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異世界へ
0074話
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「イオ、あっちだ! ここから南の方角! そっちに向かって流星魔法を使え!」
イオの側までやって来た騎兵が叫ぶ。
当然ながらイオたちを襲ってきた傭兵たちは騎兵をイオのいる場所に通さないようにしたかったのだが、騎兵に乗っている黎明の覇者の傭兵たちは精鋭だ。
ましてや、それが馬に乗っている状態である以上は、そう簡単に止めるといったような真似が出来るはずもなかった。
黎明の覇者の傭兵たちによって吹き飛ばされ、イオのいる場所に到着するとすぐに流星魔法を使う場所を叫ぶ。
ソフィアからの伝言、隕石を落とす場所を聞いたイオは、杖を手にして呪文を唱え始める。
『空に漂いし、大いなる岩塊よ。我が導きに従い、地上に向かってその姿を現せ。……メテオ』
杖を手にして呪文を唱え、発動する魔法。
イオの口から出た呪文は、最初にゴブリンの軍勢に対して使った流星魔法と同じものだ。
ベヒモスに対して使ったのとは違う、基本のメテオ。
そして魔法が発動したと同時に、イオの持っていた杖が砕ける。
「あ……」
手にしていた杖が砕けたのを見たイオの口から、小さな声が漏れる。
この杖はミニメテオを使ったときには壊れなかった杖なので、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、今回のメテオでも壊れないと思っていたのだ。
だが実際には、メテオを使ったことによって砕けてしまった。
これは完全にイオにとって予想外の結果ではあったが……同時に納得させるだけのものであるのも事実。
イオが使ったミニメテオは、一応流星魔法の一種ではあるが、対個人用の魔法でしかない。
一軍や高ランクモンスターのベヒモスを倒すといった真似が出来るだけの、圧倒的な威力を持った魔法ではない。
それだけに、杖にかかる負担も小さかったのだろう。
結局イオの砕けた杖がゴブリンメイジが持っていた杖なのか、あるいはもっと上位種のゴブリンが持っていた杖なのか、その辺は分からない。
それだけではなく、ゴブリンメイジの使っていた杖ならミニメテオに耐えられるのかどうか……そしてゴブリンメイジの上位種が持っていた杖なら、メテオに耐えられるのかどうかも分からない。
その辺はこれからも試してみる必要があるのは間違いないが、それでもはっきりしていることが一つだけある。
それは、イオの流星魔法が発動したということだ。
「何……杖が壊れた、だと?」
イオから離れた場所にいた襲撃してきた傭兵が、自分の目で見たのが一体何なのか理解出来ないといった様子で呟く。
傭兵として戦場を渡り歩いてきただけに、当然ながらその傭兵も魔法を見たことある。
ここにはいないが、傭兵の所属する傭兵団にも魔法使いはいたのだから。
だが、今まで何度も魔法を見たが、そんな中で魔法を使った瞬間に杖が壊れるなどといったような現象は見たことがない。
それはつまり、イオの使った魔法が何か常識の範囲外の何かなのだと、そう思えた。
そして実際、隕石を落とすという魔法である以上、その傭兵にとってイオが何をしたのか……どれだけの威力の魔法が放たれたのかというのは、イオの持つ杖が壊れたのを見れば明らかだった。
「に……逃げろ! 隕石を起こす魔法が使われた! このままだと、俺たちは全員が死ぬぞ!」
イオの杖が壊れたのを見た傭兵が、そう叫ぶ。
……流星魔法を使う場所は南の方角に向けてという、騎兵の口から出た言葉を忘れるほどに、今こうして見た、魔法の威力に耐えられずに杖が破壊されるという現象は圧倒的な衝撃だったのだろう。
そして、イオの使った流星魔法を入手しようとしていた者たちだけに、流星魔法が使われたといった言葉を聞くとすぐに他の傭兵たちも避難を始める。
