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約六百年ぶりに体に満ちる魔力に、アリアドネは満足そうに伸びをした。
「あぁ、生き返る・・・とは、まさにこういう事を言うのだろうね」
風を体全体で浴びながら、後ろから抱きしめているリヒトに満面の笑みを向けた。
その笑顔があまりにも純粋に美しくて愛らしくて、リヒトは堪らずアルラウネをぎゅっと抱きしめた。
「リヒト、どうしたの?」
「・・・アルラウネが好きすぎて・・・・苦しい・・・」
「ふふふ・・・相変わらずだな。私も好きだよ。やっと自由になれたのだから、これからはリヒトと色んな所を巡りたいね」
彼等二人は今、アルラウネの魔力で作った大きな鳥の背に乗り、キャベラ帝国へと向かっていた。
安心しきったように背を凭れてくる愛しい彼女のこめかみに、愛しさを伝える様に口づける。
「なぁ、アルラウネ。コーエン王国だけど、本当に滅ぼさなくてもよかったのか?」
甘やかな眼差しで見つめながら、なんとも物騒な事を聞いてくる。
何度も生まれ変わり、リヒトはアルラウネの元に帰ってきた。
そしてその度にこの状況に腹を立てていた。
彼女は、魔力を抜かれてさえいなければ、指輪など簡単に抜く事も出来た。
しかも、比較的自由に行動でき始めたのも百年を過ぎた頃からだった。
それまでは体を思うように動かせず寝込むことも多かったのだ。
それを嫌った彼女は、己の指を落そうとしたが、保護魔法がかかっており、アルラウネの体には傷一つ付ける事が出来なかった。
それに関しては「アルラウネの体に傷一つでも付けてみろ。殺す・・・」が通常のリヒトからしてみれば、当然の処置ともいえる。
だがそれはそれ、これはこれ、だ。
長い間愛する人を酷使していた国など、初代国王だったとしてもリヒトの中ではゴミクズ以下の存在。
「私が直接手を下さなくても、あの国はそう長くはないだろう。まぁ、今後の対処の仕方によっては、国として存続するかもしれないけれど」
結界が無くなったのだ。これからは魔獣やら何やらが攻め込み、治安が悪化していくだろう。
「まぁ、為政者の腕の見せ所だろうね」
興味なさそうなアルラウネにリヒトは「そうだな」とその頬に唇を寄せた。
甘える様なその仕草が可愛くて、アルラウネはリヒトの頭を愛し気に撫でる。
「ねぇ、リヒト。私は、ただ無駄にこの長い時間を過ごしていたわけじゃない。身体が自由に動くようになってから魔法の研究もしていた。何度も私の元に帰ってきたリヒトならわかってると思うけど」
「まぁ、何の研究なのかは未だに教えてもらえないけどね」
かなり魔法に詳しいリヒトですら、彼女の研究している魔法が高度過ぎて理解できていなかった。
「で、何の魔法?完成したの?」
「あぁ、完成したよ」
そう言いながら掌を開けば、真珠の様な小さな丸薬が二つ。
「なぁ、リヒト。私と結婚しないか?」
さらりと何でもない事の様に求婚するアルラウネの言葉に、リヒトは反射的に頷きそうになったが、その言葉の重要さを理解したとたん目を見開き固まった。
「確かに私達は事実婚という関係だ。だが、魔女との婚姻ではない」
「魔女との、婚姻?」
「魔女が不老不死である事は知っているだろう?だからリヒトは互いの魂に楔を打ち輪廻転生を繰り返し私の元に帰ってきた。だがね、いくら私の元に戻ってくるとわかっていても、愛する人を何度も看取る事は苦しいし悲しい。そして、次に帰ってくるまでの待つ時間が、とても長く感じる。本当に帰ってくるのかと・・・不安だった」
永遠の寿命。リヒトと過ごした時間はあっという間で、待つ時間がとても長く感じていた。
永遠を生きる魔女であっても、孤独は毒薬にも近い。幸せを知ってしまった彼女にとっては、何よりも苦しい時間。
