大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移

第四十七話 鳴り響く金属音、迫り来る終幕

 墓場に金属音が響く。とても激しい剣戟けんげきが何分も続く。レベルの上がった幸助とアンリの実力は拮抗していた。能力的にはアンリの方が有利だが、ネクロマンサーの能力の使いすぎで疲弊しているようだ。

「はぁ・・・はぁ・・・私ね、本当は生まれてくる事を望まれていなかったんだ!両親は男の子を望んでて・・・だから私の名前は男の子の名前のハインリヒがつけられたんだ!」

 剣戟の最中、アンリは自分の過去を話し始めた。

「来る日も!来る日も!剣の稽古ばっかりで本当に辛かった。けど、お母さんはもう子供を産めない身体になっちゃったから私が男として頑張るしかなかった!」

 アンリの剣裁きが激しくなる。剣の型なんてクソ喰らえと言わんばかりのラッシュだ。

「だからね!家が没落した時は心の底から嬉しかった!だって、家訓から逃げられたから!!」

 彼女は幸助にとても良く似ていた。何者にも掟にも縛られない自由に憧れる姿は幸助の生き様と一致していた。

「それからは辛い事はいっぱいあったけど、楽しかった!そして、アモーラ教にも出会えた!君にも出会えた!」

 剣裁きの激しさが増す。最早体力なんて考えていない。力と速さで幸助に押し勝つ気満々だ。

「後はコウスケさえ、私のモノになるって言ってくれたら私は全ての幸せを手に入れられる!お願い、言って、『アンリのモノになります』って言って」

 彼女の目からは涙が出ていた。悲しみを覚えた時に流れる一番美しい涙。その涙を見て、幸助は口を開いた。

「凄く分かるよ、アンリの気持ち。君は俺に似ている。まるで俺の生き写しのような生き方だ」

 守りに徹していた幸助がじわりじわりと攻撃の手を増やしていく。

「それに君には感謝している。俺を魔物から助けてくれた事、俺を冒険者に誘ってくれた事。君がいなければ今の俺はいない」

「なら──────」

「ただ、アンリは大きな勘違いをしているね。誰もが一度はする勘違いを。何だと思う?それはね──────自分中心で世界が回っていると思っている所だよ」

「・・・!!」

 瞬間、アンリの動きがブレる。かなり動揺しているようだ。

「そんな事は・・・」

「あるだろ?君は自分の信じている者を信じていないからという理由で多くの人を傷つけた。多くの人の多くの自由を奪った。そして、今、俺は君に自由を奪われようとしている。俺は君に似てると言っただろう?何か分かるか?」

 アンリは考えた。今までの自分の人生を振り返って彼の問いに答えようとした。すると、なんという事か、すぐに答えは出てきた。嫌になる程に速く答えを導い出せた。

「自、由・・・?」

「そう、自由さ。君も大好きな自由さ!俺は人に縛られるのが大嫌いなんだよ!そして、君に一言言わせてもらう!!『人は人を縛れない』!!」

 幸助の一撃がアンリの剣に入る。アンリの剣は溶接した箇所から再び真っ二つに折れた。

「それが、『愛』なら猶更さ。愛は互いに思って成り立つものだからね」

 アンリは地面にヘタレこんだ。そして、気付いた。自分のやってきた事の愚かさを、意味の無さを。気づいた彼女の顔は悲しそうであったが、嬉しそうでもあった。

「そっか・・・コウスケは私を愛してはくれないんだね・・・」

 狂信者はそう言うと、手首を前に差し出してきた。



 深夜2時30分、狂信者アンリ・ラパン。逮捕。
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