話しているより、さっさと探して持って来る方が早い。オレらは周囲を確認して、体育倉庫に潜入を開始した。
中は薄暗く、こう何とも言い様のない嫌な臭いが充満している。ここは数少ない狭間の手が入っていない未開の地なのだ。掃除も換気も全く行われていないので、埃臭さに野郎共の体臭が混ざり、一刻も早く脱出したい。
快適な環境に慣れきったオレは、地獄のような宝探しをとっとと終えるべく、物が隠せそうな場所を探し、奥へと足を進める。
「あれ、なんか変な臭い混じってねぇ?」
極力呼吸を控えたかったのだが、折角の放課後をそんな黙々と過ごす気も起きず、普通にしていたら鼻が妙な臭いに気が付いた。出来れば倉庫内の空気に混ぜたくない臭い、何故か食べ物のにおいがした。
「あぁ、やっぱりそうか。手紙からにおいがしたから、そうじゃないかと思ってたんだが」
先輩が倉庫の隅にしゃがみ込んで、残念そうな声を上げた。どれどれと覗き込むと、とうもろこしの絵が付いた少し大きめの缶詰があった。
「キャンプの時に温かい飲み物が欲しいと思ってな。スープの缶詰を買っておいたんだが……まあ、しょうがないか」
そうだ、このちょっと甘いようなにおいは、コーンスープのにおいだ。場所が違えば至福だが、ここでは生ゴミの臭いに思えてくる。残念そうな先輩から缶詰を取り上げると、それは缶詰ではなく山センに勝手に食われた後の空き缶だった。
人の物を勝手に食うなよ! と当然の怒りが湧き、気が付いてしまった。山センが先輩に渡した手紙の意味が……。
「ッこんな場所で食ったら、そりゃ不味いに決まってんだろが!」
思わず空き缶を床に投げ捨ててしまった。空き缶はカランカランと派手な音を立て、出入り口の方へと転がっていく。
「セイシュン!?」
ヤバイと思う間もなく、オレは先輩に腕を引っ張られ、ボールが山と積まれたカゴの物陰に押し込められた。ご丁寧に口まで押さえられて。
「あっれ? 今さ、なんか音しなかった?」
「誰かいるんじゃね」
外から近づいて来る声にバクバクと心臓が鳴る。見つかったら終わりとか、そういう危機的状況でもないんだが、見つからずに済むならその方が何倍もいい。黙ってろと言いたげな先輩の目を見て、幽かに首を振って答えると、そろりと口を覆っていた手を離してくれた。
空き缶を蹴飛ばす音が聞こえた。さっきと同じく倉庫内に音が響く。
「コレの音だろ。どっかから落ちたんじゃねーの」
「誰だよ、こんなトコでリッチなスープ飲んじゃった奴!」
ギャハハと山センを馬鹿にする笑いが巻き起こる。そしてスコーンと軽快な音が聞こえ「缶蹴りでもやろうぜ」と倉庫から人の気配が遠のいていった。
「早いとこキャンプ道具を集めちまおう。壊れてたら修理もしないといけないしな」
オレとしては先輩の部屋にしけ込み、昼休みの続きを早速にでも始めようと企んでいた訳で出鼻を挫かれた思いだったが、地下室暮らしで鈍っていた体をほぐしておく必要もあるかと、久し振りの校内探索を了承した。
「山本から手紙を貰ったんだ。まあ、当たるかは分からんが、今日は体育倉庫やその周辺を探してみよう」
プリントの裏を使った雑な手紙(?)には「6点(100点満点中)」と殴り書きされていた。意味は分からないが、人様の物を上から目線で採点する山センに腹が立ち、思わず握り潰して投げ捨てる所だったが、グッと堪えて手紙をじっくりと調べてみる。
ザラッとした床の上で書いたのか、プリントにはザラッと感がしっかり残っていた。そして、裏面には砂ではない細かな粉が付着しており触れた指先をわずかに白く汚した。
「これ、体育の時に使う白線引くやつか」
体育倉庫に目星を付けた理由を推理してみせると、正解だったらしく先輩は満足そうに頷いた。
「ちょっと面倒な場所だが、他の奴に見つかると余計ややこしくなる。早めに回収しておこう」
