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蜜月
年下の家庭教師
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「オレ、先輩が安心して好きになれるよう頑張るから、もう一度、オレと恋人としてやり直してくれ」
記憶をリセット出来たらいいのだが、それこそ自分がやらかしたヘマの代償を先輩に払わせる事になる。出来ない話だが、そこは自分で選んで選択肢から外したと思いたい。
「どういう意味だ? 俺はセイシュンと別れる気はないぞ」
不安そうに先輩が言う。うぅぅ嬉しい。ケツで名前を呼ぶ奴だろうと見捨てない先輩の心の広さに溺れたい。
「セックスするだけが恋人じゃあないって分かったから……先輩が安心出来るまでセックス封印する。週末お泊まり会を当分見送ろうと思う」
オレは全力で言い切った。エロマンガで学んだ恋人のあり方……それを実践する! なんかすごい矛盾を感じるが、自分の性欲をコントロールするという壮大な目標を今ここに宣言した……のだが、先輩が即座に目標の難易度を上げてきた。
「いや……週末は俺の部屋に来てくれ」
最初にあった迷いが消えた先輩は、真面目な顔で振り絞るように言った。
「セイシュン、俺に勉強の仕方を教えてくれ」
そして言い終わった後、後悔するようにぐっと呻いた。
「情けないんだが……」
切腹でもしそうな声だった。
「このままでは、冬休みが補習で埋まると言われた。休み前の試験で赤点取ったら、残留組の先生方では面倒見きれんらしい。最悪、残留出来なくなる」
すごい暗い顔になった。冗談ではないらしい。受験組に合流して勉強合宿か……卒業後の進路も決まってるし、そんなのほっときゃいいのに圏ガクの教師って意外に真面目だよな。まあ、OBの元に送り出す生徒だから、色々と面倒なのかもな。芭灯とかいう刑事のオッサンと守峰の間にはとんでもない軋轢ありそうだしな。
「自力では限界だ。ここ数日で更に悪化した……恥を承知で頼みたい。情けない所を見せるが、助けてくれないか」
言われなくても助ける。てか、言われないと助けられないか。前は嫌だって言われたしな。プライドとの折り合いに真剣な先輩には悪いが、嬉しくて口元が緩んでしまった。
先輩にしてもらうばっかりじゃあなく、オレも先輩にしてあげられる事があるって分かって嬉しかったのだ。
「任せてよ! こう見えて十年以上ガリ勉やってたんだ。絶対に先輩を赤点から助けてみせる!」
テンションの上がったオレを見上げて先輩も少し笑ってくれた。もしかしたら、また先輩に気遣いをさせてしまったのかもしれないが、そこにはしっかり乗っかっておく事にした。
赤点と釣り合ってしまう程度のプライドは捨ててしまえ。そんなもんなくても、先輩はすごい奴なんだってオレは知ってるからな。
先輩との生活はこの日を境に更に一変した。昼休みは昼食を一緒に食べるが、午後からの効率を上げる為に余った時間は先輩を仮眠させる。先輩が補習に向かう放課後、オレは図書室に直行して二年や三年の教科書や参考書をかき集め、夕食後の自習タイムの為の教材作りに精を出す。
夕食と風呂を済ませ、先輩を旧館に呼び出し、担任に許可を貰った空き部屋にて自習を開始する。
「セイシュン、オレの部屋では駄目なのか?」
事前に狭間に相談したおかげで、即使用可能な勉強部屋になっていた。部屋には暖房器具こそないが、机とイスがちゃんと二人分用意されていて完璧だった。
「絶対に駄目。色々な物で集中が乱れるから、これくらい何もない方がいいんだよ。ほら、始めよう」
先輩は殺風景な部屋にちょっと不満がありそうだったが、勉強するなら周りはシンプルな方がいいのだ。強引に部屋に押し込み、席に着く。
「じゃあ先輩、今やってる所を教えてくれる?」
「あ、うん。言われた物は持ってきたぞ。これ……だな。あと、温かい飲み物も買ってきた。飲みながらやろう」
ノート類と課題を机に置き、先輩はそれらを広げる事なく、缶ジュースを二本オレの方へと差し出した。ココアとミルクティー、どちらがいいと嬉しそうに聞いてくる。
「先輩……まだ始まってもないのに休憩しようとすんなよ。ジュースは後だ」
「え! で、でも今なら温かいぞ。飲みながらやろう。それとも、この味嫌いだったか?」
暢気だ。俄然、自分の必要性を感じる。缶を二つとも没収して、一番上にあった小学生のような書き取りの課題を先輩の前に置く。
「まず授業内容を確認したいから、それやってて。ジュースは後。これ冷めても美味しいから心配すんな」
先輩は目に見えてシューンとしてしまった。ジュース飲んで楽しい雰囲気を演出してやりたいが、冬休みが吹っ飛びそうな現状で、そんな悠長な事は言ってられない。先輩のやってきた課題や、教師の癖を知る為に持ってきて貰った授業内容を記したノートを確認する。
三年の授業を受け持っている教師と、一年であるオレは接点がほぼない。ついでに言うと、圏ガクの教師は癖の強い奴が多い。なので、可能なら一度くらいは授業を覗きに行けたらベストなんだが、さすがに無理なのでノートを回収したのだ。
