大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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最終章 今こそ復讐の時

第二十五話 復讐は復讐を呼ぶ

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「そうだよ!そうだよ!ピピンだよ!お前に目を貫かれたピピンだよ!その顔、忘れてたな!忘れてたな俺のことを!!俺はお前を殺す為に8ヶ月間忘れず恨みを積み重ねてきたというのに!!お前は!!」

 薄暗い地下牢獄に閉じ込められた影響か、ピピンは以前よりも凶暴になっていました。でも、そんな事どうでもいい。今はなによりもコウスケさんの事だ彼を・・・彼を助けなければ・・・。

「ピピン・アルベール!止めなさい!もう戦いは終わりました!私が全ての責任を負います。ですからこれ以上血を流すのは──────」

「うるせぇ!黙ってろ!裏切者!!こんなにも尽くしてきたのに!人生をかけて信仰したのに!俺達を捨て駒のように扱いやがって!今に待ってろ!ソイツコウスケの剣奪って斬り殺してやる!!」

 ピピンの怒りは十分に理解できます。信じていた者に人生をめちゃくちゃにされた・・・被害者は異世界人だけではないんです。ですが、牢獄にぶち込まれる殺人を行ったのはアモーラの指示ではなく、自分の意志だったはず。自分の行動とアモーラの指示すらも判断できていない。これが狂信の末路なのか。

「おい!お前ら!止めろ!あの男を何としてでも止めるんだ!!」

 急な事態の変化に慌てて対応する戦士達。しかし─────


「ちょっと待ってくれ・・・皆!俺に、やらせてくれ・・・!」

 あろう事か、左腕を失ったコウスケさんが立ち上がり、闘志の剣を腰から抜くと、私を守るようにピピンの前に立ち塞がった。

「メアリー・・・神殺しの剣を持っていけ。そして、戦士達に匿ってもらえ。俺はお前に死んでほしくない」

「えっ?で、でもこれは私の問題です!私に向けられた復讐なんです!ですから、私が──────」

「お前だって、蘭丸さんとボニーさんと一緒に俺の復讐手伝ってくれたろ?それのお礼だよ」

 痛みに苦しみながらも必死で笑顔を作ると、私を片腕で持ち上げ、ランマルさんへと投げ飛ばしました。

「頼みました!蘭丸さん!!」

「任された!」

「離して下さい!離して!ランマルさん!コウスケさんが!死んじゃう!」

「だとしても、拙者は幸助からお主を頼まれた。なので、そ
の要求は聞けん!」

「メアリーちゃん、ごめんね・・・『スリープ』」

 そう言ってボニーさんは私の額に人差し指を付けると、錨のように重い睡魔が私の目蓋を閉じさせた。



「か弱い女の子を守る騎士気取りか!片腕の復讐者さん!!見ない間に随分と格好良くなったじゃないか!」

「まあな。こう見えてアイツメアリーの恋人だし、これくらいはしなきゃ面子が保てないでしょ」

 ピピンの挑発に乗らない・・・というよりも乗れないの方が正しい。足元には水溜まりのように左肩から出た血が溜まっており、身体からは挑発にのるのに必要な頭脳の回転も碌にできない状態。立っているのもやっとな感じだ。

「それよりも、腕は治さなくて良いのか?お前なら、簡単な再生魔術なら覚えているのだろう?」

「まあな・・・でも、お前の事だ。どうせ左腕を手に取った瞬間、俺を燃やすんだろ?」

「・・・ふんっ!」

 不機嫌そうに鼻息を吹くと、落ちていた幸助の左腕を炎の魔術で燃やしてしまう。今まで苦楽を共にしてきた左腕は炭となり、煙となったのだ。

「あの腕は・・・お前にくれてやるよ。英雄の腕だ、ありがたくもらい・・・なっ!!」

 言い終わると同時に傷口に再生魔術を施し、傷口を塞ぐ。幸助程度の魔力、魔術の力では勿論の事腕を再生する事は出来なかったが、傷口は塞ぐ事が出来た。

「よくよく考えてみると、こうやって正面切って戦うのはあの雨の日以来だな。あの日のお前はとても弱かった。今は・・・どうかな?」

 時間が経って冷静さを取り戻したのか、収監される前の口調に戻ってきている。幸助は質問に答えるように闘士の剣を構えた。

「異世界人、舐めるなよ?」

 パンッ!という破裂音が空耳で聞こえてくる。まるで銃を放った時のような音だ。その音がピピンにも聞こえていたのかは定かではない。だが、同時に互いを求めて走り出したのは確かだ。

「「ぶっ殺す!!」」

 言葉が重なったのも偶然だったが、確かだ。

 愛の女神に人生を狂わされその先に幸せを手に入れた者と、愛の女神を狂うように敬愛し、人生を壊した者の戦いにもならない醜い殺し合いが幕を開ける。
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