12 / 21
泣く女神、走るソフィアとバカ王子 ~生理的に無理!~
しおりを挟む
この女神、どうしてこうも緊張感がないのかしら?
私は訝しげに彼女を見ながら、尋ねた。
「なんで、そこまでしてくれるの?」
女神は少し寂しそうに微笑むと、こう答えた。
「あなたは本来、婚約者と結婚して幸せになるはずだったのです。
それを──元ソフィアである彼女のせいで……」
そう言った途端、女神はぽろりと涙をこぼした。
「えぇっ!?
泣きたいのは、こっちなんですけど!!」
思わずツッコミを入れる私。
「だってぇ……!
あんな女に好き勝手されるなんて、耐えられないのです!
だから、せめてあなたには、この世界で幸せになってほしいのです!」
その真剣な訴えに、私は頬をかきながら小さく笑った。
「……ありがとう。女神様の気持ち、受け取らせていただくわ」
「大丈夫!
あなたなら、絶対に幸せな未来を掴めますからっ!」
……その元気だけは、本物ね。
──そして、学園に到着。
この世界の魔法学園は、私たちの世界で言う大学のような場所らしい。
十八歳以上で魔法を使える国民は、身分に関係なく通わされる学校だ。
門をくぐり、校舎へと向かって歩いていると、女子たちから遠巻きに見られ、ひそひそと噂話が飛び交う。
……針のむしろ状態とは、このことね。
彼女、よくこんな環境で平気だったわね。
ある意味、鋼のメンタルだわ。
「あら。
今日は、他の殿方をはべらせていらっしゃらないのですね」
その声に振り返ると、悪役令嬢・レミリア様が立っていた。
気の強そうな吊り目、美しい真紅の髪にルビーの瞳。
そう──漫画版『キミセカ』のヒロインであり、真紅の薔薇の化身と謳われるほどの、美少女だ。
その完璧な美貌に、思わず見惚れてしまった。
「あら、あなた。
今日は首が揺れていませんのね」
……おおっ!?
早速、気付いてくださった!!
そう。
あの後、女神にお願いして“首が揺れない”ようにしてもらったのだ。
首が揺れるのは、赤べこだけで十分よ!
しかも、あれで世界を見ると酔うのよね。
女神パワーで揺れなくなった首を馬車の窓で確認した時、思わずガッツポーズしたほどよ!
(うん!
首は揺れてないわ!
私……ついに勝ったのね!)
──そんな私の努力に気付いてくれるなんて、レミリア様、さすがです!
「髪型も……変えたのですわね。
その方が、すっきりしていてよろしくてよ?」
嫌いであろう私にさえ、ちゃんと褒め言葉をくださる。
……マジで天使なの?
「ありがとうございます!」
キラキラした目でお礼を言うと──
「レミリア!
貴様、またソフィアを虐めているのか!」
どこからともなく飛び込んできたのは、彼女の婚約者であり、問題のバカ王子・クリフォード。
(うわぁ……出た。
顔だけイケメン系バカ。)
近づいてくるたび、私は後ずさりする。
「愛しのソフィア、どうしたんだい?」
両手を広げ、満面の笑みでこちらに向かってくる。
その目付きが……なんて言うの?
身体を舐め回すような、視姦しているかのような、ねっとりとした視線。
ぞわりと鳥肌が立った。
(いや、無理無理無理!
顔だけで中身ゼロとか一番苦手!
しかも、そのねっとりした視線がキモい!)
「ご……ごめんなさい!
生理的に無理!」
そう叫んで、私は全力で逃げ出した。
その背中を、レミリア様とクリフォード王子が呆然と見つめていたのは、言うまでもない。
私は訝しげに彼女を見ながら、尋ねた。
「なんで、そこまでしてくれるの?」
女神は少し寂しそうに微笑むと、こう答えた。
「あなたは本来、婚約者と結婚して幸せになるはずだったのです。
それを──元ソフィアである彼女のせいで……」
そう言った途端、女神はぽろりと涙をこぼした。
「えぇっ!?
泣きたいのは、こっちなんですけど!!」
思わずツッコミを入れる私。
「だってぇ……!
あんな女に好き勝手されるなんて、耐えられないのです!
だから、せめてあなたには、この世界で幸せになってほしいのです!」
その真剣な訴えに、私は頬をかきながら小さく笑った。
「……ありがとう。女神様の気持ち、受け取らせていただくわ」
「大丈夫!
