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本当の気持ち
しおりを挟む今、レイド様はなんて?
レイド様はとても優しい方で、そんな酷い事を仰るような方ではありません。
「お前、今なんて言った?」
ジュウド様が、怒っているようです……
という事は、私の聞き間違いではなさそう。
「ジュウドは知らないのか!? 彼女は、男と簡単に寝る女だぞ!?」
この方は、本当にレイド様なのでしょうか?
こんなに酷い事を仰るなんて……
レイド様の目は、心底私を軽蔑している目です。
「ふざけるなっ!!」
ジュウド様は、レイド様に掴みかかった。
「ジュウド様、やめてください……」
このままでは、ジュウド様にご迷惑をかけてしまう。レイド様に掴みかかったジュウド様の手に、私はそっと触れた。
ジュウド様は私のことを見てから、手を離した。
「レイド様、フランシスはそんな子じゃありません。何か誤解をしているのです。」
モニカは私を庇ってくれました。
大切な親友が信じてくれているなら、私は大丈夫。
「…………」
レイド様はモニカの手を取り、バルコニーへと連れて行ってしまいました。
「おかしいと思わないのか?」
「え?」
「今の事だよ。レイドはフランシスを同伴者に選ぶほど好意を持っていたのに、モニカがレイドに近づいたら急にお前を悪く言い出した。どう考えてもおかしいだろ!?」
レイド様の変わりようには驚いたけど、モニカが裏切るはずない。
「モニカは関係ないです。きっと、なにかの誤解です。
ジュウド様、先程は庇ってくれてありがとうございました。」
好きだった方に、あんな目で見られたのはツラくないと言えば嘘になります。ですが私は、気付いてしまいました。
レイド様への想いは、憧れだったようです。そして私は、ジュウド様が好きなのだと。
モニカには感謝しなくちゃ。モニカがレイド様を好きだと言わなければ、私はレイド様と舞踏会に来ていた。気持ちに気付くことが出来たのは、モニカのおかげです。
「お前はそんな女性じゃない事は、俺が一番わかっている。不器用で、お人好しで、自分の事より他人の事を考えるようなバカだからな。
俺が一生お前を守ってやるから、安心しろ。」
思いがけない言葉に、顔が熱くなった。
ジュウド様はずっと私を見てきてくれていたんですね。
「もしかして、ジュウド様は私を好きなのですか?」
ジュウド様は一瞬目を見開いて、
「……今ごろ気付いたのかよ。バカ。」
そう言って、恥ずかしそうに笑った。
バカって言われてるのに、何だか心があたたかい。
「そうですね。今頃、気付いちゃいました。」
顔を赤くしながら、楽しそうに話すフランシスとジュウドをモニカはじっと見つめていた。
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