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15歳 その8
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それからの日々は割と平穏なものだった。
というのも、リチャード様とマリアから互いの話をされることが少なくなっていったことが大きい。
もしかしたら私の嫉妬心に気付かれたかもしれないと思いながらも、何も言わずに日々を過ごした。
2人が何も言わないのに自分から話を切り出すことなんて、恐ろしくてできるはずもない。
表面上の出来事だけを捉えて、ただただ自分の心が守られたことに安堵していた。
けれどやっぱりそれは表面上の出来事に過ぎなかった。
「エイミー……大事な話があるの」
ある日の放課後、思いつめたような表情のマリアに声をかけられた。
「どうしたのマリア?」
「少し……中庭までいいかしら?」
「ええ、わかったわ」
そうやって声をかけられた時から嫌な予感はしていた。
その話を聞いてしまったら引き返せなくなる。そんな気持ちでいっぱいだった。
だけどこんな表情をしたマリアに否を告げるわけにもいかない。どの道、避けて通ることはできないと気持ちを引き締め直す。
「あのね、エイミー……私リチャード殿下のことを好きになってしまったみたい」
そして中庭についてから告げられた言葉は、やはりというか良い物ではなかった。
「えっ!?」
マリアがリチャード様のことを好きになった。
いずれその時が来るであろうことは予想していた。けれど、こうやって私にそれを告げられるとは思ってもいなくてただただ驚いてしまう。
「でも、ただ好きなだけで……この気持ちをリチャード殿下にお伝えする気はないわ」
けれど、私のそんな戸惑いをよそにマリアは淡々と言葉を紡ぐ。
リチャード様には伝えるつもりもないならば、それは自分の心の中にしまっておいてもいいはずの気持ちだ。
「……マリア」
何故私にそんなことを告げるのか。胡乱な気持ちでマリアのことを見ると、固く唇を結んで泣き出す寸前のような表情をしていた。
「エイミーにはちゃんと伝えなきゃって……本当にごめんなさい」
そんな表情でしゅんとうつむきがちに告げた後にゆっくりと頭を下げる。その姿は庇護欲をそそるもので、大変可愛らしい。
こういうところはやっぱりヒロインだな。なんて、どうしても意地の悪い事を考えてしまう。
芽生えてしまった恋心をリチャード様には伝えることはできない。だからリチャード様の婚約者である私に自分の気持ちを吐露した。
そうやって、マリアはマリアなりにけじめをつけようとしているのだろう。
だけど私はそんなこと聞きたくなかった。
「驚いたけれど……謝るようなことじゃないわ」
でも、マリアにそんなこと言えるはずもなくて、優等生ぶった台詞を返すことしかできない。
そもそもリチャード様はとっても素敵な人なのだ。だから、マリアが好きになってしまうのも仕方ないこと。
それに好きになってしまったというその気持ちは、誰に責められるものでもない。
確かに私はリチャード様の婚約者ではあるけれど、マリアの気持ちにまでは踏み込む権利はない。
「エイミー……」
何よりマリアはヒロインなのだ。リチャード様とはいずれ結ばれる。そんな運命が確定している。
マリアがリチャード様を好きになった。それはゲーム通りに進んでいるのならば必然で。
つまり私とリチャード様のお別れが近いことを告げているようなものではないか。
「ちゃんと話してくれてありがとう。マリア」
無理矢理に笑顔を作って内心とは裏腹な言葉を紡ぐ。
私だって突然のことで混乱していて、多分ぎこちなくしか笑えてないのだろう。マリアは余計にしゅんとしてしまった。
「エイミーの婚約者だってちゃんとわかってるのに……ごめんね」
そう告げたマリアの目元には薄く涙の幕が張っていた。
マリアだって辛いのだろう。婚約者のいる相手を好きになって、そのうえに自分の友達がその婚約者で。それだけを考える、その想いを叶えるのはどれだけ困難な道かわかったものではない。
リチャード様に告げるつもりはないといのも本心だろう。
でも……マリアは「ヒロイン」だから、その恋心は成就する。そして私の恋心は砕け散るのだ。
勿論、そんなことは言えるはずもないけれど。
本来であれば私の方が優位に立っているはずなのに、内心は泣き叫びたいほど苦しい。
「本当にいいのよ……マリア」
だけど、真摯に告げてくれたマリアに対して、乱暴な対応をするわけにもいかない。
