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9、愛かお金か
しおりを挟む「なんてことをするんだ!?」
ビリビリになった誓約書を、拾い集めようとするハリソン様。
「一度も婚約者扱いをしたことがないのだから、こんなもの必要ないではありませんか。友人にマーシャさんと浮気したことを、自慢していたのですよね? 今更、誤解? 私に知られても構わないと思っていた証拠ではないですか!」
「俺達は婚約者なんだから、君なら分かってくれるだろ? ルイーズ、愛しているんだ!!」
必死に婚約解消を阻止しようとする姿は、あまりに滑稽だ。隣のマーシャさんは、複雑な顔をしている。お金は欲しいけど、自分を蔑ろにされるのは我慢ならないようだ。
「もう付き合っていられないわ! 私は降りる! その不細工な金だけ女に、せいぜい媚びを売って仲直りするのね!」
その場から立ち去ろうと、イスから立ち上がるマーシャさん。お金もプライドも選んだようだ。自分が立ち去れば、私とハリソン様が仲直りするとでも思ったのか……
そうはいかない。マーシャさんを、この場から逃がすつもりはない。
「マーシャさん、話はまだ終わっていません。この髪飾り、ご存知ですよね?」
その髪飾りは、マーシャさんのお母さんが営んでいる雑貨屋で、言われるがまま買わされた髪飾りだ。
「知らないわよ! もういい?」
「この髪飾り、あなたのお母さんのお店で買ったの。コリーさんだったかしら?」
「だから、何だというの!? 買ってくれてありがとうとでも、言って欲しいの!?」
美しい顔が崩れるほど、イライラが表情に現れている。
「これ、金貨10枚で買ったの。でもね、銀貨1枚の価値もないんですって。詐欺で、あなたのお母さんを通報したわ。コリーさんは、私の他にも詐欺を行っていたらしく、自警団が目をつけていたそうよ。今頃は、陛下に報告が行っているはず。あなた達母娘は、もうこの国にはいられないでしょうね」
他の令嬢達も、コリーさんから買い物をしたのか、身に付けていたアクセサリーを外し出した。騙された人が、こんなに居たとは驚きだ。
「な……んで、なんでそんなことをしたのよ!? あんたなんか、ハリソン様に相手にもされない女のくせに!! 調子に乗るな!!」
物凄い形相で、私に掴みかかろうとしたマーシャさんを、そっと見守って居てくれたリーシュが取り押さえてくれた。
「いい加減にしろ。もう終わりだ」
「嫌ーーーーッ!! 離してーーーーッ!! ハリソン様、助けてーーーーッッ!!」
マーシャさんが取り乱しながら叫んでいるのに、ハリソン様はビリビリになった誓約書を、まだ集めていた。彼女を愛しているのだと思っていたけど、彼が大事なのはお金の方だったようだ。
「残念ね、ハリソン様はあなたをそんなに大切には思っていなかったみたい」
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