実際には、イオが味方に被害を与えるような魔法を使う可能性は低い以上、イオのいるこの場から逃げ出すといった真似をした方が厄介なことになるのだが……隕石が落下してるということに恐怖を覚えており、そこまで考えられない者が多数なのだろう。
もちろん、逃げ出した傭兵たちの中にはそのことに気が付いている者もいるのだろうが、自分以外の者が逃げてしまっている以上、自分だけがここに残ってもどうしようもない。
元々黎明の覇者の傭兵は質で負けているのを数で補っていたのだから。
だからこそ、ここにいれば隕石が降ってこないと理解しつつも、ここに残るのは自殺行為だと判断して逃げることしか出来なかった。
それは正面から襲ってきた傭兵たちだけではなく、後方から襲ってきた傭兵たちも同様だ。
本来なら後方から襲ってきた傭兵たちは、相手の不意を突いて攻撃をするという予定だったので正面から戦う者たちと比べてどうしても数が劣る。
そんな数の劣る者たちが、数の多い正面の仲間たちが逃げ出したのを見て戦い続けられるはずもない。
正面で戦っていた仲間たちとはまた別の方向に逃げ出すのは、ある意味で当然のことだったのだろう。
「あっ! 畜生! おい、てめえら待ちやがれ!」
黎明の覇者の傭兵の一人が逃げ出した相手に向かってそう叫ぶも、ここが危険だと判断して逃げ出した相手がそのような言葉を聞くはずもない。
一目散といった具合に逃げ出し……結果として、イオたちのいる場所は一時的にではあるが、敵の姿がいなくなった。
そんな中で、流星魔法のメテオを唱え終わったイオは魔法を使った方向をじっと見ている。
南の方角。
それだけしか指示されていなかったが、今この状況自分の出来ることはこれだけなのだ。
そうである以上、あとは発動した魔法によって隕石が落ちてくるのを待つしかない。
「イオ、一応聞くが……お前の流星魔法だったか? それはどのくらいで発動するんだ?」
ゾブンのその問いにイオが答えようとしたとき、ちょうどそのタイミングを待っていたかのように隕石が落下してきた。
「ちょうど今ですね」
「……そう、みたいだな」
ゾブンはイオの見ている方に視線を向けると、唖然とした様子でそう告げる。
ゾブンはイオがゴブリンの軍勢を倒したときにソフィアと共にやって来た者の一人だ。
しかし、見たのはあくまでもゴブリンの軍勢がメテオによって壊滅した光景。
そしてベヒモスとの戦いのときも、ここでメテオが使われてからドレミナを発ってここまでやって来たので、実際にメテオを使ったところは見ていない。
あるいは対個人用にイオが使ったミニメテオであれば、もしかしたら多少は見ることが出来たかもしれなかったが、間近で実際にミニメテオを見たのはレックスだけだ。
つまり、ゾブンは……いや、それ以外の大半の者たちも、イオが使うメテオはこれが初めてだった。
轟っ、と、そんな音を立てながら天から降ってくる隕石。
その隕石は地上に向かって落下してくる途中に摩擦熱で赤く燃え、余計に見ている者の目を奪う。
戦場にいきなり隕石が降ってきたので、当然ながらこの戦場にいた多くの者は戦いを止め、呆然とした様子で地上に降ってくる隕石を眺めていた。
それはメテオを使ったイオもまた同様だった。
自分で使った魔法……それもこれが初めてという訳ではなく、三度目。いや、ミニメテオを入れれば四度目となる流星魔法。
しかし、それでもやはり空から……宇宙から地上に向かって降ってくる隕石というのは、それを使ったイオにとっても目を奪われるだけの圧倒的なまでの迫力があった。
それはイオの周辺にいる者たちも同様だ。
戦場にいる者たちにしてみれば、このメテオは突然使われた魔法だが、ここにいる者たちはイオが魔法を使うのを見ている。
正確には魔法を使うイオを守っていたのだ。
メテオがどのような魔法なのか知っていても……それでも、今こうして放たれたメテオを見て、目を奪われていた。
そしてこの付近一帯にいる多くの者の注目を集めつつ、降ってきた隕石はイオが狙った場所。具体的にイオから南の方向に向かって落下した。
普通なら隕石が地上に落下した衝撃によって、周囲に大きな被害がある。
