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しおりを挟むアイザックの告白に、思わず耳を疑う。
「アイクが・・・私を?」
「何でそんなに驚いてるの?俺、これまでも結構、アピールしていたつもりだったんだけど」
え!?気付かなかった・・・・
私の表情で全てを悟ったのか「はぁ・・・」とアイザックは溜息を吐いた。
「確かに、言葉で伝える事は大事だよな。―――・・・俺の場合は、驕りが原因だけど・・・」
最後の方は声が小さくて聞こえなかったけど、ここ数日ではなく、前からアピールしてたんだ・・・と、なんかびっくり。
「親父がこの国に来たのは、俺に喝を入れるためだと思う」
「え?」
「昔、俺がこの国に来るために、親父達に宣言していた事があるんだ」
「宣言?」
「あぁ、ベアトリス殿下と結婚するためにシュルファ国へ行きたい、と」
「あ?・・・・えぇぇぇぇ!?」
「そんな大口叩いて帝国を出てきたってのに、何時まで経っても婚約の話は聞こえてこないし、何故かビーはアルンゼン国王と結婚する事になったし・・・それを聞いて、わざわざ尻を叩きに来たんだよ」
え?ぇぇぇ?アイザック、私と結婚したくてこの国に来たの!?
私の騎士になってくれたの?
えぇぇぇぇ!・・・・・嬉しいんだけどっ!!
「親父の見合いの話だって、相手は多分いない。いたとしてもビーの事だと思う」
「わ、たし?」
「あぁ。俺が余りにも不甲斐ないから、親父がカノープス公爵家から王女殿下へ結婚の申込をしようとしたんだ。熊の様に見えて子煩悩なんだよ。うちの親父は」
確かに。無関心だったらアイザックを心配してわざわざ会いにきたり、カル兄様の話を聞いた途端、速攻で帰国したりしないわよね。
「アイク・・・本当に、私と結婚するために、この国に来たの?」
やっぱり信じられなくて、聞き返してしまう。
「本当だよ。俺はビー以外の女はいらない。だから、花街にも行ったことはないし、恋人を作ったこともない」
「え?じゃあ、アイクって・・・・・」
その先はわざわざ言わないけど・・・童貞?声には出さないけど・・・・童貞?
私の言いたい事なんてすぐにわかる彼は、開き直ったかのように「悪いか?」と言ってくる。
「悪くはないわ!・・・・何処の国でも同じような考えで、男は遊んでなんぼみたいに言われて、女が遊ぶと身持ちが悪いと言われる・・・不公平だと思うの。特に高位貴族は。だから、相手を想って女性経験がないって言うの、私は支持するし好きよ!」
女誑しではないという事、アイザックが私以外を求めていなかった事が思っていた以上に嬉しくて、抱き着く勢いでアイザックに迫った。
「お・・おぅ・・・喜んでもらえて、嬉しいよ」
頬をほんのり染めて私の手を握るアイザックは、いつもの彼とは違って可愛らしい。
「ビーは兄貴が好きなんだと、ずっと思ってた・・・・」
「カル兄様を?それは大好きよ。優しいし、カッコイイし、可愛らしいし」
私がカル兄様をべた褒めすると、あからさまに彼は顔を歪めていく。
そんなアイザックが愛しくてたまらない。・・・・困ったわ。箍が外れるってこういう事を言うのかしら。こんなにも浮かれてしまうなんて・・・
「でもね、カル兄様に対する好きとアイクに対する好きは、全く違うのよ」
「誰の目から見ても、ビーは兄貴に夢中だったじゃないか」
「それはそうよ!まるで私の想像していた理想のお兄様そのものなんだもの!」
私は一人っ子だから、兄や姉、妹や弟と言うものにとても憧れていた。
だからカル兄様と接していくうちに、自分の理想そのものだと思ったの。
「え?理想の、兄?」
呆然としたよな表情の後に、アイザックは大きな大きな溜息を吐いた。
「俺は、ビーは兄貴が好きだと思っていた。だけど諦めたくはなかった。俺は一目見た時からビーしか見えていなかったし、初めは確かにその容姿に惹かれたけど、実はとんでもなくお転婆で正義感が強く豪胆で・・・でも、危なっかしくて・・・・目が離せなくなっていた。だから兄貴には取られたくなかった」
突然の熱烈告白タイムにギョッとする私。顔が熱くなってきたわ!
「ずっと側に居て、ビーを支えたいと思ったんだ。だから・・・・」
そう言うと、これ以上密着できないというくらいに腰を抱き寄せ、私の左手に口付けた。
「私アイザック・クルス・カノープスは、ベアトリス王女殿下を誰よりも愛しています。私と結婚して下さい」
膝の上に抱いたままに王女へのプロポーズなど・・・
―――だけど、死ぬほど嬉しいわ。
「えぇ。喜んで」
そして私達は、初めての口付けをした。
それは長くて深くて・・・・初めはぎこちなかったけれど、それすら嬉しくてとても幸せな口付けだった。
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