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異世界へ
0015話
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イオが黎明の覇者の預かりということになってドレミナの中に入ると、そこに広がっていた光景はイオを驚かせるには十分だった。
(これは……まさにファンタジー世界って感じだな)
イオが知っている日本の光景……東北の田舎はもちろん、TVで見た東京のような都会と比べても、明らかに異質な光景がそこには広がっていた。
外からは城壁があったために見ることが出来なかっただけに、その驚きはやはり大きい。
それこそイオが読んでいたファンタジーが題材の漫画で見たような、そんな光景。
今までもゴブリンを見たり、黎明の覇者の馬車を牽くモンスターや騎兵が乗っているモンスターを見て十分にこの世界がファンタジー世界であるというのは、理解していた。
していたが、それでもこうして目の前に広がるファンタジー世界の街並みを見ると、そこには圧倒的な迫力がある。
「さて、ドレミナの中に入ったけど……これからイオはどうするのかしら? 私はゴブリンの件を領主に報告に行く必要があるけど、イオは一緒にいない方がいいわ」
「え? あ、えーっと……そうですかね?」
「それはそうよ。もしイオが一緒にいた場合、ゴブリンの軍勢を壊滅させたのがイオだと知られるかもしれないでしょう? そうなればイオが黎明の覇者に所属することになるから、私としてはそれでもいいんだけど」
随分と開けっぴろげに言うソフィアだったが、不思議とその言葉に嫌なところはない。
むしろ、イオとしては自分をそこまで欲しているのかとすら思ってしまう。
もっとも、ソフィアが欲しているのはあくまでも魔法使いとしてのイオであって、男として……異性としてのイオではないのだが。
「じゃあ、取りあえずドレミナの街並みを見てきたいと思います。そうすれば、何か面白いこととかあるかもしれませんし」
「それがいいかもしれないわね。……ああ、これを持っていきなさい」
そう言うと、ソフィアはイオに革袋を渡す。
握り拳ほどの大きさの革袋の中には、銅貨や銀貨が入っている。
さすがに金貨の類はなかったが、それはこの革袋が小銭用の物だからだろう。
「え? いいんですか?」
イオとしては、当然ながら金を貰えるのは嬉しい。
嬉しいが、だからといって色々と世話になっているソフィアから金を貰うのはどうかと思わないでもない。
(これってまるでヒモ……いやまぁ、ソフィアさんのような美人のヒモなら、それはそれで問題ないけど)
そう思うも、そのような気持ちは表情に出すようなことはしない。
今はまずこの状況をどうにかする方が先だった。
だが、こうも簡単に金を渡してもいいのかというイオの言葉に、ソフィアは特に躊躇する様子もなく頷く。
「それくらいなら構わないわよ。……忘れてない? 私たちはイオから魔石や素材、装備品を買い取るのよ? その代金を少し前払いしただけよ」
ソフィアの言葉に、イオはなるほどと納得する。
何の理由もなく金を恵んで貰うといったようなことであれば、躊躇したのは事実だ。
だが、こうして代金の前払いだと言われれば、イオもその言葉に否はない。
「ありがとうございます」
「いいのよ。それより街中に出るのはいいけど、妙な相手に絡まれたりしないようにしなさい。絡まれた場合は黎明の覇者の名前を出してもいいわ。……誰か護衛をつけましょうか?」
「いえ、取りあえず一人で見て回ってみます」
正直なところ、自分だけで動くのは若干の心細さもある。
だが、ここで護衛をつけてもらうといったような真似をした場合、ソフィアに子供扱いされているようで、嫌だった。
実際にはソフィアにそのようなつもりはなかったし、単純にイオがドレミナに慣れてない……いや、ドレミナに慣れていないだけではなく、色々なことに慣れていないように思えたので人をつけようかと思ったのだが。
