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餌付けされたセリシア
しおりを挟むセリシアがスベマナ王国を追放されてから、数週間が経っていた。報酬として貰った金貨もそろそろなくなりかけ、野宿する日が続いていた。
「お腹空いたー!昨日から何も食べてない……。早く仕事見つけないと、ヤバイなあ……。」
ガサガサガサガサ……
え……!?何!?
魔物なら気づくはずだけど、全く気づかなかったって事は……動物!?人間!?
「んんん!?こんな所に人がいるなんて思わなかった!」
草陰から現れたのは、髭の長いお爺さんだった。
「何でこんな所で野宿しとるんじゃ?若い娘さんが一人で、危ないじゃろ。」
見知らぬお爺さんに説教されてしまった。
「住むところも、お金もなくて……仕方ないんです。」
グルルルルルル……
その時、セリシアのお腹が豪快になった。
「わっはっはっは!なんだ、腹が減ってるのか!?」
お爺さんは荷物からパンを出し、
「食うか?」
セリシアは大きく頷き、お爺さんからパンを受け取ると勢いよく食べ始めた。
「そんなに腹を空かせていたのか。ほら、水だ。ゆっくり食べなさい。」
久しぶりに優しくされた気がした。お父さんが生きてた頃以来かもしれない。
セリシアの母は、セリシアを産んで直ぐに亡くなっていた。父は男手ひとつでセリシアを育て、苦労のせいか五年前に病でこの世を去った。
「お爺さんはどうしてこんな所にいたんですか?」
パンを食べ終わったセリシアは、お爺さんが夜遅くにこんな森にいた理由が気になった。この森はどの国にも属しておらず、聖女の加護がない為、いつ魔物が襲ってきてもおかしくなかった。
「急いでスベマナの近くまで行かなくてはならなくてな。この森は近道だったからのう。」
「スベマナにどんな用があるんですか?」
「最近スベマナの王妃様が追放されたそうなんじゃが、その王妃様がどうにかわし達の住む村へと来てくれないかと思ってのう。」
自分の事を言われて、セリシアはドキッとした。
「どうしてその王妃様を村に?」
「わしらの村はどこの国にも属していないんじゃが、最近になって協会からどこかの国に属してくれと言われたんじゃ。」
協会とは聖女協会のことで、国の順位をつけているのも聖女協会だ。
「わしらはどこかの国に属することなど、受け入れる事は出来ない。国として認められるには、聖女様が必要だと考え、王妃様を探しに行く所だったんじゃよ。」
確かに、聖女がいれば小さな村でも国として認められる。
「お爺さん、探しに行く必要はありませんよ。目の前にいますから。」
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