「リヒト、私と永遠を生きないか?」
人にとって永遠とは、ある意味地獄の様に感じるだろう。
そして永遠を終わらせるには、自死しかない。
何度も生まれ変わり、戻ってきてくれてはいるが、それがリヒトにとっての幸せなのか不安だった。
魂は縛れても、心は自由なのだから。
いつも自信に満ちた眼差しは鳴りを潜め、不安げに揺れながらリヒトを見上げてくる。
求婚にも心臓を止めそうになるほどの威力があったが、止めを刺すかのようにそんな眼差しで見つめら、リヒトは呻きながらアルラウネを抱きしめた。
「そんなの、返事は決まってる!生きる!一緒に生きるよ!!」
リヒトはアルラウネを抱きしめたまま、後ろに倒れた。
「もぉ、何でアルラウネから!俺も求婚したよね?!寿命の事も相談したかったのに・・・・でも、死ぬほど嬉しい・・・嬉しい・・・」
胸に彼女を抱きしめ、噛みしめる様にどうしようもない気持ちを言葉にして歓喜を吐き出す。
リヒトも苦しかったし悲しかったのだ。愛する人を何度も残して死んでしまう事が。
悲しませるとわかっていても、傍にいたくて、抱きしめたくて、どうしても求めてしまう気持ちを押さえられなかった。
だから、アルラウネの元へと帰っていた。
そして次第に強く願うようになる。
俺もアルラウネと永遠を生きたい・・・・
コーエン王国から解放されたら、改めて求婚しようと思っていた。
寿命の事も、二人で研究して克服できたらとも思っていた。それまでに何度転生しなくてはいけないのかと、憂鬱にもなるが。
あぁ、俺が何度も生まれ変わってアルラウネの側にいたけれど、会えた嬉しさと独り占め出来る幸福で、頭の中に花畑を栽培してしまっていた・・・・
愛しい人は、ずっと未来を見て行動をしていたというのに・・・なんとも情けない・・・・
嬉しくてたまらないけれど、浮かれまくっていた自分が恥ずかしくなってくる。
「どうして俺にも手伝わせてくれなかったんだ・・・アルラウネと共に過ごせる喜びで、只々浮かれまくってるだけだったよ、俺・・・」
「ふふふ・・・驚かせたくて内緒にしていたからね。それに嬉しくて毎回浮かれていたのは、私も同じだよ。だから、これを作ったんだ」
二人は起き上がり、アルラウネの掌にある小さな丸薬を見つめた。
「これを飲んでしまったら、後戻りはできないよ?永遠に生きる事になるんだから」
「かまわない。アルラウネといられるなら」
「どちらかが死ねば、もう片方も死んでしまうよ」
「時を同じくして死ねるなんて、なんて幸せな事なんだ」
残される側、残して逝く側。それぞれが苦しい事を知っている。
「俺はね、アルラウネを独り占めしたいんだ」
蕩ける様な眼差しで丸薬を摘み、ためらいもなく口に含むとごくりと飲み込んだ。
余りの早業に呆気に取られているアルラウネの口に、リヒトは丸薬を押し込んだ。
アルラウネの喉が丸薬を飲み込むように動いたのを確認すると、感極まったようにリヒトは彼女をぎゅうぎゅうと抱きしめた。
「あぁ・・・夢がかなった。ずっとずっと、一緒だ。もう、離れなくてもいいんだ・・・・」
「・・・そうね。愛している、リヒト」
「俺も、愛している。もう、絶対に離れないから」
隠す事のない、重い執着を滲ませるリヒトを、可愛らしいと受け入れるアリアドネ。
楽しみでしかない永遠に、頬を寄せ合いこの先の幸せに思いを巡らせ、戯れる様に口づけあう。
当然の事ながら、コーエン王国の事など心の隅にも無い。
オレルが何故、魔女との結婚を結界よりも重視していたのか・・・もしかしたら、自分自身に転生の魔法を刻み、いつか自分が生まれ変わった時を夢見ていたのかもしれない。
まぁ、それも憶測にすぎないが。
そんな事すら二人にとっては些末な事だ。