「おっ、ちゃんと写してるじゃん」
ページを開くとノートは全体的に黒かった。筆圧が強いな。シャーペンでなく鉛筆を使っているのか。チラッと前を見ると、小さなナイフで鉛筆を削っていた先輩と目が合った。
記憶をリセット出来たらいいのだが、それこそ自分がやらかしたヘマの代償を先輩に払わせる事になる。出来ない話だが、そこは自分で選んで選択肢から外したと思いたい。
「どういう意味だ? 俺はセイシュンと別れる気はないぞ」
不安そうに先輩が言う。うぅぅ嬉しい。ケツで名前を呼ぶ奴だろうと見捨てない先輩の心の広さに溺れたい。
「セックスするだけが恋人じゃあないって分かったから……先輩が安心出来るまでセックス封印する。週末お泊まり会を当分見送ろうと思う」
オレは全力で言い切った。エロマンガで学んだ恋人のあり方……それを実践する! なんかすごい矛盾を感じるが、自分の性欲をコントロールするという壮大な目標を今ここに宣言した……のだが、先輩が即座に目標の難易度を上げてきた。
「いや……週末は俺の部屋に来てくれ」
最初にあった迷いが消えた先輩は、真面目な顔で振り絞るように言った。
「セイシュン、俺に勉強の仕方を教えてくれ」
そして言い終わった後、後悔するようにぐっと呻いた。
「情けないんだが……」
切腹でもしそうな声だった。
「このままでは、冬休みが補習で埋まると言われた。休み前の試験で赤点取ったら、残留組の先生方では面倒見きれんらしい。最悪、残留出来なくなる」
すごい暗い顔になった。冗談ではないらしい。受験組に合流して勉強合宿か……卒業後の進路も決まってるし、そんなのほっときゃいいのに圏ガクの教師って意外に真面目だよな。まあ、OBの元に送り出す生徒だから、色々と面倒なのかもな。芭灯とかいう刑事のオッサンと守峰の間にはとんでもない軋轢ありそうだしな。
「自力では限界だ。ここ数日で更に悪化した……恥を承知で頼みたい。情けない所を見せるが、助けてくれないか」
言われなくても助ける。てか、言われないと助けられないか。前は嫌だって言われたしな。プライドとの折り合いに真剣な先輩には悪いが、嬉しくて口元が緩んでしまった。
先輩にしてもらうばっかりじゃあなく、オレも先輩にしてあげられる事があるって分かって嬉しかったのだ。
「任せてよ! こう見えて十年以上ガリ勉やってたんだ。絶対に先輩を赤点から助けてみせる!」
テンションの上がったオレを見上げて先輩も少し笑ってくれた。もしかしたら、また先輩に気遣いをさせてしまったのかもしれないが、そこにはしっかり乗っかっておく事にした。
赤点と釣り合ってしまう程度のプライドは捨ててしまえ。そんなもんなくても、先輩はすごい奴なんだってオレは知ってるからな。
先輩との生活はこの日を境に更に一変した。昼休みは昼食を一緒に食べるが、午後からの効率を上げる為に余った時間は先輩を仮眠させる。先輩が補習に向かう放課後、オレは図書室に直行して二年や三年の教科書や参考書をかき集め、夕食後の自習タイムの為の教材作りに精を出す。
夕食と風呂を済ませ、先輩を旧館に呼び出し、担任に許可を貰った空き部屋にて自習を開始する。
「セイシュン、オレの部屋では駄目なのか?」
事前に狭間に相談したおかげで、即使用可能な勉強部屋になっていた。部屋には暖房器具こそないが、机とイスがちゃんと二人分用意されていて完璧だった。
「絶対に駄目。色々な物で集中が乱れるから、これくらい何もない方がいいんだよ。ほら、始めよう」
先輩は殺風景な部屋にちょっと不満がありそうだったが、勉強するなら周りはシンプルな方がいいのだ。強引に部屋に押し込み、席に着く。
「じゃあ先輩、今やってる所を教えてくれる?」
「あ、うん。言われた物は持ってきたぞ。これ……だな。あと、温かい飲み物も買ってきた。飲みながらやろう」
ノート類と課題を机に置き、先輩はそれらを広げる事なく、缶ジュースを二本オレの方へと差し出した。ココアとミルクティー、どちらがいいと嬉しそうに聞いてくる。
「先輩……まだ始まってもないのに休憩しようとすんなよ。ジュースは後だ」
「え! で、でも今なら温かいぞ。飲みながらやろう。それとも、この味嫌いだったか?」
暢気だ。俄然、自分の必要性を感じる。缶を二つとも没収して、一番上にあった小学生のような書き取りの課題を先輩の前に置く。
「まず授業内容を確認したいから、それやってて。ジュースは後。これ冷めても美味しいから心配すんな」
先輩は目に見えてシューンとしてしまった。ジュース飲んで楽しい雰囲気を演出してやりたいが、冬休みが吹っ飛びそうな現状で、そんな悠長な事は言ってられない。先輩のやってきた課題や、教師の癖を知る為に持ってきて貰った授業内容を記したノートを確認する。
三年の授業を受け持っている教師と、一年であるオレは接点がほぼない。ついでに言うと、圏ガクの教師は癖の強い奴が多い。なので、可能なら一度くらいは授業を覗きに行けたらベストなんだが、さすがに無理なのでノートを回収したのだ。
「おっ、ちゃんと写してるじゃん」
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