大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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最終章 今こそ復讐の時

第五話 【悲報】アモーラ、特定する

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「ここは危険です。じきに察しのいい神々がやってきて我々を拘束するでしょう。その前に逃げますよ、ラヴ」

「は、はい・・・」

 私とアモーラ様はファイトール様を痛めつけた後、人間界へと降りました。始めて水晶越しにではなく、肉眼で見る人間界は意外にも自然が沢山あって、天界とはまた違った美しさが広がっていた。

 右を見ればケンタウロスが、左を見ればゴブリンが、そして、前を見れば大きな蛇がとぐろを巻いてぐっすりと眠っていた。

 人間界限定の生物を生で見たことに興奮していると、アモーラ様に腕を引っ張られる。

「何をしているのですか?ラヴ。観光にきたわけじゃないんですよ?」

 アモーラ様の発する声にはいつも何かしらの感情を感じる。怒りだったり、喜びだったりと様々に感情を読み取る事が出来る。しかし、今は何にも読み取る事はできない。否、感情がこもっていないと言った方が正しいだろう。怒りを通り越して感情が無になってしまったのだ。怒られるよりもよっぽど無感情の方が恐ろしい。

「行きますよ」

「はい・・・」

 誘導されて飛んで来たのは現在進行形でアモーラ様の教徒が暴れているフラム城下町。あちこちの建物から火が上がったり、崩壊しており、着々と攻撃が進んでいる事が分かる。しかし、アモーラ様が確認したいのは戦況ではなく、1人の男の姿だけだった。

 イズミコウスケ。アモーラ様が魔族にトドメを刺すために異世界へ送られた最新の1人。彼以降、異世界から誰も捕まえたりはしていない。アモーラ様がイズミコウスケの殺害に集中するようになったからである。

 アモーラ様が怒る理由も分かるが、イズミコウスケが反抗する理由も少し分かる気がする。そもそも、人間として正しい行動しているのはイズミコウスケなのだろう。私は生まれてからずっと天使だったので、人間の気持ちはあまり分からないが。

「チッ・・・いない。何処に行ったんだ?クソコウスケは・・・」

 結論からすると、いなかった。街の何処を見渡してもイズミコウスケらしき姿は見当たらなかった。

「仕方ないですね・・・ラコルトの元へ行きますか」

 ラコルト・・・最近生まれたばかりの豊作を司る神様だ。私もアモーラ様も一度お会いしたことがあるが、アモーラ様は初対面の事を覚えていない。否、覚えようとしなかったの方が正しいだろうか?自分に格下な上に自分に匹敵する力を持つことはないと察していたからだ。傲慢さを兼ね備えるようになったのはいつ頃からだろうか?

 私達はラコルト様が滞在する村へとやってきた。当然の如く野次馬がゾロゾロとやってきたが、アモーラ様の力によって近づく事ができない状態にして、ラコルト様を神像から引きずり出した。

 少年の見た目をしているラコルト様を出すや否やアモーラ様はラコルト様の細い首を掴み、締め始めた。止めようと思ったが、止めたら何をされるか分からず、結局何もすることが出来なかった。

「あ・・・がぁっ・・・!!や、やめて・・・下さい・・・」

「やめてほしいのですか?ならば、泉幸助の居場所を吐きなさい」

 今の要求で全てを察したラコルト様を態度を一変。まんまるとした童顔でアモーラ様を睨みつけた。

「言い・・・ません!!殺したいならどうぞ・・・!」

 何とラコルト様は自分の命よりも異世界人の命を取ったのだ。しかし、その発言がアモーラ様の怒りを更に湧き上がらせ、首を絞める強さを強くしていく。

 人間は神を殺せない。アモーラ様がもし人間なら、ラコルト様は首を絞められても何も問題なく、苦しむ事もないだろう。しかし、神は神を殺す事ができる。つまり、このままラコルト様を締め殺す事は可能なのだ。その場合、新たなラコルト様が生まれることになるが。新しいラコルト様も首を絞めれば良いのだと、アモーラ様は思っている。

 しかし、ラコルト様もただのんびりと暮らしていたわけではないようで、アモーラ様の首絞めにしっかりと対抗している。頑張って信仰者を増やしたのだろう。

 ラコルト様の意外な力に驚いたアモーラ様は作戦を変更。暇している腕を上げ、遠目で見ている野次馬の村人達を指差し始めた。

 差している指の先からは小石程の大きさの光が集約している。集まった光はアモーラ様の意思によって、宙に線を描きながら飛んでいき、指を指している村人の心臓を貫くだろう。

「待って!それは違うでしょう!?彼ら全く関係がない人達です!私の教徒でもなければ、貴女の教徒でもありません!」

「・・・関係あるでしょう?ここにいて、私達の話を聞いているのですから」

「そんなの理不尽です!許される行為ではありません!」

「・・・10、9、8、7」

 無慈悲にもカウントダウンを始めるアモーラ様。強気だったラコルト様も顔面を真っ青にして止める。しかし、カウントダウンが止まる事はない。

 このままだと罪のない人々が犠牲になる。それは天使としても止めなければならない事態だ。それなのに、何故だか、足が動かない。

 しかし、ラコルト様の口は村人を守る為に動いた。

「ブラックスミスの山!その山頂に行くと言ってました!!」

 血涙を流しながら、白状するラコルト様。すると、アモーラ様はラコルト様の首から手を離し、地面に無造作に捨てる。

「ブラックスミスの山ですか・・・ラヴ、行ってきなさい」

「は、はい・・・」

 アモーラ様から命じられた。行かなければ・・・。

「うっうっ・・・ごめんなさい、コウスケさん・・・」

 四つん這いになってこの場にいないイズミコウスケにむかって謝罪を述べるラコルト様を見て、私の心に少しヒビが入った・・・ような気がしたが、今はそんな事を気にするよりもイズミコウスケを見つけなければならない。

 アモーラに逆らう事のできない哀れな天使ラヴ。彼女は、アモーラの指示に従うのみの人形と化してしまったのだろうか。
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