記憶から抹消してしまうほど、これから先の・・・永遠の幸せに酔いしれているのだから。
「あぁ、生き返る・・・とは、まさにこういう事を言うのだろうね」
風を体全体で浴びながら、後ろから抱きしめているリヒトに満面の笑みを向けた。
その笑顔があまりにも純粋に美しくて愛らしくて、リヒトは堪らずアルラウネをぎゅっと抱きしめた。
「リヒト、どうしたの?」
「・・・アルラウネが好きすぎて・・・・苦しい・・・」
「ふふふ・・・相変わらずだな。私も好きだよ。やっと自由になれたのだから、これからはリヒトと色んな所を巡りたいね」
彼等二人は今、アルラウネの魔力で作った大きな鳥の背に乗り、キャベラ帝国へと向かっていた。
安心しきったように背を凭れてくる愛しい彼女のこめかみに、愛しさを伝える様に口づける。
「なぁ、アルラウネ。コーエン王国だけど、本当に滅ぼさなくてもよかったのか?」
甘やかな眼差しで見つめながら、なんとも物騒な事を聞いてくる。
何度も生まれ変わり、リヒトはアルラウネの元に帰ってきた。
そしてその度にこの状況に腹を立てていた。
彼女は、魔力を抜かれてさえいなければ、指輪など簡単に抜く事も出来た。
しかも、比較的自由に行動でき始めたのも百年を過ぎた頃からだった。
それまでは体を思うように動かせず寝込むことも多かったのだ。
それを嫌った彼女は、己の指を落そうとしたが、保護魔法がかかっており、アルラウネの体には傷一つ付ける事が出来なかった。
それに関しては「アルラウネの体に傷一つでも付けてみろ。殺す・・・」が通常のリヒトからしてみれば、当然の処置ともいえる。
だがそれはそれ、これはこれ、だ。
長い間愛する人を酷使していた国など、初代国王だったとしてもリヒトの中ではゴミクズ以下の存在。
「私が直接手を下さなくても、あの国はそう長くはないだろう。まぁ、今後の対処の仕方によっては、国として存続するかもしれないけれど」
結界が無くなったのだ。これからは魔獣やら何やらが攻め込み、治安が悪化していくだろう。
「まぁ、為政者の腕の見せ所だろうね」
興味なさそうなアルラウネにリヒトは「そうだな」とその頬に唇を寄せた。
甘える様なその仕草が可愛くて、アルラウネはリヒトの頭を愛し気に撫でる。
「ねぇ、リヒト。私は、ただ無駄にこの長い時間を過ごしていたわけじゃない。身体が自由に動くようになってから魔法の研究もしていた。何度も私の元に帰ってきたリヒトならわかってると思うけど」
「まぁ、何の研究なのかは未だに教えてもらえないけどね」
かなり魔法に詳しいリヒトですら、彼女の研究している魔法が高度過ぎて理解できていなかった。
「で、何の魔法?完成したの?」
「あぁ、完成したよ」
そう言いながら掌を開けば、真珠の様な小さな丸薬が二つ。
「なぁ、リヒト。私と結婚しないか?」
さらりと何でもない事の様に求婚するアルラウネの言葉に、リヒトは反射的に頷きそうになったが、その言葉の重要さを理解したとたん目を見開き固まった。
「確かに私達は事実婚という関係だ。だが、魔女との婚姻ではない」
「魔女との、婚姻?」
「魔女が不老不死である事は知っているだろう?だからリヒトは互いの魂に楔を打ち輪廻転生を繰り返し私の元に帰ってきた。だがね、いくら私の元に戻ってくるとわかっていても、愛する人を何度も看取る事は苦しいし悲しい。そして、次に帰ってくるまでの待つ時間が、とても長く感じる。本当に帰ってくるのかと・・・不安だった」
永遠の寿命。リヒトと過ごした時間はあっという間で、待つ時間がとても長く感じていた。
永遠を生きる魔女であっても、孤独は毒薬にも近い。幸せを知ってしまった彼女にとっては、何よりも苦しい時間。
「リヒト、私と永遠を生きないか?」
