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婚約者
しおりを挟む「そうなんですね。ローレン嬢、今日は体調は大丈夫なのですか?」
リアム王子は心配そうに、ローレンの身体を気遣った。
「ええ。今日は体調がいいんです。リアム王子にお会い出来たからかもしれません。」
そう言いながら、顔を赤く染める。
「私で力になれることがあったら、言ってください。」
「リアム王子は、お優しいですね。お姉様とは大違い。リアム王子が、私の婚約者だったらいいのに……」
「そうだ! アイシャはリアム王子に相応しくありません! いっそ、ローレンに婚約者をかえてはいかがでしょうか? ローレンは気がききますし、リアム王子の事を想っているんです。」
ローレンが控えめに誘惑し、ブルーク侯爵が攻める。
「そうですね。考えさせてください。明日返事をしたいので、今日と同じ時間にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「もちろんです! 明日、お待ちしております。」
「あぁ、それと、明日はアイシャも同席させてください。私の口からお話したいので。」
「分かりました。必ず同席させます。」
リアム王子が帰ると、
「あの様子だと、リアム王子はローレンを選ぶだろうな。」
「お父様、ありがとう! お父様のおかげよ!」
と、二人は大喜びしていた。
「私も仲間に入れて欲しかったわ。ローレンのいい所を沢山言えたのに!」
ブルーク侯爵夫人は、自分だけ仲間外れにされたのが不満のようだ。
「だいたい、アイシャが王妃だなんて有り得なかったのよ。病で苦しむ妹を思いやれない姉なんて、王妃になれるわけがないわ!」
「リアム王子をローレンに譲りなさいと言ったのに、嫌がっていたしな。自分勝手にも程がある!」
散々、アイシャの悪口を言う3人。これまでローレンが欲しがったものを、全てアイシャが譲ってきた事は忘れているようだ。
夜遅くに、アイシャは目を覚ました。
「…………ん……」
私……どうしたんだっけ? ………………リアム様!
リアム様はどうなったの!?
もう外は真っ暗。私は一日中、寝ていたのね。
ローレンがリアム様に、何をしたのかは分からない。まさか、ローレンが薬まで盛るなんて……
ガチャ……
ノックもせずに、部屋のドアが開いた。
「やっと目を覚ましたのね。もうとっくにリアム王子はお帰りになったわ。ご愁傷さま。」
「……リアム様に何をしたの?」
「何もしてないわよ。でも、リアム王子は私の事が好きみたい。私で力になれることがあったら、言ってくださいっておっしゃってくれたわ。」
リアム様がローレンを!? そんなはずない……
「そうそう、明日、お姉様はリアム王子に婚約を破棄されるわ。そして私が、リアム王子の婚約者になる。明日が楽しみね! おやすみなさい。」
言いたいことだけ言って、ローレンは部屋を出て行った。
リアム様がローレンに騙されるはずない……私は、そう信じたい。
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