大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

エピローグII 和平条約

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「ここが・・・地上・・・なんと美しい所なんだ・・・!」

 ジースト王国に建てられたすべての建物の立て直しを終え、幸助達はアメリアを筆頭とした騎士団数人を連れて地上へと帰ってきた。

 久しぶりに地上に帰ってきた幸助達を出迎えたのは、何処までも続いていそうな緑の草原、色とりどりの花々、そして青い空でサンサンと煌めく太陽。

 幸助達にとっては懐かしい。ジースト人にとっては未知なる領域に入った感覚に襲われる。アメリアは兜を脱ぎ、緑の草原をアメジストのような紫の瞳に焼き付け、涙を流す。これが自分達地底人が恋焦がれていた地上なのだと。

「うぉおおおおおおおお!!」

 兜を槍を剣をその場に投げ捨てると走り出し、草原にダイブする。付き添いの騎士達も我慢ならなくなったのか、同様に武器を投げ捨て草原に身体を倒した。

「ハハハハハハ!これが、草原!あれが、木!あの青いのが空!そして、空で輝く光の玉が太陽!・・・ああ、ついに私達はやってこれたのだな・・・憧れの地上へ!!」

 気づいた時には幸助達は手を叩いて祝福していた。彼女達の悲願達成を祝ってパチパチと手で音を鳴らしていた。

「感謝するよ、コウスケ。君のお陰で私達は国の願いを叶える事ができた。この恩は絶対に忘れる事はないだろう」

「それはお互い様だろ?俺だってしたくなかった地底人との戦争を避ける事が出来た。本当に感謝しているよ」

 草原に仰向けになって倒れるアメリアの手を引き、立ち上がらせる。彼女を起こして、フラムの方角を見つめていると、今から向かおうしている方向から馬車が走ってきていた。

「あれは馬か?伝説の動物なのか?」

「別に伝説でも何でもないよ。それにしてもあの馬車、俺らの方に向かってきていないか?」

 地上人にとってはまだ、地底人は魔族という認識。馬車に乗って近づいてくるなんて酔狂な奴だと思っていると、馬車の後ろに更にもう1つ馬車が歩いている事に気づいた。更に後ろの馬車からひょっこりと顔を出してきたのは俺らの知っている人だった。

「おぉーーい!コウスケ!ランマル!メアリー!ボニー!迎えに来たぞぉぉぉ!!」

「「「フランさん!!」」」「ふらん・・・!」

 頼れる冒険者先輩のフランだった。彼は嬉しそうに手を振りながら幸助達の前で馬車を停止させた。

「いやぁ!間に合って良かった!良かった!ファイトール様が昨日、『迎えに行け』っていうから急いで飛んできたんだよ!」

 フランの一言で全てに納得すると同時にファイトールの気遣いに感謝する幸助達とジースト騎士団。幸助達の安否を確認すると、アメリアの前に立ち、手を伸ばし握手を求めた。アメリアはすぐに笑顔で手を握り返した。

「同志よ、地上へようこそ。そして、今まで攻撃されているにも関わらず、全く気づく事が出来なくて大変申し訳無かった」

「いや、良いんだ。こうして地上にやってくる事ができたんだから。それに、君達のせいではない事は分かっている。全てアモーラの仕業なのだろう?」

「そう言ってもらえると非常に助かる・・・既に国王には話しは付けてある。話し合いの場所に今から向かうが、準備はよろしいかな?」

「ああ、元からそのつもりで地上にやってきたんだ。準備は既に出来ている・・・・・・もしかしなくても、馬で移動かい?」

「ああ、そうd─────」

「ひゃっほーーい!私がいちばーん!!」

 余程嬉しいのか、アメリアは分け目を振らずに馬車へと乗り込んで行った。無邪気な姿を見てフランは笑みを浮かべる。

「快活な女騎士を連れてきたな。階級は一体なんなんだ?」

「団長兼女王です、同志。では、我々もお言葉に甘えて乗車させていただきます!」

 付き添いの騎士達も少しソワソワしながら馬車の中へと入って行った。

「女王か!成る程!・・・もう少し良い馬車を持ってきた方が良かったかな?ファイトール様からは同志を迎えに行けとしか言われて無かったから、つい普通の馬車で来ちゃった・・・」

「大丈夫じゃないんですかね?金銀であしらった馬車を見るよりも、木製の丈夫な馬車の方が彼女達喜びますよ」

「それなら良いか!ではすぐにフラム城へと向かおう!出迎えの準備はできているからな!御者よ!エンチャントを頼む!!」

「かしこまりました・・・『ビルドアップ』!」

 馬本体の筋力が増大化。馬車を引く力も走る速度も段違いに上がる。筋力増加のエンチャントをかけられた馬はあっという間に草原を駆け抜け、幸助達が辿り着くまで2日かかった距離を経った5時間で走行し終えてしまう。

