21 / 178
異世界へ
0021話
しおりを挟む
防御特化。
それは当然ながら、言葉で言うほどに簡単なものではない。
それこそ、本気で防御を極めるとするのなら、相手がどんな強敵でも……それこそギュンターのような強敵であっても、逃げ出すといったような真似は出来ないだろう。
防御特化であるがゆえに、武器の類は持たせない。
あるいは普通の傭兵ならいざというときのために何らかの武器を持たせてもいいのかもしれないが、レックスの話を聞く限りでは武器を持たせると仲間に攻撃しかねない。
黎明の覇者としては、当然だがそのような真似は避けたかった。
ましてや、ギュンターはレックスを防御特化の傭兵にして、イオの護衛を任せたいと考えている。
だとすれば、レックスが間違ってイオを攻撃するといったようなことは、絶対に避けたいと思うのは当然だろう。
ギュンターにしてみれば、表現は悪いがレックスはあくまでもイオを黎明の覇者に引き込むためのエサでしかない。
そのような事情だけに、レックスが防御特化の傭兵として活動するのに、イオを傷つけるといったような真似は絶対に避けて欲しいのだ。
「言うのはいい。お前のやる気も分かった。だが……言葉で言うのと、実際にそんな真似が出来るのかというのは、全く話が違うぞ?」
「はい。それは分かってるつもりです」
レックスも、黒き蛇において雑用ではあっても傭兵として活動してきた。
それだけに、やる気に満ちあふれていてもそれが実力に結びつかず、傭兵として戦いに参加してすぐに死ぬといったような者たち何人も見てきている。
だからこそ、やる気だけがあっても実力がそれに追い付かないと意味はないと理解しているのだろう。
そんなレックスの表情を見て、ギュンターは小さく笑みを浮かべる。
「分かった。なら、お前の件は俺が引き受けよう。ソフィア様にもお前が黎明の覇者に入団するということを言っておく。恐らく問題はないはずだ」
その言葉を聞いて、ふとイオは疑問に思う。
最初に……ゴブリンの軍勢を滅ぼしたときにギュンターと初めて会った際には、イオのことを君と呼んでいた。
だが、今こうしてレックスに声をかけている際は、お前と呼んでいる。
(いやまぁ、流星魔法を使う俺を警戒する面もあったんだし、そんな態度になるのはしょうがないか)
それはつまり、ギュンターのイオに対する態度が以前よりも打ち解けてきたといったようなことであるのは間違いない。
イオとしては、堅苦しい態度を取られるよりも気楽な方がいい。
もっとも、会ったばかりのギュンターの態度も、そこまで堅苦しいといった訳ではなかったのだが。
「ありがとうございます。精一杯頑張ります」
「そうだな。……黒き蛇と接触して、レックスは黎明の覇者に所属することになったと言ってきてくれ。向こうが何かを言うようなら、仲間の扱いに気をつけろと言ってやるといい。それでも騒ぐようなら……多少の力を振るうことを許す」
「分かった」
ギュンターの言葉に、一緒のソファに座っていた男の一人が頷くと、すぐに立ち上がって宿を出ていく。
何をしに行ったのかは、今のやり取りを見ていたイオにとっては一目瞭然だった。
「レックスを他の雑用たちがいる場所に案内してくれ」
「了解」
新たな命令に従い、残っていた男の一人が立ち上がる。
「レックス、ついてこい。お前と同じ雑用の連中がいる場所に案内する。これからお前はその連中といっしょにすごすことになる。その中で実力を上げて正式な戦力となれるかどうかは、お前次第だ。その辺を忘れるなよ」
「はい! 頑張ります!」
男の言葉がレックスのやる気に火を点けたのか、レックスは元気一杯といった様子で叫ぶと、男と一緒に宿を出ていった。
そうしてこの場に残っているのは、イオとギュンター、そしてギュンターと話していた男の中でもここに残った二人だけの合計四人となる。
「さて、イオはこれからどうするのか決めたのか?」
「えっと……いえ、今のところはまだ。ただ、このドレミナを歩き回ってみただけですし」
当初は傭兵や冒険者になるにしろ、ならないにしろ、取りあえずギルドには顔を出してみるつもりだった。
