299 / 411
蜜月
準備万端!!
しおりを挟む
先輩は扉を開け、頭をぶつけないよう少ししゃがんで室内に入る。空気が暖かく、廊下との温度差に少し驚いた。
「うお、マジか」
ゆっくり背中から下ろされたオレを出迎えたのは、狭い部屋のど真ん中に敷かれた布団だった。ヤル気を見せつけられたようで、ちょっとたじろぐ。
普段は一切触らないカーテンが引かれ、窓が見えないせいか、開放感とは無縁でやたらと胸がドキドキしてくる。
先輩のヤル気に答え、即行で脱衣を決めれば完璧なのだが、久し振りの雰囲気にオレは若干戸惑っていた。
「えーっと……あれ、それ何?」
せっかく布団を用意してくれているのだから、押し倒すくらいはオレから仕掛けるべきかと、頭で考えていると視界に見慣れぬ物を見つけてしまう。
「これって電気で動くストーブ?」
やたらレトロな作りの物体を指さすと、先輩は申し訳なさそうに笑って頷く。
「小さいけど、ないよりマシかと思ってな。倉庫から拝借してきた」
二つのワット数が対称に設置されたダイヤル式のスイッチ一つしかない代物で、年季を感じさせる佇まいだったが、先輩がダイヤルを捻ると数秒で目に見えて赤くなった。部屋が暖かかったのは、こいつのおかげかと冷えた手足をあぶっていると「何か体が温まる飲み物でも淹れるか」と先輩が暢気な事を言い出してしまった。
「セイシュン、ごめんな」
このままではゆるい空気に流されて、ウトウトしてしまう! そんな危機感を抱き、思い切って脱ぐかと気合いを入れた直後、先輩が背中越しに謝ってきた。
「放課後、補習になっちまって……」
オレは服を脱がず布団に座り、大人しく先輩を待つ事にした。
「別にいいよ。先輩が必死でやってるなら、オレもワガママ言わない」
教師に諭されるまで、散々文句を言いまくったのを反省はしているのだ。
「オレもちょっと勉強見ようか?」
教科書一式が全て揃った、先輩のクソ真面目な机を見ながら、ふとした思いつきを提案する。
「俺がやってるのは、セイシュンがまだ習ってない所だからな」
笑いながら言う先輩に、オレは阿呆みたいにやっていた事を思いだし、苦笑しながら答える。
「多分、大丈夫だと思うよ。圏ガクへの進学が早々に決まってたから暇でさ。高校の内容は一通り予習したんだ」
受験ではなく、卒業を目的とした内容なら、オレでもフォローしてやれると思ったのだが、先輩はバッとこちらを振り返り「嫌だ」と即答しやがった。
そりゃあオレに教わるより、不良と言えど教師である連中に教わる方がいいだろうが、即答が気に入らなくて「なんでだよ」と返してしまう。
「セイシュンを疑ってる訳じゃあないぞ。後輩に自分の面倒を見させるなんて……絶対に嫌なだけだ」
沽券に関わると言いたげな顔を見せられて「贅沢言うな!」と言い返しそうになるのを我慢した。
喧嘩しに来たんじゃあない。湧き上がる気持ちを抑え、頭を切り換える。お茶かコーヒーを用意している先輩の元へ四つん這いで近寄り、その背中に抱きついた。
「ん、どうした? 寒いのか?」
先輩の背中は、オレが乗っていたせいか、温かくて気持ちがよかった。頷けば「毛布もあるから使え」と言われたが、オレはそうじゃあないと教えてやる。
「毛布より先輩がいい」
首に腕を回し、体重を使って先輩を引き寄せ、二人で布団に倒れ込む。咄嗟に庇ってくれたのか、オレが先輩を押し倒すような形になっていた。
「湯冷めでもしたか? ちょっと待ってろ、すぐに温かい茶を淹れてやるからな」
オレの言葉を額面通りにしか受け取らない先輩は、尚更必要だとお茶を用意しようとしやがるので、至近距離で言ってやる。
「あのさ、オレずっと考えてたんだよね。かなり焦らされた分、今日はオレが先輩を掘ってもいいかなって」
唇の先を軽く触れさせると、困ったような顔で先輩は笑う。先輩の手が頭に伸ばされ、引き寄せられる。柔らかく額がぶつかり、オレは自然と目を閉じた。
「お前は俺に身を任せてたらいいんだ。何も考えず、横になってろ」
素直に返事をすると、途中で中断させられる。目の代わりに開いた口を塞がれた。
完全にのし掛かっているのに、先輩はオレをどけようともせず、オレが望むままに舌先で答えてくれた。興奮しているのか、口の中に唾液が溢れ、それを流し込むように舌を絡める。
自分で言い出した事だが、今日オレが先輩を掘るのは無理そうだった。急激に体温が上がった体はごく一部を除いて、芯まで茹で上がったように力が入らなかった。
体だけでなく思考まで蕩け、いつの間にか布団の上に仰向けに寝転がっていた。目を開けると、オレを見下ろす先輩と目が合う。
「……ふく、脱ごうか?」
肌に触れる布団の冷たさにも興奮を覚える。おぼつかない手でシャツを胸元まで上げると、冷たい手が触れたせいか、もう乳首が主張していて笑えた。
「布団が温まるまで脱がなくていい。着たままでも十分やれるから」
「やれるって、なにを?」
何をされるんだと期待の目で見つめると、先輩は「んーなんだ、マッサージ……みたいな」と歯切れの悪く呟いた。そして、オレを抱えるように座り、首筋に甘噛みをした。
「うお、マジか」
ゆっくり背中から下ろされたオレを出迎えたのは、狭い部屋のど真ん中に敷かれた布団だった。ヤル気を見せつけられたようで、ちょっとたじろぐ。
