圏ガク!!

はなッぱち

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蜜月

馬鹿によるバカ騒ぎ

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 それはめでたいのか? 疑いが視線に乗って柏木に刺さり、ふふふと不気味な笑いが奴の口から漏れた。

「お話を聞くに君も満更ではないのでしょう。金城先輩の君への心遣いの証。何を恐れる必要があるのです」

 先輩を出されると、納得出来てしまう自分がちょっと可愛い。先輩がオレを気持ちよくさせようと頑張ってくれたから、えーっと『ところてん』だったか? そういうのが出来るようになったって事だよな。悪い気はしないな、うん。

「しかし、君も懲りませんね。ここへ来ている事を金城先輩に知られれば、またいらぬ心配をかけますよ」

 懲りないのはお互い様のような気もする。先輩から説教を受けたのは柏木も同じで、オレの存在はこいつにとっては迷惑そのものだろうに、性懲りもなく生徒会の扉を叩いたオレを招き入れてくれた。

「しょうがねぇだろ……こんな話、他の奴には出来ないし」

 情けなさを承知で素直に白状すると、柏木は意外そうな顔を見せた。

「春日野君や名前は存じませんがそのご友人がいるではないですか」

 スバルやコウスケに自分の弱みを見せたくない。先輩も友だちは選べって怒ってたし。

「ふむ確かに……信用に足る人物ではありませんね。あぁ、なら狭間君がいるではないですか。彼なら信用は十分、同室ですし気心知れているのでは?」

「そんなん出来る訳ねぇだろ!」

 即座に否定すると、柏木は「何故です?」と返してきた。オレだって、仲良い奴らに相談出来たら苦労していない。

「だって……ホモだって知られて嫌われたくない」

 なんか生ぬるい表情を向けられた。

「大丈夫ですよ。きっと、その程度の事で嫌われたりしませんよ」

「悪かったな根性無しで」

 ジト目で睨むと、嫌味のない声で笑われた。屈辱を感じながらも、気を使わず出された菓子を貪れる程度に居心地のいい空間だった。

「君の話を聞くに、随分と金城先輩に可愛がられているご様子。しかし、君は本当にそれでいいのですか?」

「は?」

 粉っぽい茶菓子を流し込む為、冷めた紅茶をグビグビやっていると、柏木は妙な事を言い出した。

 男として『可愛がられる』という不名誉を受け入れるのかという難問か。女役を引き受けてしまっている時点で、その程度は軽く流せると思ったが、人から指摘されると確かに喉に引っかかるような気持ちがするな。

「いえ、そうではなくですね、まるで……」

「先輩! 接待ってどういう事だよ!」

「な、なんだ、いきなり。接待?」

 週末恒例の先輩部屋への訪問。オレは部屋へ入るなり、先輩の背中を飛び降り詰め寄った。



 無手射精について詳しそうな奴に話を聞いた時、そいつは言ったのだ。

「いえ、そうではなくですね、まるで……性接待を受けているような印象を受けましたので」

 せいせったい……一瞬、何を言われているのか分からなかったが、頭の中で音が文字に変換され、オレは激怒した。

「ふざけんな! なんでそんな、性接待!? 接待って……ンな訳あるか!」

「じゃあ、僕が聞き逃してしまったのかもしれません。改めて聞きましょう。君は金城先輩が……」



 柏木の衝撃的な一言で目が覚めた。いや夢から覚めてしまったのだ。

「オレ……先輩がイったとこ、一回も見てないんだよ。先輩、オレとセックスして射精した?」

 自分で言って改めて衝撃を受けた。先輩はオレとセックスしても射精しないのか!?

「ちょっと落ち着け。セイシュン、何を言ってるんだ」

 パニクるオレを先輩は宥めようとする。けれど、そんな事でオレは誤魔化されない! 再度、同じ質問を投げつけると、先輩は観念したように口を開いた。

「してるに決まってるだろ。あそこまでして、おさめるのは不可能だ」

「でも、オレ見てない。先輩が射精するとこ見てない」

「お前は出したら寝ちまうからな。だから、見ていなくて当たり前だ」

「起こせよ!! 起きなかったら、顔でも口でも、ケツの中とか! ぶっかけろよ! ぶちまけろよ!」

 オレの反論に先輩は絶句した。しかし、それはオレが論破した訳ではなさそうだった。

 用意されていた布団を軽く畳み部屋の端へとやり、先輩は椅子を二つ向かい合わせで置く。座れと促され席につくと、怒気を孕んだ声がオレの名前を呼んだ。

「生徒会には出入りするなって注意したよな」

 柏木を尋ねた事がバレてしまった。後ろめたさは多少あるが、そんな些細な事はどうでもよかった。

「別に生徒会は関係ねぇよ。オレと先輩の話だろ。答えろよ。なんでオレで射精しないのか」

 先輩は大真面目な顔で「してるって言ってるだろ」と繰り返す。ぶっかけないのは何故だと問うと、頭痛を堪えるような顔で「後始末が大変だからだ」と答えた。

「後始末なら、起きてからオレにやらせればいいだろ」

「真夜中に冷たい水道で顔を洗わせるなんて可哀想だろ」

 そんなもん、好きな奴に射精して貰えない方がずっと可哀想だ。
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