しかし、流星魔法の場合はその効果範囲内は圧倒的なまでの衝撃波が暴れ回るものの、その効果範囲外では一切の衝撃波がない。
その不思議さ、あるいは不可解さこそが降ってきた隕石が流星魔法によるものだと示している。
「何だか不思議だな」
アザラカの呆然とした声が周囲に響く。
それは当然のようにゾブンを始めとした他の者の耳にも届いており、聞いている者達は自分でも気が付かないうちに自然と同意するように頷いていた。
そんな中で、真っ先に我に返ったのは……ある意味で当然ではあったが、メテオを使ったイオ。
「ゾブンさん、アザラカさん、それでこれからどうするんですか? 今はメテオのおかげで攻撃が止まってますけど、少し時間が経てばここがどうなるか分かりませんよ。……大人しく敵が撤退してくれると、こっちとしては楽なんですけど」
「あ? あー……そう言えばそうだったな。初めて間近で流星魔法を見たからか、すっかりその辺については忘れていた。取りあえず襲ってきた敵は逃げていったし……アザラカ、これからどうしたらいいと思う?」
「ソフィア様と合流したらどうだ? さっきまではソフィア様の手を煩わせたくないからということで合流はしないようにしていたが、流星魔法を使った今は違うだろう?」
「それは……」
アザラカのその言葉は、ゾブンを納得させるに十分な説得力を持っていた。
ソフィアからの指示で、メテオを使う場所を決めたのだ。
そうである以上、メテオを使った今はソフィアと合流するというのは決しておかしな話ではなかった。
今回の場合、何よりも厄介なのはここで下手に自分たちの考えで動き、それによってソフィアたち不利益を与えることだろう。
また、この集団の切り札であるイオの流星魔法も、杖が破壊されてしまった以上はもう使えない。
また、今はここの戦場やその近辺にいる勢力の多くがイオのメテオで使うに動けなくなっている以上、この状況でソフィアと合流するというのは決して間違った話ではない。
「分かった。ならそうしよう。ここで勝手に動いて団長に迷惑をかけるわけにはいかないしな」
最終的に、そうゾブンは判断するのだった。
イオの側までやって来た騎兵が叫ぶ。
当然ながらイオたちを襲ってきた傭兵たちは騎兵をイオのいる場所に通さないようにしたかったのだが、騎兵に乗っている黎明の覇者の傭兵たちは精鋭だ。
ましてや、それが馬に乗っている状態である以上は、そう簡単に止めるといったような真似が出来るはずもなかった。
黎明の覇者の傭兵たちによって吹き飛ばされ、イオのいる場所に到着するとすぐに流星魔法を使う場所を叫ぶ。
ソフィアからの伝言、隕石を落とす場所を聞いたイオは、杖を手にして呪文を唱え始める。
『空に漂いし、大いなる岩塊よ。我が導きに従い、地上に向かってその姿を現せ。……メテオ』
杖を手にして呪文を唱え、発動する魔法。
イオの口から出た呪文は、最初にゴブリンの軍勢に対して使った流星魔法と同じものだ。
ベヒモスに対して使ったのとは違う、基本のメテオ。
そして魔法が発動したと同時に、イオの持っていた杖が砕ける。
「あ……」
手にしていた杖が砕けたのを見たイオの口から、小さな声が漏れる。
この杖はミニメテオを使ったときには壊れなかった杖なので、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、今回のメテオでも壊れないと思っていたのだ。
だが実際には、メテオを使ったことによって砕けてしまった。
これは完全にイオにとって予想外の結果ではあったが……同時に納得させるだけのものであるのも事実。
イオが使ったミニメテオは、一応流星魔法の一種ではあるが、対個人用の魔法でしかない。
一軍や高ランクモンスターのベヒモスを倒すといった真似が出来るだけの、圧倒的な威力を持った魔法ではない。
それだけに、杖にかかる負担も小さかったのだろう。
結局イオの砕けた杖がゴブリンメイジが持っていた杖なのか、あるいはもっと上位種のゴブリンが持っていた杖なのか、その辺は分からない。