本当にキャンプに行けるかは置いといて、今や山センの遊び道具になってしまっている道具は早く回収してやりたい。異議などあるはずもなく、オレらは体育倉庫に足を向ける事にした。
校内には生徒の溜まり場になっている場所が何カ所かあり、その一つに体育倉庫は数えられる。ちゃんとした部活かは怪しいが、運動系の部活モドキは無数存在し、そいつらが拠点として体育館や体育倉庫を無断で使っている。部活なら部室棟がある訳だが、そちらには髭がいるせいか、遊び半分の奴らは近寄れないらしく、探索難易度は非常に高いエリアだったりする。
相手が三年や話の通じる二年なら、先輩を見て勝手に散ってくれるのだが、一年や話の通じない二年の場合は、オレに全力で絡んできやがるので面倒なのだ。
なので、奴らがボールを持ってグラウンドへ出払った頃合いを見計らい侵入する。
「小物だとありがたいね」
倉庫から出て来る人数を数え、オレは先輩にだけ聞こえる声で呟く。
「ん、大丈夫だ。多分、小さいと思うぞ」
隠し場所だけでなく、隠された物にまで心当たりがあるような口振りだ。それが何か聞こうとして止める。ここで話しているより、さっさと探して持って来る方が早い。オレらは周囲を確認して、体育倉庫に潜入を開始した。
中は薄暗く、こう何とも言い様のない嫌な臭いが充満している。ここは数少ない狭間の手が入っていない未開の地なのだ。掃除も換気も全く行われていないので、埃臭さに野郎共の体臭が混ざり、一刻も早く脱出したい。
快適な環境に慣れきったオレは、地獄のような宝探しをとっとと終えるべく、物が隠せそうな場所を探し、奥へと足を進める。
「あれ、なんか変な臭い混じってねぇ?」
極力呼吸を控えたかったのだが、折角の放課後をそんな黙々と過ごす気も起きず、普通にしていたら鼻が妙な臭いに気が付いた。出来れば倉庫内の空気に混ぜたくない臭い、何故か食べ物のにおいがした。
「あぁ、やっぱりそうか。手紙からにおいがしたから、そうじゃないかと思ってたんだが」
先輩が倉庫の隅にしゃがみ込んで、残念そうな声を上げた。どれどれと覗き込むと、とうもろこしの絵が付いた少し大きめの缶詰があった。
「キャンプの時に温かい飲み物が欲しいと思ってな。スープの缶詰を買っておいたんだが……まあ、しょうがないか」
そうだ、このちょっと甘いようなにおいは、コーンスープのにおいだ。場所が違えば至福だが、ここでは生ゴミの臭いに思えてくる。残念そうな先輩から缶詰を取り上げると、それは缶詰ではなく山センに勝手に食われた後の空き缶だった。
人の物を勝手に食うなよ! と当然の怒りが湧き、気が付いてしまった。山センが先輩に渡した手紙の意味が……。
「ッこんな場所で食ったら、そりゃ不味いに決まってんだろが!」
思わず空き缶を床に投げ捨ててしまった。空き缶はカランカランと派手な音を立て、出入り口の方へと転がっていく。
「セイシュン!?」
ヤバイと思う間もなく、オレは先輩に腕を引っ張られ、ボールが山と積まれたカゴの物陰に押し込められた。ご丁寧に口まで押さえられて。
「あっれ? 今さ、なんか音しなかった?」
「誰かいるんじゃね」
外から近づいて来る声にバクバクと心臓が鳴る。見つかったら終わりとか、そういう危機的状況でもないんだが、見つからずに済むならその方が何倍もいい。黙ってろと言いたげな先輩の目を見て、幽かに首を振って答えると、そろりと口を覆っていた手を離してくれた。
空き缶を蹴飛ばす音が聞こえた。さっきと同じく倉庫内に音が響く。
「コレの音だろ。どっかから落ちたんじゃねーの」
「誰だよ、こんなトコでリッチなスープ飲んじゃった奴!」
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