だが、ギルドに顔を出すよりも前にレックスの一件に遭遇したこともあって、結局はギルドに行くことは不可能となってしまう。
(黎明の覇者はともかく、黒き蛇の連中を見てしまうと……多分ギルドに行っていれば、変な奴に絡まれていた可能性もあるんだよな)
黎明の覇者は、イオが流星魔法というとてつもない威力の魔法を使うということもあり、またそれをソフィアが気に入って仲間に引き入れようとしていることもあってか、イオに絡んでくるような者はいなかった。
……もちろん、中にはソフィアと気軽に話しているイオの存在が気にくわないと思っている者もいたのだろうが。
ともあれ、ソフィアやギュンターといった黎明の覇者の中でも強い影響力を持っている者たちがイオに好意的だったこともあり、イオは絡まれるといったようなことはなかった。
しかし、ギルドに行っていた場合、当然ながらイオと黎明の覇者の関係は知られていない以上、妙な相手に絡まれるといった可能性は十分にあっただろう。
もちろん、イオが杖を持ってる以上、イオは魔法使いだと認識されてもおかしくはない。
魔法使いというのはそこまで数が多くないので、自分たちの傭兵団やパーティに加えようという誘いの類もあったかもしれない。
そのようなものがあっても、黎明の覇者に所属するかどうかで迷っているイオにしてみれば、あまり魅力はなかっただろうが。
「そうか。黎明の覇者としては、イオが俺たちに興味を持つまで待ってもいいと思っているが、傭兵団の中にはイオの力を知れば無理矢理にでも協力させる……といったような連中もいるかもしれない。その辺りについては気をつけた方がいい」
「そうですね。そうなったらちょっと困るでしょうし、気をつけます」
ギュンターの忠告に素直に頷くイオ。
実際、イオにとって自分の力を目当てに強引に迫られた場合、面倒なことになるのは間違いなかった。
「もっとも、個人ではその辺を気をつけるにしても限界がある。それに……イオはこの辺りについてや、そもそも常識についてもそこまで詳しくないのだろう?」
「う……」
ギュンターの言葉に、イオは反論出来ない。
反論しようにも、実際にその言葉は決して間違っていないのだから当然だろう。
今の状況では、下手にイオが行動した場合、何か大きなミスをする可能性は十分にあった。
それこそ、気が付けばイオの所属がどこかに決まっていてもおかしくはないくらいに。
当然ながら、イオの実力がまだ知られていない今の状況においては、そのようなことが起きる可能性は少ない。
「き、気をつけます」
「ああ、気をつけてくれ。イオにはいずれ黎明の覇者に入団して貰う予定なんだからな」
「あ、あはは。……その、検討しておきます」
イオとしては、こうして誘ってくるギュンターの気持ちは嬉しい。
しかし、だからといってすぐに黎明の覇者に所属しようとは思わない。
今のところは、やはりもう少し他の道がないのかと思わないでもなかった。
それでもギュンターの優れているところは、イオが断ればその場でそれ以上しつこく誘ってきたりはしないことだろう。
イオの機嫌を損ね、それによって黎明の覇者を疎ましく思うといったようなこといならないよう、しっかりと注意しているのだろう。
「それで……ここに来たのは、レックスの紹介の他に、魔石の代金の受け取りか? あの量だと、恐らくまだ計算は終わってないと思うが」
イオのメテオによって、ゴブリンの軍勢の大半は、それこそ死体も残らず消滅してしまった。
残ったのはその衝撃に耐えられる――それでも死体だったが――身体の強さを持っている個体か、あるいは仲間の後ろにいたおかげで死体が残ったような幸運な個体かといったところだ。
そのような状況ではあったが、軍勢と呼ぶに相応しい数だったために、どうしても母数は多くなり、黎明の覇者が買い取る魔石や素材、そしてゴブリンの持っていた武器の類は最終的に結構な数となっていた。
それを普通にギルドや商人に売るよりも高く買い取るというソフィアの指示に従い、黎明の覇者の中でも目利きの者たちは現在それらをどのくらいの値段で購入するのかといったことで話し合っていた。