それだけではなく、ゴブリンメイジの使っていた杖ならミニメテオに耐えられるのかどうか……そしてゴブリンメイジの上位種が持っていた杖なら、メテオに耐えられるのかどうかも分からない。
その辺はこれからも試してみる必要があるのは間違いないが、それでもはっきりしていることが一つだけある。
それは、イオの流星魔法が発動したということだ。
「何……杖が壊れた、だと?」
イオから離れた場所にいた襲撃してきた傭兵が、自分の目で見たのが一体何なのか理解出来ないといった様子で呟く。
傭兵として戦場を渡り歩いてきただけに、当然ながらその傭兵も魔法を見たことある。
ここにはいないが、傭兵の所属する傭兵団にも魔法使いはいたのだから。
だが、今まで何度も魔法を見たが、そんな中で魔法を使った瞬間に杖が壊れるなどといったような現象は見たことがない。
それはつまり、イオの使った魔法が何か常識の範囲外の何かなのだと、そう思えた。
そして実際、隕石を落とすという魔法である以上、その傭兵にとってイオが何をしたのか……どれだけの威力の魔法が放たれたのかというのは、イオの持つ杖が壊れたのを見れば明らかだった。
「に……逃げろ! 隕石を起こす魔法が使われた! このままだと、俺たちは全員が死ぬぞ!」
イオの杖が壊れたのを見た傭兵が、そう叫ぶ。
……流星魔法を使う場所は南の方角に向けてという、騎兵の口から出た言葉を忘れるほどに、今こうして見た、魔法の威力に耐えられずに杖が破壊されるという現象は圧倒的な衝撃だったのだろう。
そして、イオの使った流星魔法を入手しようとしていた者たちだけに、流星魔法が使われたといった言葉を聞くとすぐに他の傭兵たちも避難を始める。
実際には、イオが味方に被害を与えるような魔法を使う可能性は低い以上、イオのいるこの場から逃げ出すといった真似をした方が厄介なことになるのだが……隕石が落下してるということに恐怖を覚えており、そこまで考えられない者が多数なのだろう。
もちろん、逃げ出した傭兵たちの中にはそのことに気が付いている者もいるのだろうが、自分以外の者が逃げてしまっている以上、自分だけがここに残ってもどうしようもない。
元々黎明の覇者の傭兵は質で負けているのを数で補っていたのだから。
だからこそ、ここにいれば隕石が降ってこないと理解しつつも、ここに残るのは自殺行為だと判断して逃げることしか出来なかった。
それは正面から襲ってきた傭兵たちだけではなく、後方から襲ってきた傭兵たちも同様だ。
本来なら後方から襲ってきた傭兵たちは、相手の不意を突いて攻撃をするという予定だったので正面から戦う者たちと比べてどうしても数が劣る。
そんな数の劣る者たちが、数の多い正面の仲間たちが逃げ出したのを見て戦い続けられるはずもない。
正面で戦っていた仲間たちとはまた別の方向に逃げ出すのは、ある意味で当然のことだったのだろう。
「あっ! 畜生! おい、てめえら待ちやがれ!」
黎明の覇者の傭兵の一人が逃げ出した相手に向かってそう叫ぶも、ここが危険だと判断して逃げ出した相手がそのような言葉を聞くはずもない。
一目散といった具合に逃げ出し……結果として、イオたちのいる場所は一時的にではあるが、敵の姿がいなくなった。
そんな中で、流星魔法のメテオを唱え終わったイオは魔法を使った方向をじっと見ている。
南の方角。
それだけしか指示されていなかったが、今この状況自分の出来ることはこれだけなのだ。
そうである以上、あとは発動した魔法によって隕石が落ちてくるのを待つしかない。
「イオ、一応聞くが……お前の流星魔法だったか? それはどのくらいで発動するんだ?」
ゾブンのその問いにイオが答えようとしたとき、ちょうどそのタイミングを待っていたかのように隕石が落下してきた。
「ちょうど今ですね」
「……そう、みたいだな」
ゾブンはイオの見ている方に視線を向けると、唖然とした様子でそう告げる。
ゾブンはイオがゴブリンの軍勢を倒したときにソフィアと共にやって来た者の一人だ。
しかし、見たのはあくまでもゴブリンの軍勢がメテオによって壊滅した光景。
