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今日、ライラとエドワルドが顔を合わせたのは、本当に偶然だった。
だが、二人が顔を合わせた時から計画を開始する事は、事前に決めていた。
きっと、エドワルドを欲しがることは、わかっていたから。
ライラが学園の寮へと入れられた時から、ユスティアとエドワルドはライラの夫となるべき可哀そうな生贄を探していたのだ。
その人は二人の計画に、無くてはならない重要人物になるのだから。
一足先に社交界デビューしていたエドワルドを中心に、さまざまな噂などをかき集め、誰がライラの手綱を握ってくれるのかを見極めていた。
そんななかで、一人の貴族令息が浮かび上がったのだ。
彼はコックス伯爵の次男、ユージン。二十一才。
金髪碧眼の美男子で、不愛想なエドワルドとは正反対のいつも微笑みを絶やさず、貴族令嬢達には大人気である。
そんな彼には婚約者も恋人もいない。
ただ、そこそこ浮名は流していたが、その浮名の内容にエドワルドは目を付けたのだ。
ただの噂かもしれない。人気のある彼を妬んで、誰かか故意に流した作り話かもしれない。
それでも、気になったのだ。
そこからユスティアとエドワルドは、彼の事を調べた。
ユスティアは社交間近な令嬢達が集まる茶会で。
エドワルドは、ユージンと直接関りは無かったので、共通の知人から情報を得ていった。
そして二人は確信する。
彼も、ある意味ライラと似たような性癖を持っているのでは・・・と。
ユージンの恋愛遍歴。それを紐解けばすぐにわかった。
彼は、恋人や婚約者がいる女性を好んでいると。
ある令息が言った。
「俺には婚約者がいたんだ。
だが、ある時から彼女の様子がおかしくなって・・・会おうと言っても用事があるといつも断られ、やっと会えたかと思うと上の空。
もしかしたら、浮気か・・・と後をつけたんだ。
そうしたら、あのユージン・コックスと会ってたんだよ!
彼女を問いただしたら、彼とは付き合っていない。片思いだって言うんだ!
婚約?当然、破棄だよ。他の誰かを好きな女と何で結婚しなきゃいけないんだ。
彼女とユージンが付き合っているかって?それは無いね。どう見ても彼女だけが夢中になっている感じだったし」
ある令嬢が言った。
「ユージン様とは美術館で偶然お会いしましたの。
なんでも、コックス伯爵家で所有している絵を何点か貸し出していたので、ご招待されたのだとか。
その時は当時婚約者だった方と一緒で、彼と共に挨拶を交わした程度でした。
それから数日後、宝石店でまたも偶然お会いしたのですわ。
その時も婚約者と一緒だったのですが、ユージン様とお話しする機会がありまして、その時に恋する女性はきらきらしていて美しいですねって言われましたのよ!
その後も何度かお会いする機会があったのですが、いつも婚約者と一緒でしたわ。
そして会う度に、幸せそうで羨ましいだとかそういうたぐいの事を言われて、恥ずかしながら私に気があるのかしらと思いましたの。
次第にユージン様の事しか考えられなくなってしまって・・・
婚約は破棄しましたわ・・・・
え?ユージン様とのその後ですか?
お会いしていませんわ。お会いする機会が無いのですもの。
・・・・私が婚約を破棄してしまったからお会いしてくれないのかしら・・・・」
彼の恋愛話はこれと似たような話ばかりだった。
一つくらいは誰かと真剣にお付き合いしていたのではと思っていたが、本当に噂程度のものばかりで、信憑性に欠けていた。
そんな噂話も、ユージンを好きな令嬢が勝手に流したものを放置していただけで、真実を隠すために好きにさせていたのだろうとユスティア達は見ている。
「ユージン様って、もしかしたら試してらっしゃるのかしら・・・」
「何を?女性は全て自分を好きになるはずって?」
「う~ん・・・ちょっと違うかな。どちらかと言うと、お相手の女性の一途さ?」
「え?それを試すために粉かけまくってるっていうのか?いい迷惑じゃないか」
「そうよね。それに女性がユージン様に見向きもしないのであれば、お付き合いする事も出来ないんだし」
何故、相手がいる女性に気のあるセリフを吐くのかが、今一つ理解できない。
「でも、ティアの妹と相性が良さそうな気がしたんだよね。あくまでも、僕の直感だけど」
「実は私も思ってたの。ライラのさっきの様子から、ルドに完全に恋したと思う。それに加え私と親しいというおまけつき。私のものを欲しがる彼女であれば、絶対食らい付いてくるわ」
「なんか、肉食獣みたいで怖いよ。あの時も、本当に自分がどうすれば可愛く見えるかってわかってたみたいだし。正直気持ち悪かった」
「あれにみんなが騙されるのよね・・・・女性側から見れば、計算高くてあざとくってうわべだけってわかるから、騙される男が馬鹿みたいに見えるのよ」
「甘えられて嬉しいんだろうけど、僕はそれがティアでないと意味がないんだけどね」
そう言って膝の上のユスティアの頬にキスをした。
馬車の中でも、部屋の中でも常にユスティアを膝に抱き上げるエドワルド。
初めの頃はユスティアも抵抗していたのだが、慣れとは恐ろしいもので、今では爪の先位にしか羞恥を感じない。
まだ、感じるだけいいのかもしれないが・・・・
そして例え膝の上だろうとキスされていようと、真面目な話しも普通にしている二人は、ある意味相性がこの上なく合っているのかもしれない。
そんな二人が出した結論が「ユージン様に、会ってみましょうか」だ。
直接本人に確かめようと決めてから四日後、知人からの紹介でユージンと顔を合わせる事になったのだった。
