あざとさを捨てた令嬢は、若き公爵に溺愛される

古紫汐桜

文字の大きさ
11 / 21

元凶はあの女!? 転生事故の真相

しおりを挟む
結局その後、並本雪花は
「職場の風紀を乱した」という理由で、契約を切られたらしい。

……まあ、そりゃそうよね。

でも彼女のおかげで、鬱憤が溜まっていた営業部の女子たちが、私たち経理フロアにまでやって来て、まるで憂さ晴らしのように文句を言うようになった。

結果的に――
『昨日の敵は今日の友』状態になった。

彼女が去った後の職場は、見違えるほど平和になった。



ちなみに、営業部の一部のバカ男子と部長は、こんなことを言っていた。

「雪ちゃんはさ、嫌われ役を演じて女子たちを団結させたんだよ」

……いや、どんな聖母設定?

どこをどう見ても、ただのクラッシャー女でしょう?

(男好きでクラッシャータイプって、どんだけなのよ……)



彼女が辞めた後も、後味の悪さだけは残った。

そして、いつの間にかこんな“伝説”まで生まれていた。

「ずっと首が揺れてる女って、女の敵だよね!」

──そのとき、私は初めて
“首が揺れてる女”
というワードを知った。

後に部長に連れて行かれたスナックでも、ホステスさんが同じことを言っていた。

「首が揺れてないとモテないんだって」

……いや、どんな理屈!?

想像すると、頭に浮かぶのは
お土産屋の“赤べこ”しかない。

でも、思い返してみれば──
前世で死ぬ間際、婚約者の背後から顔を出した彼女の首は……確かに、揺れていた。

そして今。
ソフィアになった私の首も、揺れている。



「……でも、なんで彼女は私だけを執拗に攻撃したの?」

思わず、女神に問い詰めた。

「あぁ! それはね、あなたの婚約者がホテルから出てきたのは、浮気したからじゃないのよ」

「……え?」

「むしろ、彼女のことなんて相手にしてなかったの」

思わず目を丸くする。

「どういうことですか?」

女神の話によると、婚約者の彼はしつこく送られてきたLINEをすべて無視していたらしい。

あの日も、彼女から
“あなたが他の男とホテルに入っていくのを見た”
と連絡が来て、確認のために向かったものの、すぐ嘘だと分かり、慌てて外に飛び出した。

──その瞬間、仕事帰りの私と鉢合わせた、ということだった。

「……そうだったんですか」

信じられなかった。
私は彼を疑い、裏切り者扱いしていた。

胸が、ズキリと痛む。



けれど、女神は意味ありげに微笑んだ。

「それだけじゃないのよ」

……その笑顔、嫌な予感しかしない。

「彼女が狙って、どうしても落とせなかったイケメン君、いたでしょう?」

「……は?」

「実はね、あの人──あなたのことが好きだったのよ」

「いやいやいやいや!!
それは無い! 絶対に無い!!」

仕事の話しかしたことないし!?
フラグなんて立つ余地ないし!?

「もしかして……営業部のホープ君?」

女神は、にこっと笑って頷いた。

「そう。その人」

「やめて……お願いだから変なフラグ立てないで……」



「それでね、彼女はこの世界でも、やりたい放題だったの」

女神はため息をついて続けた。

「断罪される直前、あなたの世界を作った“神様(男)”に助けを求めて逃げ込んだのよ」

「はぁ!? 逃げ込んだ!?」

「そう。そのせいで、ソフィアの肉体が消えかけたの」

女神の目が、すっと鋭くなる。

「他の神様の世界を歪めるなんて、許せなかったから……私は言ってやったのよ」

“ソフィアが生き返らないなら、
そっちの世界の並本雪花を殺して呼び戻す!”

「……まさか」

「そうよ。あの女、あなたを事故死させて、身代わりにソフィアの身体に憑依させたのよ!」



女神の口から語られた“真実”に、私の怒りは限界を超えた。

「……ってことは、私はあの馬鹿女の尻拭いをさせられてるってこと!?」

「まぁまぁ、落ち着いて!」

女神は慌てて両手を振る。

「だから、私ができる限りのことはしたのよ。
とりあえず、断罪される半年前に戻しておいたわ」

「……半年!?
たった半年で何をしろって言うんですか!?」

思わず、頭を抱える。

「大丈夫よ!
あなたなら半年あれば何とかできるわ!
それに、光魔法を“増し増し”にしておいたから!」

──家系ラーメンのトッピングか!

私は心の中で、全力でツッコんだ。

すると女神は、手をもみもみしながら続ける。

「時間操作はできないけど、“ざまぁ展開回避”のお手伝いはしますよ!」

……軽っ!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『呪いのせいで愛妻家になった公爵様は、もう冷徹を名乗れない(天然妻は気づかない)』

星乃和花
恋愛
【全20話+番外3話+@:火木土21:00更新】 「冷徹公爵」と呼ばれるレオンハルトが、ある日突然“愛妻家”に豹変――原因は、妻リリアにだけ発動する呪いだった。 手を離せない、目を逸らせない、褒めたくなる、守りたくなる……止まれない溺愛が暴走するのに、当のリリアは「熱(体調不良)」と心配または「治安ですね」と天然で受け流すばかり。 借金を理由に始まった契約結婚(恋愛なし)だったはずなのにーー?? そんなふたりの恋は愉快な王都を舞台に、屋敷でも社交界でも面白……ゆるふわ熱烈に見守られる流れに。 甘々・溺愛・コメディ全振り! “呪いのせい”から始まった愛が、最後は“意思”になる、にやにや必至の夫婦ラブファンタジー。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~

ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」  中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。  そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。  両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。 手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。 「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」  可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。 16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。  13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。 「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」 癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

孤独なもふもふ姫、溺愛される。

遊虎りん
恋愛
☆☆7月26日完結しました! ここは、人間と半獣が住んでいる星。いくつかある城の1つの半獣の王と王妃の間に生まれた姫は、半獣ではない。顔が『人』ではなく『獣』の顔をした獣人の姿である。半獣の王は姫を城から離れた塔に隠した。孤独な姫ははたして、幸せになれるのだろうか。。。

下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~

星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。 王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。 そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。 これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。 ⚠️本作はAIとの共同製作です。

待ち伏せされた悪役令嬢、幼馴染み騎士団長と初恋をやり直す。

待鳥園子
恋愛
悪役令嬢クラウディア・エズモンドとして転生し、前世の記憶が婚約破棄の夜会数日前に戻った。 もう婚約破棄されることは避けられない。覚悟を決めて夜会が開催される大広間に向かう途中、騎士団長であるオルランド・フィンリーに呼び止められ……。

処理中です...