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裏切り
しおりを挟むジュウド様が公爵令息達に捕まってしまったので、外の空気を吸おうとバルコニーに出た。
あんまり出席しないから、皆さんジュウド様とお話したいみたい。邪魔しないようにしなくちゃ。
バルコニーに出ると、となりのバルコニーから話し声が聞こえて来た。
「最悪。全然平気な顔をしていたわ!」
この声……モニカ?
「モニ……」
名前を呼ぼうとした瞬間、
「フランシスなんて大嫌い!!」
モニカは心底嫌そうにそう言った。
私は声をかけることが出来ず、柱の影に隠れてしまった。
「フランシスが好きだったレイド様を奪って、淫乱だって吹き込んだのに、レイド様に軽蔑されても平気な顔してるのよ!? あいつ、頭がおかしいんじゃない?」
これはどういう事? モニカは私の親友で、いつも私の味方で……大好きな……
「それにしても、鈍感過ぎない? ずっとフランシスの物を奪って来たんでしょ? それでも信じるなんて、頭悪すぎー! あははっ」
「でしょ? あいつ、欲しいって言えば何でも譲ってくれるの。いい子ちゃんなフランシスは、私が幸せなら自分も幸せなんですって!」
聞きたくない! こんな話聞きたくないのに、この場から動く事が出来ない。
「で? 次はどうするの?」
「ジュウド様を奪いたいんだけど、ジュウド様はずっとフランシスが好きなのよねー。それに、私を嫌ってる。きっと私の本性に気付いてるのね。媚薬でも使おうかしら?」
「それいい!! ジュウド様だったら、私も欲しいわー!」
ジュウド様に何かする気!?
それだけは許さない! モニカが私を親友だと思っていない事はよく分かった。
それどころか、モニカはずっと私が嫌いだった。
その場をそっと離れ、レイド様を探した。
「レイド様!」
レイド様は入り口近くの壁際に立っていた。
「……フランシス。何の用だ? 君とは話したくないんだが?」
「モニカがレイド様に何を話したのか、聞きに来ました。私のことを、淫乱だと言ったそうですね。本当ですか?」
「ああ……そうだ。」
「もし私が誰とでも寝てるなら、レイド様のお誘いを断ると思いますか? これまで、モニカ以外からそんな情報ありましたか?」
レイド様は少し考えた後、
「……本当は、分かっていた。君がジュウドを選んだから、悔しかったんだ。すまなかった。」
そう言って頭を下げた。
「気にしないでください。レイド様は悪くありません。悪いのは、レイド様を利用したモニカです。」
「君達は、親友じゃなかったのか?」
「そう思っていたのは、私だけだったようです。モニカは私が、大嫌いだと言っていたのを聞いてしまいました。
レイド様、お願いがあるのですが……」
ずっと私を騙してきたモニカ。
いい子ちゃんなフランシスは、あなたに反撃をするわ!
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