なんとか表面だけを取り繕って、そうやって告げるのが精一杯だった。
というのも、リチャード様とマリアから互いの話をされることが少なくなっていったことが大きい。
もしかしたら私の嫉妬心に気付かれたかもしれないと思いながらも、何も言わずに日々を過ごした。
2人が何も言わないのに自分から話を切り出すことなんて、恐ろしくてできるはずもない。
表面上の出来事だけを捉えて、ただただ自分の心が守られたことに安堵していた。
けれどやっぱりそれは表面上の出来事に過ぎなかった。
「エイミー……大事な話があるの」
ある日の放課後、思いつめたような表情のマリアに声をかけられた。
「どうしたのマリア?」
「少し……中庭までいいかしら?」
「ええ、わかったわ」
そうやって声をかけられた時から嫌な予感はしていた。
その話を聞いてしまったら引き返せなくなる。そんな気持ちでいっぱいだった。
だけどこんな表情をしたマリアに否を告げるわけにもいかない。どの道、避けて通ることはできないと気持ちを引き締め直す。
「あのね、エイミー……私リチャード殿下のことを好きになってしまったみたい」
そして中庭についてから告げられた言葉は、やはりというか良い物ではなかった。
「えっ!?」
マリアがリチャード様のことを好きになった。
いずれその時が来るであろうことは予想していた。けれど、こうやって私にそれを告げられるとは思ってもいなくてただただ驚いてしまう。
「でも、ただ好きなだけで……この気持ちをリチャード殿下にお伝えする気はないわ」
けれど、私のそんな戸惑いをよそにマリアは淡々と言葉を紡ぐ。
リチャード様には伝えるつもりもないならば、それは自分の心の中にしまっておいてもいいはずの気持ちだ。
「……マリア」
何故私にそんなことを告げるのか。胡乱な気持ちでマリアのことを見ると、固く唇を結んで泣き出す寸前のような表情をしていた。
「エイミーにはちゃんと伝えなきゃって……本当にごめんなさい」
そんな表情でしゅんとうつむきがちに告げた後にゆっくりと頭を下げる。その姿は庇護欲をそそるもので、大変可愛らしい。
こういうところはやっぱりヒロインだな。なんて、どうしても意地の悪い事を考えてしまう。
芽生えてしまった恋心をリチャード様には伝えることはできない。だからリチャード様の婚約者である私に自分の気持ちを吐露した。
そうやって、マリアはマリアなりにけじめをつけようとしているのだろう。
だけど私はそんなこと聞きたくなかった。
「驚いたけれど……謝るようなことじゃないわ」
でも、マリアにそんなこと言えるはずもなくて、優等生ぶった台詞を返すことしかできない。
そもそもリチャード様はとっても素敵な人なのだ。だから、マリアが好きになってしまうのも仕方ないこと。
それに好きになってしまったというその気持ちは、誰に責められるものでもない。
確かに私はリチャード様の婚約者ではあるけれど、マリアの気持ちにまでは踏み込む権利はない。
「エイミー……」
何よりマリアはヒロインなのだ。リチャード様とはいずれ結ばれる。そんな運命が確定している。
マリアがリチャード様を好きになった。それはゲーム通りに進んでいるのならば必然で。
つまり私とリチャード様のお別れが近いことを告げているようなものではないか。
「ちゃんと話してくれてありがとう。マリア」
無理矢理に笑顔を作って内心とは裏腹な言葉を紡ぐ。
私だって突然のことで混乱していて、多分ぎこちなくしか笑えてないのだろう。マリアは余計にしゅんとしてしまった。
「エイミーの婚約者だってちゃんとわかってるのに……ごめんね」
そう告げたマリアの目元には薄く涙の幕が張っていた。
マリアだって辛いのだろう。婚約者のいる相手を好きになって、そのうえに自分の友達がその婚約者で。それだけを考える、その想いを叶えるのはどれだけ困難な道かわかったものではない。
リチャード様に告げるつもりはないといのも本心だろう。
でも……マリアは「ヒロイン」だから、その恋心は成就する。そして私の恋心は砕け散るのだ。
勿論、そんなことは言えるはずもないけれど。
本来であれば私の方が優位に立っているはずなのに、内心は泣き叫びたいほど苦しい。
「本当にいいのよ……マリア」
だけど、真摯に告げてくれたマリアに対して、乱暴な対応をするわけにもいかない。
なんとか表面だけを取り繕って、そうやって告げるのが精一杯だった。
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