しかし当の本人がいらないと言うのだから、ソフィアもこれ以上無理を言うつもりはない。
ドレミナはそれなりに大きな街ではあるが、治安そのものはそこまで悪くなかった。
……あくまでもそこまで悪くないのであって、決していい訳ではないのだが。
それでも黎明の覇者の関係者に絡むような真似をする者はいないだろうというのが、ソフィアの認識だった。
「私たちは英雄の宴亭という宿に泊まっているから、用事がすんだら来なさい。買い取り金額の残りを支払う必要があるし……杖も、イオは全て持ち歩けないでしょ」
「あ、はい。分かりました」
ゴブリンメイジ、もしくはその上位種が使っていた杖については、イオが全て所有権を得ている。得てはいるが、当然ながら杖というのはそれなりに大きい。
つまりイオが一人で全て持ち運ぶといったような真似は出来ないので、取りあえず状態のいい一本だけはイオが手に持ち、それ以外は黎明の覇者に預けてあるのだ。
強力な……それこそ戦略兵器という表現が相応しい流星魔法を使うイオだったが、その唯一の欠点は一度魔法を使うと杖が砕けてしまうことだ。
全ての杖でそうなのか、それともゴブリンメイジの使っていた低品質の杖だからそうなのかは、イオにもまだ分からなかったが。
その辺を確認するためには何度か流星魔法を使ってみる必要があるのだが、メテオの効果を思えばそう簡単に使えるような魔法ではない。
人のいない場所で使うにしても、宇宙から隕石が落ちてくるのは遠くからでも見えてしまう。
そういう意味では、非常に目立ってしまうのだ。
「そうですね。じゃあ、取りあえず杖は預けておきます。英雄の宴亭ですよね。色々と見て回ったら、そっちに行きますね」
「ええ。もちろんそのまま黎明の覇者に入団してくれるのなら、英雄の宴亭に泊まってもいいのよ?」
「えっと、それは……検討しておきます」
ランクA傭兵団が泊まる宿なのだから、恐らく高級な宿なのだろうというのは、イオにも予想出来た。
黎明の覇者に色々と売るので、そのような高級な宿にも泊まろうと思えばイオも泊まれるだろう。
しかし、だからといってこの先の展望も何も決めていない状況で、高級な宿に泊まりたいかといえば……現実逃避的な意味で快適な宿に泊まりたいという思いもあるものの、それを素直に受け入れるといったような真似も出来ない。
とにかくこの場は適当に誤魔化すと、イオは杖を持ったままその場所から離れるのだった。
「あら、ちょっと急すぎたかしら?」
離れていくイオの背中を見送っていたソフィアは、風にたなびく黄金の髪を掻き上げながら笑みを浮かべてそう告げる。
そんなソフィアの側に、ギュンターが近づいてくると呆れたように口を開く。
「ソフィア様、少しからかいすぎじゃないか?」
様付けで呼んではいるものの、その口調そのものはイオと話していたときと変わりはない。
とはいえ、ソフィアはそれを咎めるようなことはしなかった。
何故なら、今の自分は傭兵団を率いる者なのだから。
傭兵団である以上、最低限の礼儀さえ守っていれば問題はない。
黎明の覇者の場合は、その最低限のレベルが非常に高いのだが。
黎明の覇者が高い評判を受けているのは、実はその辺りが理由でもある。
「それにしても、イオを手に入れることが出来れば、大きな意味を持つだろうな」
「そうね。ゴブリンの軍勢を倒した状況を思えば、イオの流星魔法の威力はとんでもないわ。それこそ、イオが一人いるだけで戦いの趨勢が決まってしまうくらいに」
そう呟くソフィアの言葉に、ギュンターは同意するように頷く。
「何も知らない奴なら、イオを見てそんなことはないと否定するかもしれない。だが、今回の件でゴブリンの軍勢を壊滅させた光景を見た者はイオの力を否定出来ないだろう」
その言葉を否定出来る者はいない。
ソフィアはギュンターの言葉を聞き、素直に頷く。
黎明の覇者を率いる者として……そして何よりあの場に連れていった精鋭たちの実力を知ってるからこそ、あの光景を見てイオの力を否定出来るはずがなかった。
