〖完結〗親友の幸せを願っていたのに、親友は私が大嫌いだったようです。

藍川みいな

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舞踏会

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 舞踏会当日、今日はジュウド様がお迎えに来てくださいます。
 私がレイド様のお誘いをお断りした後、モニカがレイド様に同伴者になりたいと申し出た事で、レイド様の同伴者はモニカになったそうです。
 他の人がレイド様の同伴者にならなくて良かったと、心底思いました。

 「フランシス、ジュウド様がいらしたわ。」
 
 お母様はジュウド様がお気に入りのようで、とても嬉しそうな顔で私を呼びに来ました。

 「お母様は、本当にジュウド様がお好きなのね。」

 「あら、あなたもジュウド様の良さが分かったから、舞踏会の同伴者にお誘いしたんじゃないの?」

 確かに、ジュウド様は容姿だけでなく中身もとても素敵な方だけど、幼い頃からずっと一緒にいたから、お兄様みたいな存在でした。だから、恋愛感情を持った事がありません。

 「お待たせしてしまうから、もう行くわ。」

 今日はレイド様とモニカが一緒にいる所を見なければならない。これからは、その機会がどんどん増えて行く。2人が幸せなら、それでいいと自分に言い聞かせてるけど、やっぱりつらい。今は、その事しか考えられない。

 ジュウド様の迎えの馬車に乗り込み、会場である王城へと走り出した。

 「舞踏会なんて、久しぶりに行くな。」

 ジュウド様は公爵令息なのに、社交の場がお嫌いですものね。出席する時は、いつも私がお誘いした時だけ。

 「シンクレア公爵が、あまり社交の場に出席してくれないとボヤいていましたよ。」

 今日の事は、シンクレア公爵がすごく喜んでいました。

 「あんな所に行ったって、貴族達の自慢話聞かされるだけだしな。時間の無駄だ。」

 「それでも、私がお誘いした時は必ず来てくださいますよね。感謝しております。」

 「お前は危なっかしいからな。俺がついてないと心配で仕方ない。」

 本当にお兄様みたい。少し過保護ですが。

 そんな話をしていたら、あっという間に王城へと到着した。

 中に入ると、煌びやかなドレスに身を包んだ令嬢達が同伴者の隣で笑っていました。
 今回はいつもの舞踏会とは違って、最初から相手が決まっている事もあり、皆とても幸せそうです。

 「フランシス!」

 モニカがレイド様と一緒に、こちらへ駆け寄ってきました。

 「モニカ、とても綺麗!」

 ちゃんと笑顔を作れてるかな?

 「レイド様も綺麗だって仰ってくださったのよ!」

 モニカはレイド様に寄り添って幸せそうな笑顔を浮かべていた。やっぱり、モニカが幸せそうだと私も嬉しい。
 でも、レイド様は私と目を合わせようとはしない。断ってしまったから、私と話すのは気まずいのでしょうか?
 そう思っていたのですが……

 「あの手紙は捨ててくれ。
 君を誘ったなんて、恥ずかしくて誰にも知られたくない。」
 
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