あなたなら、絶対に幸せな未来を掴めますからっ!」
……その元気だけは、本物ね。
──そして、学園に到着。
この世界の魔法学園は、私たちの世界で言う大学のような場所らしい。
十八歳以上で魔法を使える国民は、身分に関係なく通わされる学校だ。
門をくぐり、校舎へと向かって歩いていると、女子たちから遠巻きに見られ、ひそひそと噂話が飛び交う。
……針のむしろ状態とは、このことね。
彼女、よくこんな環境で平気だったわね。
ある意味、鋼のメンタルだわ。
「あら。
今日は、他の殿方をはべらせていらっしゃらないのですね」
その声に振り返ると、悪役令嬢・レミリア様が立っていた。
気の強そうな吊り目、美しい真紅の髪にルビーの瞳。
そう──漫画版『キミセカ』のヒロインであり、真紅の薔薇の化身と謳われるほどの、美少女だ。
その完璧な美貌に、思わず見惚れてしまった。
「あら、あなた。
今日は首が揺れていませんのね」
……おおっ!?
早速、気付いてくださった!!
そう。
あの後、女神にお願いして“首が揺れない”ようにしてもらったのだ。
首が揺れるのは、赤べこだけで十分よ!
しかも、あれで世界を見ると酔うのよね。
女神パワーで揺れなくなった首を馬車の窓で確認した時、思わずガッツポーズしたほどよ!
(うん!
首は揺れてないわ!
私……ついに勝ったのね!)
──そんな私の努力に気付いてくれるなんて、レミリア様、さすがです!
「髪型も……変えたのですわね。
その方が、すっきりしていてよろしくてよ?」
嫌いであろう私にさえ、ちゃんと褒め言葉をくださる。
……マジで天使なの?
「ありがとうございます!」
キラキラした目でお礼を言うと──
「レミリア!
貴様、またソフィアを虐めているのか!」
どこからともなく飛び込んできたのは、彼女の婚約者であり、問題のバカ王子・クリフォード。
(うわぁ……出た。
顔だけイケメン系バカ。)
近づいてくるたび、私は後ずさりする。
「愛しのソフィア、どうしたんだい?」
両手を広げ、満面の笑みでこちらに向かってくる。
その目付きが……なんて言うの?
身体を舐め回すような、視姦しているかのような、ねっとりとした視線。
ぞわりと鳥肌が立った。
(いや、無理無理無理!
顔だけで中身ゼロとか一番苦手!
しかも、そのねっとりした視線がキモい!)
「ご……ごめんなさい!
生理的に無理!」
そう叫んで、私は全力で逃げ出した。
その背中を、レミリア様とクリフォード王子が呆然と見つめていたのは、言うまでもない。
7
あなたにおすすめの小説
『呪いのせいで愛妻家になった公爵様は、もう冷徹を名乗れない(天然妻は気づかない)』
星乃和花
恋愛
【全20話+番外3話+@:火木土21:00更新】
「冷徹公爵」と呼ばれるレオンハルトが、ある日突然“愛妻家”に豹変――原因は、妻リリアにだけ発動する呪いだった。
手を離せない、目を逸らせない、褒めたくなる、守りたくなる……止まれない溺愛が暴走するのに、当のリリアは「熱(体調不良)」と心配または「治安ですね」と天然で受け流すばかり。
借金を理由に始まった契約結婚(恋愛なし)だったはずなのにーー??
そんなふたりの恋は愉快な王都を舞台に、屋敷でも社交界でも面白……ゆるふわ熱烈に見守られる流れに。
甘々・溺愛・コメディ全振り!
“呪いのせい”から始まった愛が、最後は“意思”になる、にやにや必至の夫婦ラブファンタジー。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~
ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」
中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。
そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。
両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。
手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。
「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」
可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。
16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。
13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。
「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」
癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
孤独なもふもふ姫、溺愛される。
遊虎りん
恋愛
☆☆7月26日完結しました!
ここは、人間と半獣が住んでいる星。いくつかある城の1つの半獣の王と王妃の間に生まれた姫は、半獣ではない。顔が『人』ではなく『獣』の顔をした獣人の姿である。半獣の王は姫を城から離れた塔に隠した。孤独な姫ははたして、幸せになれるのだろうか。。。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
星森
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
待ち伏せされた悪役令嬢、幼馴染み騎士団長と初恋をやり直す。
待鳥園子
恋愛
悪役令嬢クラウディア・エズモンドとして転生し、前世の記憶が婚約破棄の夜会数日前に戻った。
もう婚約破棄されることは避けられない。覚悟を決めて夜会が開催される大広間に向かう途中、騎士団長であるオルランド・フィンリーに呼び止められ……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