ギルドや商人よりも高く買い取るのだから、当然ながら安値で買い叩くといった真似は出来ない。
だが同時に、高く買い取るからとはいえ、それこそ本来の値段の二倍、三倍といったような高額で買い取る訳にもいかなかった。
黎明の覇者はランクA傭兵団ではあるし、資金的に余裕もある。
余裕もあるのだが、だからといって無尽蔵に資金がある訳でもない。
節約出来るところでは十分に節約したいと考えるのは当然の話だろう。
「金銭的な余裕という意味だと、ソフィアさんに貰った前払い金でまだ結構余裕はありますね。……もちろん、こういう高級な宿に泊まるようなことは出来ませんけど」
「それはそうだ。そもそも、現在この宿は黎明の覇者が借り切ってるからな。そういう意味でも、イオは現在この宿に泊まるといったような真似は出来ないだろ」
「え? ……そうなんですか!?」
英雄の宴亭を黎明の覇者で借り切っているというのは、イオにとっても驚きだった。
というか、そのような真似が出来るのかといった驚きも強いが。
英雄の宴亭はドレミナの中でも最高級の宿の一つだ。
当然ながら、そのような宿ともなれば貴族や商人……それも普通の商人ではなく、大商人と呼ぶべき者たちが泊まっていてもおかしくはない。
「ドレミナを拠点にしているときから、ずっとこの英雄の宴亭は俺たちが使っていたからな。領主に雇われる際の条件の一つとして用意した。これが俺たち黎明の覇者……あるいはランクA傭兵団とかでなければ、当然無理な話だったがな」
そう告げるギュンターの言葉は、自分が所属している黎明の覇者という傭兵団に対する誇らしさから笑みを浮かべるのだった。
それは当然ながら、言葉で言うほどに簡単なものではない。
それこそ、本気で防御を極めるとするのなら、相手がどんな強敵でも……それこそギュンターのような強敵であっても、逃げ出すといったような真似は出来ないだろう。
防御特化であるがゆえに、武器の類は持たせない。
あるいは普通の傭兵ならいざというときのために何らかの武器を持たせてもいいのかもしれないが、レックスの話を聞く限りでは武器を持たせると仲間に攻撃しかねない。
黎明の覇者としては、当然だがそのような真似は避けたかった。
ましてや、ギュンターはレックスを防御特化の傭兵にして、イオの護衛を任せたいと考えている。
だとすれば、レックスが間違ってイオを攻撃するといったようなことは、絶対に避けたいと思うのは当然だろう。
ギュンターにしてみれば、表現は悪いがレックスはあくまでもイオを黎明の覇者に引き込むためのエサでしかない。
そのような事情だけに、レックスが防御特化の傭兵として活動するのに、イオを傷つけるといったような真似は絶対に避けて欲しいのだ。
「言うのはいい。お前のやる気も分かった。だが……言葉で言うのと、実際にそんな真似が出来るのかというのは、全く話が違うぞ?」
「はい。それは分かってるつもりです」
レックスも、黒き蛇において雑用ではあっても傭兵として活動してきた。
それだけに、やる気に満ちあふれていてもそれが実力に結びつかず、傭兵として戦いに参加してすぐに死ぬといったような者たち何人も見てきている。
だからこそ、やる気だけがあっても実力がそれに追い付かないと意味はないと理解しているのだろう。
そんなレックスの表情を見て、ギュンターは小さく笑みを浮かべる。
「分かった。なら、お前の件は俺が引き受けよう。ソフィア様にもお前が黎明の覇者に入団するということを言っておく。恐らく問題はないはずだ」
その言葉を聞いて、ふとイオは疑問に思う。
最初に……ゴブリンの軍勢を滅ぼしたときにギュンターと初めて会った際には、イオのことを君と呼んでいた。
だが、今こうしてレックスに声をかけている際は、お前と呼んでいる。
(いやまぁ、流星魔法を使う俺を警戒する面もあったんだし、そんな態度になるのはしょうがないか)
それはつまり、ギュンターのイオに対する態度が以前よりも打ち解けてきたといったようなことであるのは間違いない。
イオとしては、堅苦しい態度を取られるよりも気楽な方がいい。
もっとも、会ったばかりのギュンターの態度も、そこまで堅苦しいといった訳ではなかったのだが。
