ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。

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# 13 初ミッション

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ピロリン♪ という音とともに突然、目の前に文字がポップした。


──────────────────
〈運営からのお知らせ〉

【全Player対象】エリアボスを倒して、豪華報酬をGETしよう!

──────────────────


エリアボスとは?

なんの説明もなく、文字は消えた。

銭湯の前で巫霊「斎宮ハガネ」をUnit化したものの、いったいこの人型をどう扱えばいいのか悩んでいる最中だった。

「我が主」
「ふあぁぁわっ!」

びっくりした。
思わず人生で数回しか出したことない変な声が出た。

モリ達にボコられてピクリとも動かなかった人型が突然、しゃべって片膝をつき、豆丸に向かって頭を垂れた。

「喋れる、んですか?」
「……」
「あのー」
「……」
「えーと斎宮、さん?」
「……」

何も返事をしてくれない。
ずっと、豆丸に向かって頭を垂れたまま、ピクリとも動かない。

「じゃあ、ちょっとここから移動しましょうか?」
「……」
「行くぞ……なんちゃって!」
「ははっ⁉」

あっ、立ち上がった。
結構、背が高い。

身長約180センチ。
淡い銀髪に長い髪を高く結っているイケメン。
白と黒の装束に身を包んでおり、手には刃を納めた刀を握っている。

はっきりと命令しないと反応しない。

手を挙げて、と言っても反応しないが、手を挙げろ、と言うとちゃんと手を挙げてくれる。命令されるのが好きだなんて、オジサンちょっと変な趣味に走っちゃいそうで自分が怖い……。冗談はさておき。

気になるのは、身体から少しずつ黒い煙が流れ出ていること。

ステータス画面越しに彼を見てみると、数秒に1回、ステータスが下がってきている。

これはまずい。
1回、イケメン剣士をストレージに収容。10秒後にもう一度外に出すと、ステータス現象が一時的にストップしていたので、すぐにもう一度、ストレージに収容した。

たぶん日中は、ステータスが下がるので、夜間しか使えない。

それと……あれがエリアボスのいる場所。

ここから数十キロ先に光の柱が天に向かって伸びている。

あんなに目立つなら、そりゃ詳しい説明は不要かもしれない。

軽トラで移動して1時間弱、場所は海浜公園を入ってすぐのところ。
すぐそばまで来たら光の柱は球場くらい大きかった。

手前には、Playerと思しき人達がチラホラといる。
ひさしぶりに自分達以外の人と会った。

軽トラも離れたところに止めて、モリ達をストレージに入れて、光の柱の中に入ろうとした。

「おいおい、じーさん。中に入ったら死ぬかもしれないぜ?」
「えっ、そうなんですか?」
「まったく、ここまで生き残ってんのに警戒心が足りないんじゃねーか?」

この時代にリーゼントの男。
リーゼントの男の言葉に数人の人間が笑みを浮かべた。

「こういう時は『情報』が物を言うんだぜ。じーさん」

たしかに光る柱の中が何も見えない。
この光の柱に触れただけでどうなるかもわからない内から中に入ろうとしたのは自殺行為かもしれない。

「それで情報というのは?」
「ぷっ! おい聞いたか? 頭がお花畑すぎて笑えるぜコイツ」

そんなお人好しは、この中にいねーよ! と、からかわれた。

周囲の笑い声。
豆丸はこれまでモリ達に頼りっきりで実際自分で戦ったことがない。だから世界が変わってしまったのにまだ平和ボケしていると指摘されているようで、なんだかすごく恥ずかしくなってきた。

「頭の中がお花畑なのはお前だろ、バーカ!」
「ぁああっ⁉」

いつの間にか豆丸の隣にオカッパ頭の美少年が立っていた。

「爺ちゃん、そんなバカ放っといて、早く中に入ろーぜ?」
「え、あ、ちょっと」

オカッパ少年が、落ちていた小石を拾って、光る巨大な柱に指で弾いて飛ばしたが、跳ね返ってこないのを確認して、とっとと中に入っていこうとした。

「待てこらぁぁ、そこのガキ」
「爺ちゃん、早く来なよ?」
「くっそ、あの野郎ぉぉ!」

リーゼントの男の制止を無視して、中に消えた少年。
豆丸も一度深呼吸して、水泳の授業で初めてプールに顔をつけるように、ぎゅっとした顔をして、光る柱の中に飛び込んだ。















「爺ちゃん、目を開けなよ」
「うぇ? あっ──」

丸い大きな部屋。
床から壁、天井まで真っ白で、先の方に黒い3つの扉がある。

「中に入らない連中は話にもならない雑魚ども。俺や爺ちゃんと手を組むのは……」

おかっぱ少年の他に二人。
サングラスをしたヤ〇ザみたいな怖そうな人と、大都会にしか出没しないようなド派手な黒いドレスを着た少女がいた。

「おっ、先客がけっこういるな」

直後、入ってきたのはプロレスラーと言われても納得できそうな大男。その次に眼鏡を掛けたサラリーマン風の男が入ってきた。

「へえー、入ってこれたんだ?」
「っざっけんなよ、糞ガキ! 後でぶっ殺す」

最後に入ってきたのは、例のリーゼントの男、入るのによほど勇気が必要だったのか、肩で息をしている。

「規定人数に達したので、受付を終了しました!」

着ぐるみ、だよね?

黒い扉の真ん中から出てきたのは、七福神の一人で打ち出の小槌を持っている大黒天によく似たアニメの世界から飛び出してきたような見た目のキャラ?




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