大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移

第四十六話 壊れた狂信者、逆転の光

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「コウスケェ!何で?何で私を拒絶するのぉ!こんなにも貴方を愛しているのに!何故拒むのぉ!私の愛を受け取ってくれないのぉ!」

「俺は束縛が大嫌いなんだよ!俺の人生は俺の物だ・・・アンリの物でも無ければ、神の物でも無いんだ!」

「何で、女神アモーラ様が嫌いなの?この世の唯一神だよ?他の存在しない邪神とはわけが違うんだよ?」

「別にそれは個人の自由だろ!何が好きか嫌いかなんて!それに神は女神アモーラ以外にも星の数程存在する!」

「嘘だ!」

「嘘なんかじゃない!証拠だって存在する!何でそう自分の考えが全てだと考える!」

「嘘だ!嘘だ!嘘だ!女神アモーラこそ、唯一神なんだぁぁぁぁぁ!!」

 激しい感情と共にゾンビがまた1体また1体と増えていく。どんなに倒しても出てくる数が多くて底が見えない。

「「「「「「「Aaaaaaaaaaaaa・・・」」」」」」」

 視界が腐った死体で埋めつくされていく。墓場は今、死体の波にのまれようとしている。

「くそっ!邪魔!なんだよ!!」

 それでも心は全く折れる事はない。群がるゾンビ達を薙ぎ倒してアンリの下へと向かい、叫ぶ。

「おい!もうやめろ!この町を崩壊させたいのか?」

「・・・コウスケが私を愛してくれない世界なんて・・・要らない!!」

 駄目だ。破滅願望を抱いてしまっている。俺のせいだ。言葉で精神攻撃なんてしたからこんな事になってしまった。何とかしなければ、町がゾンビに侵食されてしまう。

 種を蒔いたのは俺だ。俺が何とかしなくてはいけない。でも、何をすればいい?持っているのは炎のエンチャントがかけられた剣だけだぞ?それにエンチャントも既に消えかかっている。

 考えろ。一発逆転の作戦を作れ・・・・・・。

「Aaaaaaaaaaaaaaaaaa・・・」

 因幡の白兎?いや、駄目だ、途中でゾンビに足を掴まれてしまう。

「Aaaaaaaaaaaaaaaaaa・・・」

 降参したフリをして、後ろから刺すか?・・・駄目だ、露骨すぎてすぐにバレる。

「Aaaaaaa!!」

「やかましい!!」

 近づいていた1体のゾンビを斬り伏せる。しかし、1体斬り伏せた程度でどうにもなりはしない。遠ざけたはずのゾンビ達が接近してきて、俺に複数体で掴みかかってくる。

「離せ!!おい!離せって言ってんだろ!!」

「「「Aaa!」」」

 腕に噛みつこうとしたゾンビ数体を振り払う為、腕を振る。

「Aaaaa・・・・」

 すると、どういう事だろうか?ゾンビ達はまるでボーリングの玉のように飛んでいき、他のゾンビ達をピンのように吹き飛ばしていったのだ。

「え?めちゃくちゃ軽かった・・・どういう事?」

 ゾンビで肉が生前より削ぎ落ちていたとしても複数体集まれば、俺なんか簡単に拘束して噛み付けるはずだ。なのに、今吹き飛んでいったゾンビ達は掴む力も弱く、全く重くなかった。偶々軽いゾンビだけが集まったのか?とりあえず助かっ───────

「そこか!!」

「Auu・・・」

 直感が掴み取った感覚に任せて、後ろに剣を振るう。すると、いつの間にか俺に近づいていたゾンビを、まるで紙のように容易に斬る事ができた。中身がスカスカだったのだろうか?

「「「「Uaaaaaaa・・・!!」」」」

「やべぇ!一気に襲い掛かってきやがった!」

 左右上下から板挟み状態。逃げる場所なんてどこにもない。・・・いや、あるぞ。あるじゃないか、空中が!

「よっと!」

 飛ぶと決めた幸助は、軽くしゃがむと、足のばねを利用して飛んだ・・・・・・6mくらい。

「ええ・・・」

 この時、幸助は気づく。先程からの異常の原因は自分だという事に。自分の身体能力が明らかにおかしくなった事に。自分の足、自分単体の力で飛んだ事でようやっと気づく事ができた。

 身体能力が良くなったのは良いのだが、理由が分からない。バフか?誰がかけるというのだ?火事場の馬鹿力か?それならもっと自覚があると思う。

 飛びながら考えた末、俺は重要な事を思い出す。冒険者になったあの日、受付嬢からもらった一枚の不思議なカード。冒険者を始めてから一切の変化が無かった、ずっとポケットにしまっているアイテム。まさか、さっき倒したゾンビでついに到達したというのか?

 ゾンビから離れた所で着地し、ポケットからカードを取り出す。出てきたアイテムはほんのりと光っており、やがてゆっくりと光を失い、カードに刻まれた数字がはっきりと見えるようになる。俺は嬉しさのあまり、その数字を口にした。

「2・・・レベル2!やった・・・!ついに俺のレベルが上がったぞぉぉぉ!!」

 絶望的状況だというのに、俺は笑顔を浮かべて叫んだ。数週間の努力の花が開いた瞬間だ、誰にも咎めさせないぞ。1を2に変える為に行ってきた戦いが昨日の事のように脳裏に思い浮かぶ。同時に雲行きの怪しかった戦況に一筋の光が差した瞬間でもあった。

「レベル?ああ、上がったんだ、おめでとうコウスケ。でもね、たった1レベル上がった程度じゃ何も・・・え?」

 何も変わらない。そう言おうとした口が止まる。彼女の目の前で起きている状況が彼女を黙らせたのだ。

 ばっさばっさと切り伏せられていくゾンビ達、無傷でゾンビ達を蹂躙していく幸助。そんな状況を見せられたアンリは言おうとした言葉を飲み込まざるを得なかった。

「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらぁぁぁぁぁぁぁ!!うおおおおおこれが、レベルアップの力!今まで感じた事のない感覚だ!とにかく気持ちいい!!」

 レベルアップは個人差があり、早くレベルアップする者もいれば、遅い者もいる。幸助は後者に該当する。後者は中々レベルアップできない反面、レベルアップした際の能力向上がとても大きい。それは幸助も知っていた事だ。しかし、彼は遅い人の中でもトップを争うレベルアップの遅さというのは闘神のみが知る事実である。

 アンリが驚いている間に、ゾンビはあらかた幸助が倒してしまう。墓場に残ったのはアンリと幸助だけだった。

「さあ、大人しくしろ!アンリ!・・・いや、ハインリヒ!!」

「そっちの名前で言ってくれるコウスケも好き・・・やっぱりこの町は壊さない!代わりに、コウスケの四肢をもぎ取って、一生暮らす事にする!!」

 折れた刃を手に取ると、手から魔術で炎を出し、溶接する。不格好だが、得物を治す事ができたようだ。一方で、俺の剣にかけられていた炎のエンチャントは役目を終えて、ゆっくりと消えてしまった。

 これで、互いに残ったのは肉体と剣のみ。真正面から戦うのみである。

「・・・行くぞ!!アンリ!!」

「良いよ!来て!コウスケ!」
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