「ありがとうございます。精一杯頑張ります」
「そうだな。……黒き蛇と接触して、レックスは黎明の覇者に所属することになったと言ってきてくれ。向こうが何かを言うようなら、仲間の扱いに気をつけろと言ってやるといい。それでも騒ぐようなら……多少の力を振るうことを許す」
「分かった」
ギュンターの言葉に、一緒のソファに座っていた男の一人が頷くと、すぐに立ち上がって宿を出ていく。
何をしに行ったのかは、今のやり取りを見ていたイオにとっては一目瞭然だった。
「レックスを他の雑用たちがいる場所に案内してくれ」
「了解」
新たな命令に従い、残っていた男の一人が立ち上がる。
「レックス、ついてこい。お前と同じ雑用の連中がいる場所に案内する。これからお前はその連中といっしょにすごすことになる。その中で実力を上げて正式な戦力となれるかどうかは、お前次第だ。その辺を忘れるなよ」
「はい! 頑張ります!」
男の言葉がレックスのやる気に火を点けたのか、レックスは元気一杯といった様子で叫ぶと、男と一緒に宿を出ていった。
そうしてこの場に残っているのは、イオとギュンター、そしてギュンターと話していた男の中でもここに残った二人だけの合計四人となる。
「さて、イオはこれからどうするのか決めたのか?」
「えっと……いえ、今のところはまだ。ただ、このドレミナを歩き回ってみただけですし」
当初は傭兵や冒険者になるにしろ、ならないにしろ、取りあえずギルドには顔を出してみるつもりだった。
だが、ギルドに顔を出すよりも前にレックスの一件に遭遇したこともあって、結局はギルドに行くことは不可能となってしまう。
(黎明の覇者はともかく、黒き蛇の連中を見てしまうと……多分ギルドに行っていれば、変な奴に絡まれていた可能性もあるんだよな)
黎明の覇者は、イオが流星魔法というとてつもない威力の魔法を使うということもあり、またそれをソフィアが気に入って仲間に引き入れようとしていることもあってか、イオに絡んでくるような者はいなかった。
……もちろん、中にはソフィアと気軽に話しているイオの存在が気にくわないと思っている者もいたのだろうが。
ともあれ、ソフィアやギュンターといった黎明の覇者の中でも強い影響力を持っている者たちがイオに好意的だったこともあり、イオは絡まれるといったようなことはなかった。
しかし、ギルドに行っていた場合、当然ながらイオと黎明の覇者の関係は知られていない以上、妙な相手に絡まれるといった可能性は十分にあっただろう。
もちろん、イオが杖を持ってる以上、イオは魔法使いだと認識されてもおかしくはない。
魔法使いというのはそこまで数が多くないので、自分たちの傭兵団やパーティに加えようという誘いの類もあったかもしれない。
そのようなものがあっても、黎明の覇者に所属するかどうかで迷っているイオにしてみれば、あまり魅力はなかっただろうが。
「そうか。黎明の覇者としては、イオが俺たちに興味を持つまで待ってもいいと思っているが、傭兵団の中にはイオの力を知れば無理矢理にでも協力させる……といったような連中もいるかもしれない。その辺りについては気をつけた方がいい」
「そうですね。そうなったらちょっと困るでしょうし、気をつけます」
ギュンターの忠告に素直に頷くイオ。
実際、イオにとって自分の力を目当てに強引に迫られた場合、面倒なことになるのは間違いなかった。
「もっとも、個人ではその辺を気をつけるにしても限界がある。それに……イオはこの辺りについてや、そもそも常識についてもそこまで詳しくないのだろう?」
「う……」
ギュンターの言葉に、イオは反論出来ない。
反論しようにも、実際にその言葉は決して間違っていないのだから当然だろう。
今の状況では、下手にイオが行動した場合、何か大きなミスをする可能性は十分にあった。
それこそ、気が付けばイオの所属がどこかに決まっていてもおかしくはないくらいに。
当然ながら、イオの実力がまだ知られていない今の状況においては、そのようなことが起きる可能性は少ない。
「き、気をつけます」
「ああ、気をつけてくれ。イオにはいずれ黎明の覇者に入団して貰う予定なんだからな」
