大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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最終章 今こそ復讐の時

プロローグII まさかの事態へ

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「ハッハッハッ!計画が全て無になった気分はどうだ!アモーラ!私はお前が怒り狂っている所が見れて最高に嬉しいよ!!」

 更にファイトールが怒りの火に薪を焚べる。横のラヴは顔面蒼白。金魚のように口をパクパクさせて思考を停止させている。

「だが、俺を恨むのは筋違いだぞ!アモーラ!俺がした事は全て我が教徒であり、人類である地底人を守る行為!貴様に攻める義理はないし、権利もない!神として正しい行動をしたのは俺、なのだからな」

 ファイトールの煽りによって、アモーラの怒りのゲージは限界値を超え、溢れ出す。溢れ出ると同時に彼女の中・・・知性のある生き物全てに持ち合わせた危険な思想が溢れでた怒りによって目覚めてしまったのだ。

「ふふ、ふふふふ・・・」

「・・・何?」

「きゃははははははははは!!あー!あー!あぁぁぁぁぁぁ!!」

 この世で1番敬遠される思想に目覚めたアモーラは分け目を振らず発狂し始める。ファイトールは突然の事に狼狽え、ラヴは腰を抜かしてしまう。

 大体20秒程経った頃だろうか?アモーラは電源を切ったようにピタリと発狂を止め、瞳孔が開き切った目でファイトールを睨みつけ、独り言のように呟いた。

「もう、いいや・・・」

 その一言だけを呟くと、立ち上がり、ファイトールを思い切り殴りつけた。ただのパンチではない。神としての力がふんだんにこもったパンチ。並の神なら消滅してもおかしくは無い威力の拳はファイトールを意図も簡単に身体と意識を吹き飛ばしてしまった。

 ファイトールが気絶したのを遠目で確認する。完全に意識が飛んで立ち上がらない男神を見て、アモーラは狂気に満ちた笑みを浮かべ、ラヴを怯えさせた。

「ラヴ。地下牢獄に閉じ込められた私の狂信者の誰かにモグラの能力を与えなさい」

「え?で、でもそんな事したらまた神評会に─────」

 パチン!乾いた破裂音が花園に響く。音源はラヴの右頬とアモーラの左手。ラヴの右頬は次第に赤く染まっていく。

 震えながら顔を上げると、アモーラが冷たい目つきでラヴを睨みつけていた。

「やりなさい」

「は、はい!!」

 今までにない恐怖を肌で感じたラヴはすぐに作業に取り掛かる。何度かこれまでも暴力を振るわれる事はあったが、全て愛のある暴力だった。だから、ラヴは恐怖を感じずにいられた。しかし、今振るわれた暴力には愛のかけらもない。ただ、人を傷つけ服従させる為だけの暴力だった。

 ラヴは天使としては上位の存在だが、所詮神の下位互換。どんなに強くなっても神に勝つ事など不可能。敗北の先には死が待っている。

 神と違って、天使は死んだら復活することはない。人々が綴った物語の中に天使の個人の名前はなく、天使という種族は存在するという考えから生まれた生命体だからである。だから、一度死んだら別の魂が記憶を受け継いで生き始めてくれるわけではなく、完全に消滅してしまうのだ。

 ラヴは死を恐れていた。彼女が暴力を振るわれてから従おうと決めるまで、そう時間はかからなかった。

「で、では始めます・・・」

 しかし、ラヴは知らなかった。従ったことによって、起こる悲劇を。歴史に深く刻まれるであろう闇のイベントが行われる事を。

 本を開き、1ページを破り取る。本には1ページ毎に様々な絵が描かれており、破り取ったのはモグラの絵が描かれていた。

「で、では、1番コウスケ・イズミに因縁がある人間に譲渡したいと思います・・・はぁぁぁぁ」

 ラヴはモグラの絵が描かれた紙を片手でくしゃくしゃに丸め、黄色の炎で燃やし始める。燃え滓1つが無くなるまで燃やすと、顔を上げ、完了の旨を伝える。

「しかし、何故地下牢獄の者達を解放するのです?あのような者達に力を与えても人間界に害を与えることしかできませんが─────」

「それで良いのです。ラヴ」

「・・・え?」

「フラムの民はあの忌まわしき男泉幸助によって、私のありがたみを忘れてしまいました。だから、思い出させるのです。自分達が信じていた愛の女神がどれほど素晴らしい神なのかを!武力によって!人間達の心に刻みつけてやるのです!」

 アモーラは変わってしまった。自分が絶体絶命のピンチに置かれた状態で怒りが限界値を超えたことにより、自分の力以外、全てどうでも良くなってしまったのだ。

 誰でも愛する愛の女神が、誰でも構わず破壊の限りを尽くす破壊女神へと変貌してしまったのである。

「さあ、起きなさい私の愛する信者達よ。愚かなフラムの民を殺し、泉幸助を辱めなさい!」

 災厄の始まりである。
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