大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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最終章 今こそ復讐の時

プロローグ 面倒くさい神評会が終わった

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 地上で住む人間を見守るために作られた上位の神と天使のみが暮らす事が許された幻の場所天界。天界では長らく続いていた面倒臭いイベントが終わりを告げようとしていた。

「────では、愛の女神アモーラは近日までに反省文1000枚を書いてくる事。以上で神評会を閉会する」

「・・・はぁ、わかりました」

「何かご不満でも?」

「いいえ、違いますわ。あまりにも長かったので疲れただけです。もう少し短かくするのも検討した方が良いのではないでしょうか?」

「人間が行う裁判のようにか?私は反対だ。人間は溢れる程いるが、神の数は限られている。そして一神一神には各々の役目がある。その役目が1つなくなる事で人間界にどんな悲劇が起きるかは誰も知らないし、知りたくもない。だからら我々は罪を犯した神の審判を慎重にやらなくてはならないのだ」

「はぁ・・・」

 真実の神ヴェリーテの長ったらしい説明に露骨に嫌な顔をするアモーラ。だが、これ以上言ったら罰を増やされてしまいそうなので何も言わずに自分のテリトリーへと戻ってくる。


 怒りに支配されそうなアモーラを出迎えたのは色とりどりの花々。お気に入りの天使ラヴだった。ラヴはアモーラが帰ってきた事に気づくと花を散らさないようにゆっくりと飛びながら近づいてきた。

「おかえりなさいませ、アモーラ様。神評会、お疲れ様でした」

 ラヴが近づいてくると、アモーラはラヴを抱き寄せ匂いを吸う。神がストレスを感じた時に行う天使吸いである。初めてではないので、特に動揺することはないが、ラヴは未だに慣れないようだ。

「私が神評会にかけられてから何ヶ月経ちましたの?」

「凡そ8ヶ月です。その間のアモーラ様の仕事は何とかこなしていましたのでどうかご安心下さい」

「そうですか、ありがとうございます・・・それで、人間界の観察は?」

「それなのですが、アモーラ様の代行の方がとても忙しくてとてもじゃありませんが、観察をすることはできませんでした・・・申し訳ございません」

 それもそのはず。いくら狂信者の暴走でアモーラ教の人気が下がったとはいえ、依然アモーラ教は世界で一番人気のある宗教として名を馳せている。神は信者の数によって強さが変わるが、信者の数によって神としての仕事も変わってくる。

 膨大なアモーラの仕事を神ではない天使がこなせる方がおかしいのだ。その事を理解しているアモーラはラヴを攻める事は無かった。

「それは仕方ないでしょう。では、私が久しぶりに観察しますか・・・どれどれ」

 憎き泉幸助はどこに居るのだろうか?アモーラ教徒の視界を共有して確かめる。しかし、アモーラ教徒はフラム王国にはほとんどいなくなってしまった為、中々ほしい視点が見つからず、フラストレーションをゆっくりと貯めていく。仕方がないので、教徒の身体を借りてフラムを歩こうとした時だった。

「よお!神評会が終わったみたいだな!!」

 アモーラの背後から快活な男の声が聞こえてくる。今、聞きたくない声ランキング5位に君臨する男神の声だ。ずっと怒りっぱなしというのも愛の女神としてどうなのかと思ったアモーラほ無理矢理顔面に笑顔を貼り付けて後ろを振り向いた。

「これはこれはお久しぶりです。ファイトール」

「ああ!2ヶ月ぶりだな!」

 後ろに立っていたのはアモーラを神評会へと引き摺り込んだ男神。生きとし生けるもの全ての戦いを司る神である闘神ファイトールだった。

「何の用でしょうか?これから私は溜まりに溜まった仕事を終わらせなければいけないのですが・・・」

 嘘である。仕事は全てラヴが終わらせている。

「まあ、すぐに住む用事だ!ちょっとだけ耳を傾けてほしい!」

 ファイトールの正直さは知っていたので、信じて話を聞いてみる事にする。アモーラが耳を傾けたと同時にほぼ裸の神は低いドスの効いた声でアモーラの耳元で囁いた。

「俺の教徒が大勢いる地底人を教徒を誑かして殺そうとしていたらしいな」

 金色の美しい長髪が驚くでふわりと立ち上がり、全身に鳥肌が走る。何故、秘密裏にしていた計画がバレたんだ?しかも、よりによってファイトールにバレたんだ?アモーラ一生懸命思考を巡らせるが、答えが出てくる事はない。ファイトールがその前に口にしてしまうからだ。

「俺の天使が情報源は不明だが、垂れ込んできたんだ。そして、調べたら黒だったってわけ」

 天使同士の垂れ込みか?否、あり得ない。地底人絶滅計画は私とラヴしか知らないはずだ。本や資料として書き残してもいない。消去法で考えるなら、盗聴されていたのだろう。

 だが、もう何故知られたかなんてどうでもいい!今知りたいのは、ファイトールが何をしたいのか?だ。復讐か?それとも神評会への暴露か?どっちにせよ止めなくてはならない。どちらかをやられたら私の神としての評価が地に落ちる・・・。

 しかし、天界には金が無いので、賄賂で口止めという事はできない。その身1つで交渉しなくてはならない。アモーラが選んだ交渉手段は自分の女神としての美しい身体。美の女神と比べると流石に劣ってしまうが、女神の中ではトップクラスの美貌にファイトールを食いつくはず・・・だった。

「俺が交渉に来た・・・とでも思っているのか?違うな?大いに違う・・・フラムを見てみろ。俺が来た理由が分かるぞ?」

 交渉が理由で私の前に現れたのではない?では、何故・・・。

「フ、フラムにはもう私の教徒はほとんどいません。ですので、みる事は困難──────」

「おっと、そうだったな。では、俺の教徒の視界を見せてやろう」

 ファイトールの岩のようにゴツゴツした手に目を覆われ、視界に人間界の光景が映し出される。映し出されたのはフラム城下町にある冒険者ギルド。随分と賑わっているようだ。

「視界提供者はフラン・キスカ・・・俺のお気に入りの冒険者だ!さあ、冒険者ギルドの様子を目に焼き付けろ!!」

「焼き付けろと言われても・・・は?」

 驚き、無意識に口が開いてしまう。それもそうだろう。だって、地上の国のギルドに病的に白い肌と白い髪とアメジストのような紫の瞳を持った異種族がいるのだから。

「ど、どういう事です?これは・・・」

「頭の良いアモーラなら分かるだろう?彼らが何者で、どうして地上にいるのか・・・」

「ま、ま、まさか・・・!!」

 ファイトールの手を叩き落とし、彼を睨みつける。闘神の顔にはいつもの豪快な笑みではなく、人を小馬鹿にするようないやらしい笑みが浮かんでいた。

 その笑みでアモーラは全てを察した。自分の計画が無駄になったと。ファイトールによって、無駄になったと。

「あああああああああああああああああ!!うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 気づいたアモーラは天界の更に上、天に向かってまるで理性のない獣のように発狂した。8ヶ月の間、ずっと溜めていた怒りがついに爆発したのだ。
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