普段は一切触らないカーテンが引かれ、窓が見えないせいか、開放感とは無縁でやたらと胸がドキドキしてくる。
先輩のヤル気に答え、即行で脱衣を決めれば完璧なのだが、久し振りの雰囲気にオレは若干戸惑っていた。
「えーっと……あれ、それ何?」
せっかく布団を用意してくれているのだから、押し倒すくらいはオレから仕掛けるべきかと、頭で考えていると視界に見慣れぬ物を見つけてしまう。
「これって電気で動くストーブ?」
やたらレトロな作りの物体を指さすと、先輩は申し訳なさそうに笑って頷く。
「小さいけど、ないよりマシかと思ってな。倉庫から拝借してきた」
二つのワット数が対称に設置されたダイヤル式のスイッチ一つしかない代物で、年季を感じさせる佇まいだったが、先輩がダイヤルを捻ると数秒で目に見えて赤くなった。部屋が暖かかったのは、こいつのおかげかと冷えた手足をあぶっていると「何か体が温まる飲み物でも淹れるか」と先輩が暢気な事を言い出してしまった。
「セイシュン、ごめんな」
このままではゆるい空気に流されて、ウトウトしてしまう! そんな危機感を抱き、思い切って脱ぐかと気合いを入れた直後、先輩が背中越しに謝ってきた。
「放課後、補習になっちまって……」
オレは服を脱がず布団に座り、大人しく先輩を待つ事にした。
「別にいいよ。先輩が必死でやってるなら、オレもワガママ言わない」
教師に諭されるまで、散々文句を言いまくったのを反省はしているのだ。
「オレもちょっと勉強見ようか?」
教科書一式が全て揃った、先輩のクソ真面目な机を見ながら、ふとした思いつきを提案する。
「俺がやってるのは、セイシュンがまだ習ってない所だからな」
笑いながら言う先輩に、オレは阿呆みたいにやっていた事を思いだし、苦笑しながら答える。
「多分、大丈夫だと思うよ。圏ガクへの進学が早々に決まってたから暇でさ。高校の内容は一通り予習したんだ」
受験ではなく、卒業を目的とした内容なら、オレでもフォローしてやれると思ったのだが、先輩はバッとこちらを振り返り「嫌だ」と即答しやがった。
そりゃあオレに教わるより、不良と言えど教師である連中に教わる方がいいだろうが、即答が気に入らなくて「なんでだよ」と返してしまう。
「セイシュンを疑ってる訳じゃあないぞ。後輩に自分の面倒を見させるなんて……絶対に嫌なだけだ」
沽券に関わると言いたげな顔を見せられて「贅沢言うな!」と言い返しそうになるのを我慢した。
喧嘩しに来たんじゃあない。湧き上がる気持ちを抑え、頭を切り換える。お茶かコーヒーを用意している先輩の元へ四つん這いで近寄り、その背中に抱きついた。
「ん、どうした? 寒いのか?」
先輩の背中は、オレが乗っていたせいか、温かくて気持ちがよかった。頷けば「毛布もあるから使え」と言われたが、オレはそうじゃあないと教えてやる。
「毛布より先輩がいい」
首に腕を回し、体重を使って先輩を引き寄せ、二人で布団に倒れ込む。咄嗟に庇ってくれたのか、オレが先輩を押し倒すような形になっていた。
「湯冷めでもしたか? ちょっと待ってろ、すぐに温かい茶を淹れてやるからな」
オレの言葉を額面通りにしか受け取らない先輩は、尚更必要だとお茶を用意しようとしやがるので、至近距離で言ってやる。
「あのさ、オレずっと考えてたんだよね。かなり焦らされた分、今日はオレが先輩を掘ってもいいかなって」
唇の先を軽く触れさせると、困ったような顔で先輩は笑う。先輩の手が頭に伸ばされ、引き寄せられる。柔らかく額がぶつかり、オレは自然と目を閉じた。
「お前は俺に身を任せてたらいいんだ。何も考えず、横になってろ」
素直に返事をすると、途中で中断させられる。目の代わりに開いた口を塞がれた。
完全にのし掛かっているのに、先輩はオレをどけようともせず、オレが望むままに舌先で答えてくれた。興奮しているのか、口の中に唾液が溢れ、それを流し込むように舌を絡める。
自分で言い出した事だが、今日オレが先輩を掘るのは無理そうだった。急激に体温が上がった体はごく一部を除いて、芯まで茹で上がったように力が入らなかった。
体だけでなく思考まで蕩け、いつの間にか布団の上に仰向けに寝転がっていた。目を開けると、オレを見下ろす先輩と目が合う。
「……ふく、脱ごうか?」
肌に触れる布団の冷たさにも興奮を覚える。おぼつかない手でシャツを胸元まで上げると、冷たい手が触れたせいか、もう乳首が主張していて笑えた。
「布団が温まるまで脱がなくていい。着たままでも十分やれるから」
「やれるって、なにを?」
何をされるんだと期待の目で見つめると、先輩は「んーなんだ、マッサージ……みたいな」と歯切れの悪く呟いた。そして、オレを抱えるように座り、首筋に甘噛みをした。
0
あなたにおすすめの小説
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
狂わせたのは君なのに
一寸光陰
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※この物語はフィクションです。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。
■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる