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王妃追放
しおりを挟む「セリシア、お前はこの国の王妃に相応しくない。この国から追放する!」
皆が集まる場でいきなり言い渡された追放に、セリシアは困惑した。
王様に愛されていない事は分かっていたけど、まさか追い出されるなんて思ってもみなかった。
国王が王子だった頃に婚約し、三年前ジオンが王位を継ぐのと同時にジオンと結婚をしたセリシアは、三年間ずっとこの国を守って来た。
ここ、ボーデスト大陸は聖女がとても大切にされていた。ボーデスト大陸には25の国があり、聖女の力で順位がつけられていた。
セリシアが王妃になったスベマナ王国は、何十年も一位を維持して来た。
「この国は何十年も一位だった。お前がいなくても、この国は一位だ!私が相応しい王妃を見つけて来たから、お前はもう必要ない!」
この国は聖女が王妃となる決まりがあり、前王妃も聖女だった。平民のセリシアを次の王妃に選んだ前王妃が数ヶ月前に亡くなり、ジオン王は侯爵令嬢のモニカを次の王妃にすると連れて来た。
「この方が元王妃様ですか?王様が本当にお可哀想……こんなにみすぼらしい人と、三年も一緒にいたなんて……。」
モニカはセリシアを見て、鼻で笑った。
「あなた、もう王妃じゃないんだから着替えたら?そのドレス素敵だから、私が着てあげる。」
その場でドレスを脱がされそうになり、セリシアは抵抗した!
「や、やめて!着替えるから……!」
「なんなのその態度!?あんたはもう王妃じゃないのよ!膝まづいて許しを請いなさいよ!」
セリシアはモニカに言われた通り、膝まづき……
「……申し訳ありません。着替えますので……お許しください……。」
周りにいる貴族達も、平民だったセリシアが王妃だった事に不満を持っていた。セリシア追放を聞いて、反対する者など誰一人いなかった。
別に私は王妃になりたかったわけじゃない。前王妃から次の王妃に選ばれた私は、無理矢理スベマナ城へと連れてこられ、王妃になる為の教育を受けさせられ勝手にジオン王子と婚約させられた。
私には拒否権なんかなかった……。
それでも、王妃になったのだから、国の為にと尽くして来たつもりだったのに……こんな仕打ちをされるなんて思ってもみなかった。
「今日からはモニカがこの国の王妃だ!セリシアを追い出せ!!」
セリシアは国を追放され、国境付近で馬車から降ろされた。
「ほら、三年間の報酬だ。」
渡されたのは、金貨一枚だけ……
三年間必死で守り続けて来た国は、いとも簡単にセリシアを捨てた。
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