だからこそ、普通なら有り得ないような好条件を用意してでも、イオを黎明の覇者に所属させたかった。
「とはいえ、イオが冒険者とか商人とか……あるいはもっと別の何かになりたいと言ったらどうするんだ?」
「そうね。その場合はちょっと困るわ。けど、何となく最終的に黎明の覇者に来るような気がするのよ」
普通なら、それは楽観的な予想であるといったように表現するだろう。
あるいは女の勘か。
その辺りの理由はともかく、その言葉を素直に信じることは出来ない。
出来ないのだが、それを言ったのがソフィアとなれば話は違ってくる。
今までソフィアの勘によって、何回も……いや、何十回も命の危機を潜り抜けてきたのだ。
それは勘というよりは、むしろ第六感とでも表現すべき何か。
「あんたがそう言うのなら、恐らく間違いないんだろうな。……それはそれでいいとして、領主への説明はどうするんだ?」
どうするというのが、ゴブリンの軍勢が壊滅していたといったようなことを知らせるかどうかといったものではなく、それを行ったイオについて説明するかどうかというのは、ソフィアにもすぐに理解出来た。
「教えないわ」
短い一言。
だが、その短い一言には絶対的な意思が込められている。
こうなったソフィアには何を言っても無駄だろうとギュンターは判断していたし、何よりイオという存在を他に渡すというのはギュンターも反対だったので、ソフィアの言葉に対して素直に頷く。
「分かった。ならこっちもそのつもりで準備をしておく。……ここの領主には悪いけどな」
「いいのよ。それなりに有能なのは分かってるけど、人を嫌らしい目で見るんだから」
自分の美貌と男好きのする身体については、ソフィアも十分に理解している。
また、男に欲望の視線を向けられることも珍しくはない。
しかし、ドレミナの領主はそんなソフィアが呆れるくらいに露骨な視線を向けてくるのだ。
それでいて領主としてはそれなりに有能なのだから、手に負えない。
「とにかく、イオは私たちが貰う」
そう宣言するソフィアの言葉は、聞く者を自然と納得させるだけのものがあった。
(これは……まさにファンタジー世界って感じだな)
イオが知っている日本の光景……東北の田舎はもちろん、TVで見た東京のような都会と比べても、明らかに異質な光景がそこには広がっていた。
外からは城壁があったために見ることが出来なかっただけに、その驚きはやはり大きい。
それこそイオが読んでいたファンタジーが題材の漫画で見たような、そんな光景。
今までもゴブリンを見たり、黎明の覇者の馬車を牽くモンスターや騎兵が乗っているモンスターを見て十分にこの世界がファンタジー世界であるというのは、理解していた。
していたが、それでもこうして目の前に広がるファンタジー世界の街並みを見ると、そこには圧倒的な迫力がある。
「さて、ドレミナの中に入ったけど……これからイオはどうするのかしら? 私はゴブリンの件を領主に報告に行く必要があるけど、イオは一緒にいない方がいいわ」
「え? あ、えーっと……そうですかね?」
「それはそうよ。もしイオが一緒にいた場合、ゴブリンの軍勢を壊滅させたのがイオだと知られるかもしれないでしょう? そうなればイオが黎明の覇者に所属することになるから、私としてはそれでもいいんだけど」
随分と開けっぴろげに言うソフィアだったが、不思議とその言葉に嫌なところはない。
むしろ、イオとしては自分をそこまで欲しているのかとすら思ってしまう。
もっとも、ソフィアが欲しているのはあくまでも魔法使いとしてのイオであって、男として……異性としてのイオではないのだが。
「じゃあ、取りあえずドレミナの街並みを見てきたいと思います。そうすれば、何か面白いこととかあるかもしれませんし」
「それがいいかもしれないわね。……ああ、これを持っていきなさい」
そう言うと、ソフィアはイオに革袋を渡す。
握り拳ほどの大きさの革袋の中には、銅貨や銀貨が入っている。