だが、二人が顔を合わせた時から計画を開始する事は、事前に決めていた。
きっと、エドワルドを欲しがることは、わかっていたから。
ライラが学園の寮へと入れられた時から、ユスティアとエドワルドはライラの夫となるべき可哀そうな生贄を探していたのだ。
その人は二人の計画に、無くてはならない重要人物になるのだから。
一足先に社交界デビューしていたエドワルドを中心に、さまざまな噂などをかき集め、誰がライラの手綱を握ってくれるのかを見極めていた。
そんななかで、一人の貴族令息が浮かび上がったのだ。
彼はコックス伯爵の次男、ユージン。二十一才。
金髪碧眼の美男子で、不愛想なエドワルドとは正反対のいつも微笑みを絶やさず、貴族令嬢達には大人気である。
そんな彼には婚約者も恋人もいない。
ただ、そこそこ浮名は流していたが、その浮名の内容にエドワルドは目を付けたのだ。
ただの噂かもしれない。人気のある彼を妬んで、誰かか故意に流した作り話かもしれない。
それでも、気になったのだ。
そこからユスティアとエドワルドは、彼の事を調べた。
ユスティアは社交間近な令嬢達が集まる茶会で。
エドワルドは、ユージンと直接関りは無かったので、共通の知人から情報を得ていった。
そして二人は確信する。
彼も、ある意味ライラと似たような性癖を持っているのでは・・・と。
ユージンの恋愛遍歴。それを紐解けばすぐにわかった。
彼は、恋人や婚約者がいる女性を好んでいると。
ある令息が言った。
「俺には婚約者がいたんだ。
だが、ある時から彼女の様子がおかしくなって・・・会おうと言っても用事があるといつも断られ、やっと会えたかと思うと上の空。
もしかしたら、浮気か・・・と後をつけたんだ。
そうしたら、あのユージン・コックスと会ってたんだよ!
彼女を問いただしたら、彼とは付き合っていない。片思いだって言うんだ!
婚約?当然、破棄だよ。他の誰かを好きな女と何で結婚しなきゃいけないんだ。
彼女とユージンが付き合っているかって?それは無いね。どう見ても彼女だけが夢中になっている感じだったし」
ある令嬢が言った。
「ユージン様とは美術館で偶然お会いしましたの。
なんでも、コックス伯爵家で所有している絵を何点か貸し出していたので、ご招待されたのだとか。
その時は当時婚約者だった方と一緒で、彼と共に挨拶を交わした程度でした。
それから数日後、宝石店でまたも偶然お会いしたのですわ。
その時も婚約者と一緒だったのですが、ユージン様とお話しする機会がありまして、その時に恋する女性はきらきらしていて美しいですねって言われましたのよ!
その後も何度かお会いする機会があったのですが、いつも婚約者と一緒でしたわ。
そして会う度に、幸せそうで羨ましいだとかそういうたぐいの事を言われて、恥ずかしながら私に気があるのかしらと思いましたの。
次第にユージン様の事しか考えられなくなってしまって・・・
婚約は破棄しましたわ・・・・
え?ユージン様とのその後ですか?
お会いしていませんわ。お会いする機会が無いのですもの。
・・・・私が婚約を破棄してしまったからお会いしてくれないのかしら・・・・」
彼の恋愛話はこれと似たような話ばかりだった。
一つくらいは誰かと真剣にお付き合いしていたのではと思っていたが、本当に噂程度のものばかりで、信憑性に欠けていた。
そんな噂話も、ユージンを好きな令嬢が勝手に流したものを放置していただけで、真実を隠すために好きにさせていたのだろうとユスティア達は見ている。
「ユージン様って、もしかしたら試してらっしゃるのかしら・・・」
「何を?女性は全て自分を好きになるはずって?」
「う~ん・・・ちょっと違うかな。どちらかと言うと、お相手の女性の一途さ?」
「え?それを試すために粉かけまくってるっていうのか?いい迷惑じゃないか」
「そうよね。それに女性がユージン様に見向きもしないのであれば、お付き合いする事も出来ないんだし」
何故、相手がいる女性に気のあるセリフを吐くのかが、今一つ理解できない。
「でも、ティアの妹と相性が良さそうな気がしたんだよね。あくまでも、僕の直感だけど」
「実は私も思ってたの。ライラのさっきの様子から、ルドに完全に恋したと思う。それに加え私と親しいというおまけつき。私のものを欲しがる彼女であれば、絶対食らい付いてくるわ」
「なんか、肉食獣みたいで怖いよ。あの時も、本当に自分がどうすれば可愛く見えるかってわかってたみたいだし。正直気持ち悪かった」
「あれにみんなが騙されるのよね・・・・女性側から見れば、計算高くてあざとくってうわべだけってわかるから、騙される男が馬鹿みたいに見えるのよ」
「甘えられて嬉しいんだろうけど、僕はそれがティアでないと意味がないんだけどね」
そう言って膝の上のユスティアの頬にキスをした。
馬車の中でも、部屋の中でも常にユスティアを膝に抱き上げるエドワルド。
初めの頃はユスティアも抵抗していたのだが、慣れとは恐ろしいもので、今では爪の先位にしか羞恥を感じない。
まだ、感じるだけいいのかもしれないが・・・・
そして例え膝の上だろうとキスされていようと、真面目な話しも普通にしている二人は、ある意味相性がこの上なく合っているのかもしれない。
そんな二人が出した結論が「ユージン様に、会ってみましょうか」だ。
直接本人に確かめようと決めてから四日後、知人からの紹介でユージンと顔を合わせる事になったのだった。
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