そしてベヒモスとの戦いのときも、ここでメテオが使われてからドレミナを発ってここまでやって来たので、実際にメテオを使ったところは見ていない。
あるいは対個人用にイオが使ったミニメテオであれば、もしかしたら多少は見ることが出来たかもしれなかったが、間近で実際にミニメテオを見たのはレックスだけだ。
つまり、ゾブンは……いや、それ以外の大半の者たちも、イオが使うメテオはこれが初めてだった。
轟っ、と、そんな音を立てながら天から降ってくる隕石。
その隕石は地上に向かって落下してくる途中に摩擦熱で赤く燃え、余計に見ている者の目を奪う。
戦場にいきなり隕石が降ってきたので、当然ながらこの戦場にいた多くの者は戦いを止め、呆然とした様子で地上に降ってくる隕石を眺めていた。
それはメテオを使ったイオもまた同様だった。
自分で使った魔法……それもこれが初めてという訳ではなく、三度目。いや、ミニメテオを入れれば四度目となる流星魔法。
しかし、それでもやはり空から……宇宙から地上に向かって降ってくる隕石というのは、それを使ったイオにとっても目を奪われるだけの圧倒的なまでの迫力があった。
それはイオの周辺にいる者たちも同様だ。
戦場にいる者たちにしてみれば、このメテオは突然使われた魔法だが、ここにいる者たちはイオが魔法を使うのを見ている。
正確には魔法を使うイオを守っていたのだ。
メテオがどのような魔法なのか知っていても……それでも、今こうして放たれたメテオを見て、目を奪われていた。
そしてこの付近一帯にいる多くの者の注目を集めつつ、降ってきた隕石はイオが狙った場所。具体的にイオから南の方向に向かって落下した。
普通なら隕石が地上に落下した衝撃によって、周囲に大きな被害がある。
しかし、流星魔法の場合はその効果範囲内は圧倒的なまでの衝撃波が暴れ回るものの、その効果範囲外では一切の衝撃波がない。
その不思議さ、あるいは不可解さこそが降ってきた隕石が流星魔法によるものだと示している。
「何だか不思議だな」
アザラカの呆然とした声が周囲に響く。
それは当然のようにゾブンを始めとした他の者の耳にも届いており、聞いている者達は自分でも気が付かないうちに自然と同意するように頷いていた。
そんな中で、真っ先に我に返ったのは……ある意味で当然ではあったが、メテオを使ったイオ。
「ゾブンさん、アザラカさん、それでこれからどうするんですか? 今はメテオのおかげで攻撃が止まってますけど、少し時間が経てばここがどうなるか分かりませんよ。……大人しく敵が撤退してくれると、こっちとしては楽なんですけど」
「あ? あー……そう言えばそうだったな。初めて間近で流星魔法を見たからか、すっかりその辺については忘れていた。取りあえず襲ってきた敵は逃げていったし……アザラカ、これからどうしたらいいと思う?」
「ソフィア様と合流したらどうだ? さっきまではソフィア様の手を煩わせたくないからということで合流はしないようにしていたが、流星魔法を使った今は違うだろう?」
「それは……」
アザラカのその言葉は、ゾブンを納得させるに十分な説得力を持っていた。
ソフィアからの指示で、メテオを使う場所を決めたのだ。
そうである以上、メテオを使った今はソフィアと合流するというのは決しておかしな話ではなかった。
今回の場合、何よりも厄介なのはここで下手に自分たちの考えで動き、それによってソフィアたち不利益を与えることだろう。
また、この集団の切り札であるイオの流星魔法も、杖が破壊されてしまった以上はもう使えない。
また、今はここの戦場やその近辺にいる勢力の多くがイオのメテオで使うに動けなくなっている以上、この状況でソフィアと合流するというのは決して間違った話ではない。
「分かった。ならそうしよう。ここで勝手に動いて団長に迷惑をかけるわけにはいかないしな」
最終的に、そうゾブンは判断するのだった。
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