さすがに金貨の類はなかったが、それはこの革袋が小銭用の物だからだろう。
「え? いいんですか?」
イオとしては、当然ながら金を貰えるのは嬉しい。
嬉しいが、だからといって色々と世話になっているソフィアから金を貰うのはどうかと思わないでもない。
(これってまるでヒモ……いやまぁ、ソフィアさんのような美人のヒモなら、それはそれで問題ないけど)
そう思うも、そのような気持ちは表情に出すようなことはしない。
今はまずこの状況をどうにかする方が先だった。
だが、こうも簡単に金を渡してもいいのかというイオの言葉に、ソフィアは特に躊躇する様子もなく頷く。
「それくらいなら構わないわよ。……忘れてない? 私たちはイオから魔石や素材、装備品を買い取るのよ? その代金を少し前払いしただけよ」
ソフィアの言葉に、イオはなるほどと納得する。
何の理由もなく金を恵んで貰うといったようなことであれば、躊躇したのは事実だ。
だが、こうして代金の前払いだと言われれば、イオもその言葉に否はない。
「ありがとうございます」
「いいのよ。それより街中に出るのはいいけど、妙な相手に絡まれたりしないようにしなさい。絡まれた場合は黎明の覇者の名前を出してもいいわ。……誰か護衛をつけましょうか?」
「いえ、取りあえず一人で見て回ってみます」
正直なところ、自分だけで動くのは若干の心細さもある。
だが、ここで護衛をつけてもらうといったような真似をした場合、ソフィアに子供扱いされているようで、嫌だった。
実際にはソフィアにそのようなつもりはなかったし、単純にイオがドレミナに慣れてない……いや、ドレミナに慣れていないだけではなく、色々なことに慣れていないように思えたので人をつけようかと思ったのだが。
しかし当の本人がいらないと言うのだから、ソフィアもこれ以上無理を言うつもりはない。
ドレミナはそれなりに大きな街ではあるが、治安そのものはそこまで悪くなかった。
……あくまでもそこまで悪くないのであって、決していい訳ではないのだが。
それでも黎明の覇者の関係者に絡むような真似をする者はいないだろうというのが、ソフィアの認識だった。
「私たちは英雄の宴亭という宿に泊まっているから、用事がすんだら来なさい。買い取り金額の残りを支払う必要があるし……杖も、イオは全て持ち歩けないでしょ」
「あ、はい。分かりました」
ゴブリンメイジ、もしくはその上位種が使っていた杖については、イオが全て所有権を得ている。得てはいるが、当然ながら杖というのはそれなりに大きい。
つまりイオが一人で全て持ち運ぶといったような真似は出来ないので、取りあえず状態のいい一本だけはイオが手に持ち、それ以外は黎明の覇者に預けてあるのだ。
強力な……それこそ戦略兵器という表現が相応しい流星魔法を使うイオだったが、その唯一の欠点は一度魔法を使うと杖が砕けてしまうことだ。
全ての杖でそうなのか、それともゴブリンメイジの使っていた低品質の杖だからそうなのかは、イオにもまだ分からなかったが。
その辺を確認するためには何度か流星魔法を使ってみる必要があるのだが、メテオの効果を思えばそう簡単に使えるような魔法ではない。
人のいない場所で使うにしても、宇宙から隕石が落ちてくるのは遠くからでも見えてしまう。
そういう意味では、非常に目立ってしまうのだ。
「そうですね。じゃあ、取りあえず杖は預けておきます。英雄の宴亭ですよね。色々と見て回ったら、そっちに行きますね」
「ええ。もちろんそのまま黎明の覇者に入団してくれるのなら、英雄の宴亭に泊まってもいいのよ?」
「えっと、それは……検討しておきます」
ランクA傭兵団が泊まる宿なのだから、恐らく高級な宿なのだろうというのは、イオにも予想出来た。
黎明の覇者に色々と売るので、そのような高級な宿にも泊まろうと思えばイオも泊まれるだろう。
しかし、だからといってこの先の展望も何も決めていない状況で、高級な宿に泊まりたいかといえば……現実逃避的な意味で快適な宿に泊まりたいという思いもあるものの、それを素直に受け入れるといったような真似も出来ない。