「あ、あはは。……その、検討しておきます」
イオとしては、こうして誘ってくるギュンターの気持ちは嬉しい。
しかし、だからといってすぐに黎明の覇者に所属しようとは思わない。
今のところは、やはりもう少し他の道がないのかと思わないでもなかった。
それでもギュンターの優れているところは、イオが断ればその場でそれ以上しつこく誘ってきたりはしないことだろう。
イオの機嫌を損ね、それによって黎明の覇者を疎ましく思うといったようなこといならないよう、しっかりと注意しているのだろう。
「それで……ここに来たのは、レックスの紹介の他に、魔石の代金の受け取りか? あの量だと、恐らくまだ計算は終わってないと思うが」
イオのメテオによって、ゴブリンの軍勢の大半は、それこそ死体も残らず消滅してしまった。
残ったのはその衝撃に耐えられる――それでも死体だったが――身体の強さを持っている個体か、あるいは仲間の後ろにいたおかげで死体が残ったような幸運な個体かといったところだ。
そのような状況ではあったが、軍勢と呼ぶに相応しい数だったために、どうしても母数は多くなり、黎明の覇者が買い取る魔石や素材、そしてゴブリンの持っていた武器の類は最終的に結構な数となっていた。
それを普通にギルドや商人に売るよりも高く買い取るというソフィアの指示に従い、黎明の覇者の中でも目利きの者たちは現在それらをどのくらいの値段で購入するのかといったことで話し合っていた。
ギルドや商人よりも高く買い取るのだから、当然ながら安値で買い叩くといった真似は出来ない。
だが同時に、高く買い取るからとはいえ、それこそ本来の値段の二倍、三倍といったような高額で買い取る訳にもいかなかった。
黎明の覇者はランクA傭兵団ではあるし、資金的に余裕もある。
余裕もあるのだが、だからといって無尽蔵に資金がある訳でもない。
節約出来るところでは十分に節約したいと考えるのは当然の話だろう。
「金銭的な余裕という意味だと、ソフィアさんに貰った前払い金でまだ結構余裕はありますね。……もちろん、こういう高級な宿に泊まるようなことは出来ませんけど」
「それはそうだ。そもそも、現在この宿は黎明の覇者が借り切ってるからな。そういう意味でも、イオは現在この宿に泊まるといったような真似は出来ないだろ」
「え? ……そうなんですか!?」
英雄の宴亭を黎明の覇者で借り切っているというのは、イオにとっても驚きだった。
というか、そのような真似が出来るのかといった驚きも強いが。
英雄の宴亭はドレミナの中でも最高級の宿の一つだ。
当然ながら、そのような宿ともなれば貴族や商人……それも普通の商人ではなく、大商人と呼ぶべき者たちが泊まっていてもおかしくはない。
「ドレミナを拠点にしているときから、ずっとこの英雄の宴亭は俺たちが使っていたからな。領主に雇われる際の条件の一つとして用意した。これが俺たち黎明の覇者……あるいはランクA傭兵団とかでなければ、当然無理な話だったがな」
そう告げるギュンターの言葉は、自分が所属している黎明の覇者という傭兵団に対する誇らしさから笑みを浮かべるのだった。
10
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
ボンクラ王子の側近を任されました
里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」
王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。
人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。
そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。
義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。
王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる