大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第二話 分かち合い、喜び合う『生』

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「それで、他の皆は?ていうか俺達を発見してから大体何分経ってる?」

「う~~ん・・・大体1時間ぐらいかな?」

「い、1時間!?良く蘇生したな俺。この世界に来て色々とおかしくなったのかな?」

 良く脳死しなかったもんだ。だが、今は自分の身体の異常なんてどうでも良い。一番気になるのは仲間の安否だ。ジューペは口では意識を取り戻したと言っているが、やはりこの目でちゃんと確かめないと納得がいかない。

「ジューペ、皆は何処にいる?」

「隣にいるけど・・・行く?」

「行くッ!!」

 すると、ジューペは肩を貸してくれた。

「ほれ、行くぞ」

 早く会って謝らなくちゃいけない。自分のせいだと。自分のせいで巻き込んでしまったと。だけど、理由を聞かれた時、どうしようか?嘘を言うか?いや、駄目だ。メアリーにすぐにバレる。バレなくても怪しまれてマートルさんの所に連れていかれる!じゃあ、本当の事言うか?でも、女神の仕業なんて聞いて信じてくれるのか?頭おかしい人判定されないか?

 なんて言うか迷っていると、皆が休んでいるという部屋の前に到着した。

「おい、コウスケ。早く開けろ」

「ちょ、ちょっと待って・・・まだ心の準備が出来てないんだ・・・」 

開けるのを戸惑っていると、扉の先から話し声が聴こえてきたので、耳を澄ました。すると──────

『どう゛じよ"う"~~~!!ゴウ"ズゲざん"がじん"じゃう"よ"~~!!』

『落ち着け、メアリー。お主が泣いても何も解決にはならん。それにじゅーぺは天才だ。きっと、何とかしてくれる』

『もっと、ワタシに力があれば・・・ああ、今なら悪魔とも契約しても良いかもです・・・』

『頼むから止めて下さい!教会で悪魔を呼び出すなんてとんでもない!!』

『・・・ああ!もう!うるせえなぁ!!ランマルさん!コイツら拳で黙らせても良いですか!?うるさくて眠れやしない!!』

『暴力はよしてくれ、とーま。気持ちは分かるがな』

 中ではメアリーが号泣、ボニーが少し病んでしまっているようだ。これは少しどころかかなりやばいようだ。

「・・・入るか」

 意を決して、中に入る。すると、動物園のように騒がしかった部屋はピタリと静かになった。

「コウスケさん・・・?」

「や、やあ・・・無事、生き返ったよ・・・?」

 元気をアピールするように笑顔を浮かべて部屋の中へと入って行く。すると、包帯を身体にかなり巻かれたメアリーが得物を見つけたハイエナのようにじりじりと迫ってくる。何をしてくるかすぐに分かった俺は。ジューペに支えて貰うのを止めてもらい、両手を大きく広げた。

「コウスケさん!!」

 両手を広げるや否や、メアリーはボロボロの身体を跳ねあがらせ、俺の胸にダイブしてきた。それをしっかりと受け止めようとしたが、身体に力が入らず、仰向けになるように倒れてしまった。

「イッテェ・・・」

「あ!ご、ごめんなさい!!生きてるって分かったらつい嬉しくなっちゃって・・・」

「いや、良いんだ。心配させてごめん。蘭丸さんもボニーさんも」

「俺は!?」

「勿論忘れてないよ、トーマ」

 先程まで暗くて重たかった部屋の雰囲気が幸助の生存により、一気に明るくなる。ベッドで寝ていた蘭丸とボニーは立ち上がり、神父と修道女は拍手で讃える。

「蘭丸さん。足、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。先に傷を癒したぼにーと神父殿のお陰でな」

 ベッドに座り、右足の指を簡単に動かして見せる。接続した痕は残ってしまっているが、袴で隠れるのであまり気にする事はなさそうだ。

「フフ、頑張っちゃいました♪」

「流石は名魔術師のボニーさん。再生の魔術、お見事でした」

 また教会の神父さんに迷惑をかけてしまった。アンリ事件の時から迷惑だけかけてばかりで申し訳が立たない。

「こんな深夜に迷惑をおかけして申し訳ございませんでした・・・」

「いえいえ、貴方にはこの町を何度も救っていただきましたし、何より私達の宗教から生まれてしまった怪物アンリを倒してもらったという恩があります。ですので、どうぞお気になさらず」

 何て優しい神父さんなのだろうか。しかし、彼が信仰している女神に間接的に2度も殺された事を思い出すと、複雑な感情が湧き出てくる。どうしてこんなに良い人格の信仰者がいるのにアモーラはあんなにも酷い性格をしているのだろうか。不思議で仕方がない。

「それじゃあ、ちょっとこの身体じゃあ歩く事も出来ないんで、今夜だけ泊って行っても良いでしょうか・・・?」

「ええ、勿論。泊って行って下さい」

「ありがとうございます・・・」

 身体も再生による疲労で睡眠を要求している。早く寝て、体力を回復した方が良いだろう。

「さてと、俺はさっきの部屋に──────ん?」

 ジューペの肩を借りて先程まで死んでいた部屋に戻ろうとすると、後ろから服を引っ張られる感覚に襲われる。何事かと後ろを振り向くと、メアリーが小恥ずかしいそうにもじもじしながら俺の服を引っ張っていた。

「どしたの?」

「あの・・・もし良ければなんですが・・・その・・・」

「なになに・・・?」

「一緒に寝てくれませんか・・・?今、コウスケさんと離れたら何処かへ行ってしまいそうで・・・とても怖くて・・・」

 俺の服を掴む手がプルプルと震えている。薄っすらと気づいてはいたが、メアリーは俺に依存してしまっている。依存は決して悪い行為ではないが、やりすぎると沼から抜けられなくなる。彼女は今、その沼にはまるかはまらないかの境目に立っている。

 普通ならここで拒否して依存度を上げないようにするのが正しい行為なのだろうが・・・彼女の震える声と手を見たら断るのが憚られる。

「駄目・・・ですか・・・?」

「・・・・・・一緒に寝るだけだよ?」

「ほ、本当ですか!!ありがとうございます!!」

 悩んだ末、俺は彼女と一緒に寝る事にした。許可された時の彼女の笑顔は生涯忘れる事はないだろう。彼女がこんなにも甘えん坊なのは、孤児院で育って、甘える存在がいなかったからなのだろうか。

 考えているうちに目蓋がドンドン重くなってきて、気付いたら夢に潜り込んでいた。
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