とにかくこの場は適当に誤魔化すと、イオは杖を持ったままその場所から離れるのだった。
「あら、ちょっと急すぎたかしら?」
離れていくイオの背中を見送っていたソフィアは、風にたなびく黄金の髪を掻き上げながら笑みを浮かべてそう告げる。
そんなソフィアの側に、ギュンターが近づいてくると呆れたように口を開く。
「ソフィア様、少しからかいすぎじゃないか?」
様付けで呼んではいるものの、その口調そのものはイオと話していたときと変わりはない。
とはいえ、ソフィアはそれを咎めるようなことはしなかった。
何故なら、今の自分は傭兵団を率いる者なのだから。
傭兵団である以上、最低限の礼儀さえ守っていれば問題はない。
黎明の覇者の場合は、その最低限のレベルが非常に高いのだが。
黎明の覇者が高い評判を受けているのは、実はその辺りが理由でもある。
「それにしても、イオを手に入れることが出来れば、大きな意味を持つだろうな」
「そうね。ゴブリンの軍勢を倒した状況を思えば、イオの流星魔法の威力はとんでもないわ。それこそ、イオが一人いるだけで戦いの趨勢が決まってしまうくらいに」
そう呟くソフィアの言葉に、ギュンターは同意するように頷く。
「何も知らない奴なら、イオを見てそんなことはないと否定するかもしれない。だが、今回の件でゴブリンの軍勢を壊滅させた光景を見た者はイオの力を否定出来ないだろう」
その言葉を否定出来る者はいない。
ソフィアはギュンターの言葉を聞き、素直に頷く。
黎明の覇者を率いる者として……そして何よりあの場に連れていった精鋭たちの実力を知ってるからこそ、あの光景を見てイオの力を否定出来るはずがなかった。
だからこそ、普通なら有り得ないような好条件を用意してでも、イオを黎明の覇者に所属させたかった。
「とはいえ、イオが冒険者とか商人とか……あるいはもっと別の何かになりたいと言ったらどうするんだ?」
「そうね。その場合はちょっと困るわ。けど、何となく最終的に黎明の覇者に来るような気がするのよ」
普通なら、それは楽観的な予想であるといったように表現するだろう。
あるいは女の勘か。
その辺りの理由はともかく、その言葉を素直に信じることは出来ない。
出来ないのだが、それを言ったのがソフィアとなれば話は違ってくる。
今までソフィアの勘によって、何回も……いや、何十回も命の危機を潜り抜けてきたのだ。
それは勘というよりは、むしろ第六感とでも表現すべき何か。
「あんたがそう言うのなら、恐らく間違いないんだろうな。……それはそれでいいとして、領主への説明はどうするんだ?」
どうするというのが、ゴブリンの軍勢が壊滅していたといったようなことを知らせるかどうかといったものではなく、それを行ったイオについて説明するかどうかというのは、ソフィアにもすぐに理解出来た。
「教えないわ」
短い一言。
だが、その短い一言には絶対的な意思が込められている。
こうなったソフィアには何を言っても無駄だろうとギュンターは判断していたし、何よりイオという存在を他に渡すというのはギュンターも反対だったので、ソフィアの言葉に対して素直に頷く。
「分かった。ならこっちもそのつもりで準備をしておく。……ここの領主には悪いけどな」
「いいのよ。それなりに有能なのは分かってるけど、人を嫌らしい目で見るんだから」
自分の美貌と男好きのする身体については、ソフィアも十分に理解している。
また、男に欲望の視線を向けられることも珍しくはない。
しかし、ドレミナの領主はそんなソフィアが呆れるくらいに露骨な視線を向けてくるのだ。
それでいて領主としてはそれなりに有能なのだから、手に負えない。
「とにかく、イオは私たちが貰う」
そう宣言するソフィアの言葉は、聞く者を自然と納得させるだけのものがあった。
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