人にとって永遠とは、ある意味地獄の様に感じるだろう。
そして永遠を終わらせるには、自死しかない。
何度も生まれ変わり、戻ってきてくれてはいるが、それがリヒトにとっての幸せなのか不安だった。
魂は縛れても、心は自由なのだから。
いつも自信に満ちた眼差しは鳴りを潜め、不安げに揺れながらリヒトを見上げてくる。
求婚にも心臓を止めそうになるほどの威力があったが、止めを刺すかのようにそんな眼差しで見つめら、リヒトは呻きながらアルラウネを抱きしめた。
「そんなの、返事は決まってる!生きる!一緒に生きるよ!!」
リヒトはアルラウネを抱きしめたまま、後ろに倒れた。
「もぉ、何でアルラウネから!俺も求婚したよね?!寿命の事も相談したかったのに・・・・でも、死ぬほど嬉しい・・・嬉しい・・・」
胸に彼女を抱きしめ、噛みしめる様にどうしようもない気持ちを言葉にして歓喜を吐き出す。
リヒトも苦しかったし悲しかったのだ。愛する人を何度も残して死んでしまう事が。
悲しませるとわかっていても、傍にいたくて、抱きしめたくて、どうしても求めてしまう気持ちを押さえられなかった。
だから、アルラウネの元へと帰っていた。
そして次第に強く願うようになる。
俺もアルラウネと永遠を生きたい・・・・
コーエン王国から解放されたら、改めて求婚しようと思っていた。
寿命の事も、二人で研究して克服できたらとも思っていた。それまでに何度転生しなくてはいけないのかと、憂鬱にもなるが。
あぁ、俺が何度も生まれ変わってアルラウネの側にいたけれど、会えた嬉しさと独り占め出来る幸福で、頭の中に花畑を栽培してしまっていた・・・・
愛しい人は、ずっと未来を見て行動をしていたというのに・・・なんとも情けない・・・・
嬉しくてたまらないけれど、浮かれまくっていた自分が恥ずかしくなってくる。
「どうして俺にも手伝わせてくれなかったんだ・・・アルラウネと共に過ごせる喜びで、只々浮かれまくってるだけだったよ、俺・・・」
「ふふふ・・・驚かせたくて内緒にしていたからね。それに嬉しくて毎回浮かれていたのは、私も同じだよ。だから、これを作ったんだ」
二人は起き上がり、アルラウネの掌にある小さな丸薬を見つめた。
「これを飲んでしまったら、後戻りはできないよ?永遠に生きる事になるんだから」
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「時を同じくして死ねるなんて、なんて幸せな事なんだ」
残される側、残して逝く側。それぞれが苦しい事を知っている。
「俺はね、アルラウネを独り占めしたいんだ」
蕩ける様な眼差しで丸薬を摘み、ためらいもなく口に含むとごくりと飲み込んだ。
余りの早業に呆気に取られているアルラウネの口に、リヒトは丸薬を押し込んだ。
アルラウネの喉が丸薬を飲み込むように動いたのを確認すると、感極まったようにリヒトは彼女をぎゅうぎゅうと抱きしめた。
「あぁ・・・夢がかなった。ずっとずっと、一緒だ。もう、離れなくてもいいんだ・・・・」
「・・・そうね。愛している、リヒト」
「俺も、愛している。もう、絶対に離れないから」
隠す事のない、重い執着を滲ませるリヒトを、可愛らしいと受け入れるアリアドネ。
楽しみでしかない永遠に、頬を寄せ合いこの先の幸せに思いを巡らせ、戯れる様に口づけあう。
当然の事ながら、コーエン王国の事など心の隅にも無い。
オレルが何故、魔女との結婚を結界よりも重視していたのか・・・もしかしたら、自分自身に転生の魔法を刻み、いつか自分が生まれ変わった時を夢見ていたのかもしれない。
まぁ、それも憶測にすぎないが。
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