大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第三十話 怒り狂うメアリー

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 血を吐きながら2人に暴言を吐くピピン。ボニーは驚きと恐怖で声が出なくなってしまっているが、メアリーは臆せず強気の発言でピピンを詰める。

「おい!どういう事だ!!本来町の治安を守るはずの王国騎士団団長が殺人鬼とはよぉ!!」

「俺はもう王国騎士団などという薄汚れた団体の者ではない!今はアモーラ様に使えるアモーラ騎士団の副団長だ!!」

「立場に反してやってる事のやばさは変わんねぇよ!!ポールの裁判の時に感じてた違和感はこれだったのか!アタシの中のアモーラ狂信者を憎む気持ちが無意識にお前を敵とみなしていたんだ!!」

 メアリーはピピンに対して薄っすらと既視感を感じていた。彼の雰囲気と、昔両親を殺した狂信者の雰囲気がとても良く似ていたからだ。狂信者に2度も酷い目にあわされているからか、特に理由はないが一撃、ピピンの顔にお見舞いする。

「おうっ!?」

 ピピンの口から血が付着した白い小さな物体が飛び出す。恐らくは歯だろう。殴られたせいで地面に横たわるピピンの鎧を掴むと、メアリーは尋問を始めた。

「質問するが、良いか?」

「質問?ㇵッ!この状況、世間の噂を鑑みてどうして分からない?頭に石ころでも詰まっているのか?アモーラ様意外の神の信仰者を殺しているのはこの俺d──────」

 若干自暴自棄になりながら自白するピピンの顔面を殴る。

「何するんだクソアマァァ!」

「うるせぇ、アタシが聞きたいのはそんなんじゃない。そんな分かり切ってる事を聞く為にアンタを生かしてるんじゃないんだよ」

「はぁ?じゃあ、何が目的なんだ?」

 メアリーは鎧から手を離し、目を瞑り、深呼吸をする。耳に響く程鳴っている心臓を落ち着かせる為だ。深呼吸を2.3回行い、心を落ち着かせたメアリーはピピンと再び対面し、質問を言葉にした。

「大体今から15年以上前、アモーラ狂信者達が他宗教者達を大量殺害した事件を覚えているか?」

 メアリーの質問に一瞬目を見開くと、今まで余裕の無さそうだった顔から笑みが零れる。『何故、笑っているのか』と聞く前に、ピピンは笑っている理由をメアリーに話した。

「・・・ああ、覚えているさ。何たって、俺も参加していたからなぁ」

「・・・・・・!!」

 血を吐きながらもあまりに愉快そうに話すピピンに怒りを覚えた時には既に拳がピピンの顔面にめり込んでいた。

「ごふっ・・・!!」

「アンタ・・・アンタあの虐殺で一体何人の罪のない人が死んだと思っているんだ!!」

「罪のない者?罪のない人間なんてこの世にはいない」

「だとしても、お前らみたいな頭のおかしな奴らに殺される筋合いは無かったはずだ!あの期間に殺された534人は真っ当な人生を送って寿命を迎えて死ぬべき人間だった!!それなのに、何なんだお前らは!!考え方が違うだけで子供のように切れ散らかして!人を殺してお前らの大好きなアモーラが喜ぶとでも思ってんのか!」

「『様』をつけろ!無礼者!!アモーラ様は慈悲深い唯一神!本来なら殺しているはずの不届き者他宗教者は慈悲で生かされているのだ!それなのにお前らはヘラヘラと感謝も述べずに生きよって・・・だから俺達が裁きを下したんだ!!・・・ああ、きっとアモーラ様もお喜びになっているだろう」

 一言で言い表すのなら、独善的だった。あまりにも自分勝手で自分よがりな発言と思想にメアリーの頭には血が上り切ってしまった。

「このクズヤロォォォォォォォォ!!」

 残り少ない魔力を使って、手に炎を灯す。燃え上がる手をピピンの両頬に近付けると、その手を押し付けた。

「ああああああああ!!あああああああぁぁぁぁぁ!!」

 油が弾ける音と肉の焼ける音と共に上げられたピピンの悲鳴は路地裏中に響き渡る。整ったピピンの顔はメアリーの手の形に焼け爛れ、グロテスクな見た目となってしあう。

 流石にこれ以上の痛めつけはマズイと察したボニーがメアリーの前に立って、止めようとするが──────

「邪魔だ!退け!!」

「きゃあ!!」

 理性を既に失っており、ボニーでは止める事は出来なかった。彼女の心の良心ブレーキは壊れてしまっており、言葉や前に立ちはだかる程度では止める事は出来ない。一見したら、理性を失ってしまった彼女は相手を殺さなければ止まれないバーサーカー。そんな彼女を止める方法は自己犠牲である。

「メアリー!止めろ!!」

 背後からメアリ―を呼び声が聞こえてくる。若い男の声だ。聞き覚えのある声にメアリーは振り向き、血走った目で声の持ち主に話しかける。

「コウスケ・・・」

 ピピンの策略によって、離れ離れになってしまっていた幸助である。

「コウスケ!見てくれ!ピピン・アルベールだ!!コイツがアンタを苦しめ、他宗教の奴らを殺したクズ野郎だ!!」

 瀕死のピピンを持ち上げ、爛れた顔を幸助に見せつける。幸助は苦い顔をしながらも首を縦に動かした。

「しかもそれだけじゃねぇぞ!!コイツは15年以上前のアモーラ狂信者が他宗教者達を虐殺した事件にも参加していた大悪党だ!!アタシの両親を殺したヤツと言っても過言じゃねぇ!」

「そうなんだな・・・良くやったよメアリー。今日のMVPはお前だ。だからもうこれ以上痛めつけるのはやめなさい」

 来たばかりではあるが、状況を察した幸助はメアリーの説得を試みる。

「何言ってるんだよ!コウスケ!コイツは筋金入りのクズだぞ!死ぬべき人間なんだぞ!!」

「だが、お前が殺す権利はない。殺さなければ死ぬ場合なら、仕方ないが、今のお前はピピンの命をその手に握っているじゃないか。お前がこのまま殺したら、過剰防衛でお前が逮捕される。良いか?よく聞け、メアリー。全てがこの国の法律が解決してくれる。言っただろう?殺すだけが復讐じゃないって」

 彼女を諭すように、心をほぐすように説得するが、良心を見失ってしまっている彼女にとっては、雑音でしかない。

「うるさい・・・うるさいうるさいうるさいうるさぁぁぁい!!」

 炎を纏った右手で顔面を鷲掴みすると、持ち上げて鎧の穴の位置を高くする。最大限まで持ち上げると、炎の左手で手刀を作り、矢のように引いた。

「これで!トドメだぁぁぁ!!」

 左手が無防備な鎧の中へと向かっていく。幸助は剣と盾を地面に投げ捨てると、彼女の近くへと走って行き、ピピンの体を刺そうとする左手を両手で掴み、トドメを刺そうとする彼女を止めた。
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