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15、それぞれの結末
しおりを挟む「奥様……いいえ、ローレン様、本当に申し訳ありませんでした!!」
シンシアさんが深々と頭を下げて来た。
「頭を上げて。立っているのも辛いはずなのに、この場に来てくれてありがとう」
レイバンがシンシアさんを支え、彼女は頭を上げた。兵士がシンシアさんに気付き、近付いてくる。彼女も連行されることになる。
「あの、シンシアさんは子を産んだばかりです! どうか、その子の為にも軽い罰にしてあげてください!」
ハンク様に、シンシアさんの罪を軽くしてもらえるように頼み込む。
「彼女は、ジュランが出生届を出す前に邸から追い出されている。そんなに重い罪にはならないよ」
「良かった……」
「ローレン様……私なんかの為に、ありがとうございます!」
兵がシンシアさんの体を気遣いながら、ゆっくり連行して行く。彼女は何度も振り返り、頭を下げていた。
「君は優しいな。彼女には、酷い目にあわされていたのだろう?」
「優しくはないと思います。ただ、生まれて来た子には罪はありません。あの子には、母親が必要です。それに、大切なものが出来たシンシアさんは、変わると思います」
この会場に入って一番にジュラン様に言った言葉は、『私の子を、返してください』だった。彼女はきっと、子供を大切に育てるだろう。
ハンク様と私は、数日後婚約をした。
ジュラン様は、国を偽った罪で国外追放となった。ノーグル侯爵が、ジュラン様を跡取りにするつもりはないと証言したのが刑の決め手になったようだ。一度も会ったことのないハイリーさんも、同罪とみなされ国外追放となった。
シンシアさんは、子供を大切に育てるのを条件に、すぐに釈放された。ハンク様が陛下に頼んでくれたのだと、レイバンが話してくれた。
国を追放されたジュラン様を、マリアンが追って行ったようだ。
「お前……なんでここに居るんだ?」
追放されたジュランは、国の検問所で兵士に馬車から降ろされた。そこで待っていたマリアンを、怪訝そうな目で見る。
「私はジュラン様を愛しています! どこまででも、お供いたしますわ!」
「冗談は顔だけにしてくれ。俺はもう、ローレンを裏切らないと決めた。いつか必ず、ローレンの元に帰る」
少しは反省したのか、ローレンを一途に想うと決めたようだ。
「それでも構いません! それまで、おそばに居させてください!」
「断る! 帰れ!!」
背を向けて歩き出すジュラン。マリアンは、諦めるつもりはない。
「嫌です! ジュラン様は、これからどうやって生きて行くおつもりですか!? お金もないのですよね!? 邸から宝石をありったけ持って来ました! 2人で暮らすには、十分ですよ?」
ジュランは立ち止まり、少し考えると……
「……勝手にしろ」
そう言って、また歩き出した。その後を喜んで着いていくマリアン。
ローレンを愛し続けると決めたジュランだが、ハンクとローレンが婚約したことをまだ知らない。二度と手に入らないローレンを、生涯思い続けるだろう。そして、自分を絶対に愛さないジュランと共に生涯暮らすことになるマリアン。
マリアンの持ってきた宝石はすぐになくなり、資金が底をついた。今まで贅沢な暮らしをしていたのだから、質素な暮らしが出来るはずもない。
マリアンは捨てられない為に、働きに出るようになった。
しばらくして、ローレンとハンクの婚約を知り、ジュランは抜け殻のようになる。話しかけても、返事は返ってこない。
「ジュラン様、お食事の用意が出来ました。今日は、豆のスープです」
何を言っても、反応さえしない。ジュランの口元にスプーンを運び、食事を与える毎日。
身も心もボロボロになっていくマリアンは、それでもジュランの元から離れることはなかった。
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