 城下町の門前に降り立つと、入り口から城の門前まで兵士達が槍でアーチを作ってアメリア達、ジースト騎士団を迎え入れていた。

 歓迎という意味にも捉える事ができるが、槍を使っている辺り、警戒の意味も篭っているのだろう。

 同然、住民の目にも注目されてしまう為、人々は兵士達の隙間から魔族を一目見ようと試みる。しかし、いるのは幸助達地上人とツノが生えた兜を手に持つ色白の騎士達。紫の肌と額に角の生えた容姿を想像していた野次馬達は全員首を傾げた。

「ここが、地上の王国フラム・・・ジーストとはまた違う雰囲気だな」

「文化も思想も違うしね。でも、安心してほしい。何としても和平を結んでみせるから」

「大丈夫、心配はしてない。だって、君がいるしな」

 アメリアが幸助の腕に絡みつく。やはり幸助も男なわけで反応してしまうが、背後から感じたメアリーの殺意に怯えて男のしての本能を押さえつける。

 特に誰に邪魔される事も危険物を投げられる事もなく、城内へと入る。階段を登り、豪華な扉を開くと待っていたのはフラム国王。横には大臣と騎士団長を置いており、やはり警戒はしている模様。

「はるばる遠くからお越しいただき誠に感謝する。私はこのフラムを統率する者だ」

「自己紹介ありがとうございます。私はアメリア・ジースト。地下王国ジーストの女王をしている者です」

「女王?君がか?」

「はい。父が去年亡くなってしまいましたので」

「それは・・・すまない事をした」

「謝らないでください。父は戦士として素晴らしい死を遂げたのですから・・・話が逸れてしまいましたね。私がここにきた理由はご存知でしょうか?」

「フランから既に聞いている。俄に信じがたい事だったが、そなたが来たお陰で真実だという事が判明した。早速だが、話をしようではないか」

 そこからはとても早かった。アメリアは女神アモーラが地上人を騙して地底人を攻撃していた事を説明。最初こそ疑う者が大半を占めていたが、真実の神の教徒である裁判官達により真実だという事が判明。国を滅ぼしかねないとんでもない勘違いが同時に判明した。

 国王はアメリアもといジースト王国に謝罪を行い、ジースト側が提示した和平条約に喜んで了承した。話し合いにて何十年も続いていた戦争がたった数分で終了を宣言したのである。兵士や騎士達は喜び、フラム国王とアメリア女王を讃えた。

「「「国王陛下万歳!!ジースト女王万歳!!」」」

 騎士と兵士達に讃えられる中、フラム国王は立ち上がり、アメリアと熱い握手を交わす。こうして女神アモーラの目論見は失敗し、アモーラの人気は更に下がるのであった。

 大勢の人を救えただけでなく、自分の目的もついでに達成できた!何て素晴らしいのだろう!後はあのクソ女神を───────

「では、和平可決を祝って彼の種を頂きますね」

「・・・へっ?」

 握手を止め、近づいてくるや否や和平条約の内容が書かれた紙を見せてきた。紙には至って普通のことしか書かれていない・・・最後を除けば。

「『コウスケ・イズミの子種をフラム王国は譲渡すること』・・・はぁ!?アメリア!何言って・・・!」

「私が・・・諦めるような女だと思うか?」

 顔を近づけ、舌なめずりする姿は妖艶で思わず興奮してしまう。しかし、後ろにいるメアリーが怖い・・・。

「はぁ・・・私の恋人だという事を忘れないで下さいね。アメリアちゃん」

「分かってるって。それじゃあ・・・行こうか♡」

「私も同行させていただきます!良い場所を知ってるんで!」

 アメリアに右腕をメアリーに左腕を掴まれ、抵抗が出来なくなる。ジースト騎士団と蘭丸さんとボニーさんとフランさんはまるで子の成長を喜ぶ保護者のような笑みを浮かべ、兵士達はトランペットを鳴らし、演奏を始めた。

「おい!何お祝いムードになってんだ!止めろぉ!てか、何で違和感を感じなかったんだ!国王陛下!頼む!まだ子供は作りたくない!せめて!せめてアモーラへの復讐が終わってからにしてくれぇぇぇぇ!!」

 幸助の悲痛の叫びは虚しくも謁見の間の扉が閉まる事によって、聞こえなくなる。

「・・・幸助、大人になるんだ」

「思えばここまで長かったですね・・・頑張って、メアリーちゃん、アメリアちゃん・・・」

 この後、幸助はかかり気味のアメリアとメアリーに必死の説得を行い、アモーラ復讐後へと予定を繰り越す事に成功するのであった。
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