大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移

第三十六話 心の傷が癒える時

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「そこにいたのかよ!!」

 さきまでの悲しみや罪悪感が全て吹き飛ぶ。まさか天井に張り付いていたとは思わなかった。ていうかどうやってメアリーは張り付いているんだ?

 彼女が俺の真上に張り付いていたという事は、俺の舐めた水滴はメアリーの涙だったのか。

「コウスケさぁん・・・!ずみ"ばぜん"!わ”た”し”・・・あ”な”た”にびどい”ごどを・・・」

「それは俺の方さ!俺のせいで君が傷ついてしまった!本当にすまないと思ってる!!」

「・・・コウスケさん?怒ってないんですか?」

「ああ・・・全く怒ってない。だからもうお互いに気にするのはやめよう!!」

 本当に失礼だと思うが、彼女の泣きっ面を見ていたら今まで感じていた罪悪感が一瞬で吹っ飛んでしまった。彼女の元気そうな姿をみたからだろうか?メアリーもぼたぼたと涙や鼻水を垂らして泣いているが、表情は何処か明るい。

「本当に起こってないなら・・・その・・・何か証明を・・・」

 面倒くさっ!!不安になる気持ちは分かるけど!

「分かった!ほら!ここにダイブしてきな!抱きしめてやんよ!!」

 幸助はしぶしぶ両手を広げてメアリーの方を向いた。もっと別の方法もあったかもしれないが、今の彼にはハグ意外の証明の仕方を考えつく事はできなかった。

「え、えっと・・・それじゃあ・・・!!えいっ!!」

 覚悟を決めたメアリーは天井の骨組みである木材からジャンプして俺の胸に飛び掛かろうとする・・・しかし、ジャンプするのに少しひよってしまったようだ。

「あれ?うわ!うわぁぁぁぁぁぁ!!」

「メアリー!!」

 ジャンプをためらってしまったメアリーは木材に足を滑らせ、幸助のいない別の方へと落ちてしまった。このままキャッチできなければメアリーの大怪我は確定。最悪、死の可能性だってある。

 せっかく、お互いの心の傷が癒えかけているというのにこんな所で死なせて溜まるか!と幸助は椅子をかきわけて彼女を受け取めにかかり──────

「きゃあっ!!」

「ぐぎゃっ!?」

 何とか滑り込みで彼女のクッションになる事に成功する。しかし、臓器へのダメージがかなり大きいようだ。

「うお・・・!な、内臓が・・・!!」

「ごごごごめんなさい!!私、また──────」

 メアリーは何かを言いかけようとしたが、幸助が言う前に目の前に人差し指を立てて黙らせてしまう。

「言わせないぜ。・・・この行為は俺が自分の意思で決めて行った事だ。メアリーには責任はねぇし、謝る必要もねぇ・・・」

「・・・は、はい」

「メアリー、俺達はどんな関係だ?」

「え、えっと・・・仲間・・・」

「そう、仲間。俺達は仲間なんだよ。仲間の為ならこの程度身体張っても何も後悔はないし、見返りも求めない。だからメアリーも自分を責めるな?分かったか?」

「・・・は、はい!!分かりました!!」

 鼻水と涙でぐしゃぐしゃの顔を服の袖で乱暴に拭うと、メアリーは幸助の背中に手を回して熱いハグを交わす。

「えへへ・・・仲間・・・仲間かぁ・・・」

 もっと、シリアスで感動的な再会だと思っていたのだが・・・まあ、こっちの方が学生の時のノリにとても良く似ているし、懐かしい気分にはなれたのだが。

 とにかく俺の心の傷は徐々に癒され始めた。メアリーも表情を見れば分かるが、柔らかい笑みを浮かべている。

 アンリには悪いが、俺は先を歩かせてもらう。愛してくれたのはとても嬉しかった。だが、俺はアンリを愛する事はない。君は許されざることをしたが、どうか安らかに眠ってくれ。それが、鎮魂歌も知らない俺の唯一君に出来る事だ。

「あの~そういえば、コウスケさん。確かコウスケさんの鼻先に落ちてきた水滴なんですが・・・」

「ああ、あれ涙だろ?」

「いや~あれ実は涙ではなくてですね・・・その~・・・私の、唾液なんですよ・・・へへっ」

 2人の間に沈黙が5秒漂う。そして、2人の頬が赤く染まる。

「・・・今のは誰にも言わないようにしようぜ?」

「は、はい・・・」

 因みに、最初から最後まで神父と修道女達が物陰で見ていたが、2人は知らない・・・。
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