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蜜月
コタツとみかんと忍者と
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「セイシュンは本当にコタツが好きだな」
先輩はみかんを三つほど持ってコタツに戻ってきた。みかんに釣られて上半身を起こすとちょっと後悔しそうなくらい寒かった。自分で剥く事を放棄して布団を肩まで引っ張り上げると、先輩は何故か嬉しそうな顔を見せる。
「コタツ嫌いな奴とかいないだろ、絶対」
オレの前に大きく剥いた皮を置き、やや豪快なサイズに割ったみかんが先輩の手によって用意された。白い部分を丁寧に取り除いて、一つずつ大事に食べるのも好きだが、郷に入りては郷に従おう。三分の一ほどを一気に頬張ると、缶詰のような甘さが口いっぱいに広がった。寒い冬にコタツで美味い物を食べる……最高だ。
「何か見たいものがあるって言ってたが、この部屋で大丈夫か?」
みかんを口に運びながら先輩が聞いてくる。みかんの甘さに驚いたのか、先輩はそろりとオレの前に自分の分も置いた。
「別にどこでも大丈夫。これで見られるから」
コタツの中に放置していたタブレットを取り出して見せる。
「こうゆうのは使えないんじゃないか? ネットにつながってないと駄目だろ」
不思議そうにオレの手元を見る先輩。由々式から聞いた事をそのまま伝えると、ちょっと感心したように唸った。
「お前の身内はすごいな」
新興宗教をおっ始めたり、圏ガクの抜け道フル活用したり、確かにすごい奴だと思うが、見方によってはオレ以上の問題児な気もするけどな。
ロックされていないタブレットを操作して、由々式が用意してくれた動画を見れるように準備していると「何を見るんだ?」と、ついに聞かれてしまった。
先輩の名前の元ネタになったキャラクターが出てる番組だよ……頭の中でなら言えるのだが、オレはちょっと口籠もりながら「なんか人気あるアニメと、そのオリジナルだって」由々式に勧められた体で誤魔化した。
そこらにある物で適当に見繕い簡易のスタンドを用意し、タブレット内にあるオフラインで見られるリストを呼び出す。明らかに古臭い方をオリジナルの『忍者勇者カクレコノハ』を選択すると、初っ端から犬がこちらを見ている場面でオレは思わず一時停止してしまった。
「あのさ……今から見るのは、流行りのアニメの方じゃあなくて、オリジナルの方だから。えーっと、確か四十年くらい前のやつな」
動揺を隠しながら簡単に説明すると、先輩はみかんの代わりに持ってきた煎餅を齧りながら「そうか」と興味あるんだかないんだか分からない返事をした。不自然にならないよう、軽く呼吸を整えて「じゃあ、始めます」と動画を再生すると、画面の中のカツヤはこちらの勝家と目が合うと寂しげに小さく鳴いた。
動画は25分弱で終わった訳だが、オレの体感としてはもっと長く感じてしまうほど、内容に終始ハラハラさせられた。古臭さと子供向けの幼稚さに目を瞑れば、普通に視聴くらい出来るだろうと思ったのは甘かった。3分に一度くらいの割合で『コイツら何考えてんだ!』と本気で混乱するような展開の嵐で、先輩がどういった感想を抱くのかという心配は吹っ飛び、これを見ようと言い出したオレの頭を先輩に心配されるのではという現実と向き合うので精一杯だった。
「セイシュン……一つ聞いてもいいか」
動画を見終えて、数分(いや数秒かもしれない)沈黙した後、深刻な顔をした先輩が疲労困憊したオレに言った。
「あの犬はどうして日本語を喋ってたんだ?」
自分の予想が当たり、ちょっとだけ安堵してしまった。事前に用意していた回答を伝え、頭の中で消化出来ずに居座る動画の内容に溜め息を吐いた。
先輩はみかんを三つほど持ってコタツに戻ってきた。みかんに釣られて上半身を起こすとちょっと後悔しそうなくらい寒かった。自分で剥く事を放棄して布団を肩まで引っ張り上げると、先輩は何故か嬉しそうな顔を見せる。
「コタツ嫌いな奴とかいないだろ、絶対」
オレの前に大きく剥いた皮を置き、やや豪快なサイズに割ったみかんが先輩の手によって用意された。白い部分を丁寧に取り除いて、一つずつ大事に食べるのも好きだが、郷に入りては郷に従おう。三分の一ほどを一気に頬張ると、缶詰のような甘さが口いっぱいに広がった。寒い冬にコタツで美味い物を食べる……最高だ。
「何か見たいものがあるって言ってたが、この部屋で大丈夫か?」
みかんを口に運びながら先輩が聞いてくる。みかんの甘さに驚いたのか、先輩はそろりとオレの前に自分の分も置いた。
「別にどこでも大丈夫。これで見られるから」
コタツの中に放置していたタブレットを取り出して見せる。
「こうゆうのは使えないんじゃないか? ネットにつながってないと駄目だろ」
不思議そうにオレの手元を見る先輩。由々式から聞いた事をそのまま伝えると、ちょっと感心したように唸った。
「お前の身内はすごいな」
新興宗教をおっ始めたり、圏ガクの抜け道フル活用したり、確かにすごい奴だと思うが、見方によってはオレ以上の問題児な気もするけどな。
ロックされていないタブレットを操作して、由々式が用意してくれた動画を見れるように準備していると「何を見るんだ?」と、ついに聞かれてしまった。
先輩の名前の元ネタになったキャラクターが出てる番組だよ……頭の中でなら言えるのだが、オレはちょっと口籠もりながら「なんか人気あるアニメと、そのオリジナルだって」由々式に勧められた体で誤魔化した。
そこらにある物で適当に見繕い簡易のスタンドを用意し、タブレット内にあるオフラインで見られるリストを呼び出す。明らかに古臭い方をオリジナルの『忍者勇者カクレコノハ』を選択すると、初っ端から犬がこちらを見ている場面でオレは思わず一時停止してしまった。
「あのさ……今から見るのは、流行りのアニメの方じゃあなくて、オリジナルの方だから。えーっと、確か四十年くらい前のやつな」
動揺を隠しながら簡単に説明すると、先輩はみかんの代わりに持ってきた煎餅を齧りながら「そうか」と興味あるんだかないんだか分からない返事をした。不自然にならないよう、軽く呼吸を整えて「じゃあ、始めます」と動画を再生すると、画面の中のカツヤはこちらの勝家と目が合うと寂しげに小さく鳴いた。
動画は25分弱で終わった訳だが、オレの体感としてはもっと長く感じてしまうほど、内容に終始ハラハラさせられた。古臭さと子供向けの幼稚さに目を瞑れば、普通に視聴くらい出来るだろうと思ったのは甘かった。3分に一度くらいの割合で『コイツら何考えてんだ!』と本気で混乱するような展開の嵐で、先輩がどういった感想を抱くのかという心配は吹っ飛び、これを見ようと言い出したオレの頭を先輩に心配されるのではという現実と向き合うので精一杯だった。
「セイシュン……一つ聞いてもいいか」
動画を見終えて、数分(いや数秒かもしれない)沈黙した後、深刻な顔をした先輩が疲労困憊したオレに言った。
「あの犬はどうして日本語を喋ってたんだ?」
自分の予想が当たり、ちょっとだけ安堵してしまった。事前に用意していた回答を伝え、頭の中で消化出来ずに居座る動画の内容に溜め息を吐いた。
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