それぞれの愛のカタチ

ひとみん

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エドワルドとユスティアは、婚約発表の半年後に結婚式を挙げた。
元々、いつでも結婚できるように準備万端だった事も幸いして、婚約発表からの最短での結婚が実現したのだ。
これも全て、エドワルドの執念の賜物といえよう。

当然だが、エドワルドが待ちに待った初夜は大変だった。
軽く三日は誰とも会えず、全てのお世話はエドワルドがするという、改めて夫の執着の強さを実感したユスティア。
彼の全てで愛情をこれでもかと伝えてくれるのだから、怒るに怒れない。
なんだかんだ言ってユスティアも、年上の可愛い夫を溺愛しているのだから。

ライラとユージンは相変わらずで、結婚式にも招待したのだが、ライラのエドワルドへの執着は日を追うごとに強くなってきている。
ユスティアを見つめる、蕩ける様なあの表情を見てしまえばこうなる事はわかっていた。
そんなライラを嬉しそうに見つめるユージンに、心の中で「幸せそうで何よりだわ」とホッと胸を撫でおろすユスティア。
だが、反対にエドワルドはユージンに対し、表面上は友好的に接するが内心警戒感を決して怠らない。
初めて会った時からわかっていた。
ユージンがユスティアを愛している事を。
彼の性癖から、決して手を出すことは無いだろうと予想はしていたが、愛する妻を邪な目で見られる事は、当然だが気分が良くない。
幸いな事に、積極的にフライアン侯爵家とは交流しない為、会っても年に数度舞踏会などで顔を合わせる程度。
だがそのめったにない交流が、彼等の性癖に刺激を与えている状態といえた。
ユージンだけではない。結婚してもなお、ユスティアを狙う不埒な輩は多い。
自分では気づいていないが、エドワルドも常に肉食系女子に狙われていて、ユスティアも気が気ではないのだが。



そんな二人は、祖母でもあるフレデリカの祖国に、新たなる国王の戴冠式を祝うために訪れていた。
国王である叔祖父が退位し、その息子が即位するのだ。
ユスティアはフレデリカに似ている為、祖母の弟妹や従兄弟達からは異常なほど愛されていた。
ユスティアはその容姿だけではなく、考え方やその仕草など年々似てきていて、容易に周りを魅了する。
そして、肖像画でしかフレデリカの事を知らない人々は、生き写しの彼女にその面影を重ね合わせているのだ。
また、夫でもあるエドワルドの美しさも目を引き、二人が揃うと拝み始める人が出るほど。
祖母を感じる人々と交流する事は嬉しいが、思ってた以上にせわしない日々を送っていたのだった。

戴冠式には、王石で作られた装身具でその身を飾る若き夫婦。
エドワルドはピンブローチとカフスボタン。
ユスティアはティアラとネックレス、イヤリングで。
この国の風習で衣装は、女性は白のハイネックのドレスと決められていた。
男性は同じく白い軍服。上着の丈が長く両脇にスリットが入っている。
双方清廉で禁欲的な衣装でもあり、王石が際立つデザインでもある。
王族に連なる者達は、デザインは多少異なるが、白で統一されており国王だけが王石と同じ赤と緑を纏うのだ。
皆が揃うとそれは見事なもので、その粛然とした様に一段と気持ちが引き締まるのだった。
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