206 / 212
最終章 今こそ復讐の時
第二十五話 復讐は復讐を呼ぶ
しおりを挟む
「そうだよ!そうだよ!ピピンだよ!お前に目を貫かれたピピンだよ!その顔、忘れてたな!忘れてたな俺のことを!!俺はお前を殺す為に8ヶ月間忘れず恨みを積み重ねてきたというのに!!お前は!!」
薄暗い地下牢獄に閉じ込められた影響か、ピピンは以前よりも凶暴になっていました。でも、そんな事どうでもいい。今はなによりもコウスケさんの事だ彼を・・・彼を助けなければ・・・。
「ピピン・アルベール!止めなさい!もう戦いは終わりました!私が全ての責任を負います。ですからこれ以上血を流すのは──────」
「うるせぇ!黙ってろ!裏切者!!こんなにも尽くしてきたのに!人生をかけて信仰したのに!俺達を捨て駒のように扱いやがって!今に待ってろ!ソイツの剣奪って斬り殺してやる!!」
ピピンの怒りは十分に理解できます。信じていた者に人生をめちゃくちゃにされた・・・被害者は異世界人だけではないんです。ですが、牢獄にぶち込まれる殺人を行ったのはアモーラの指示ではなく、自分の意志だったはず。自分の行動とアモーラの指示すらも判断できていない。これが狂信の末路なのか。
「おい!お前ら!止めろ!あの男を何としてでも止めるんだ!!」
急な事態の変化に慌てて対応する戦士達。しかし─────
「ちょっと待ってくれ・・・皆!俺に、やらせてくれ・・・!」
あろう事か、左腕を失ったコウスケさんが立ち上がり、闘志の剣を腰から抜くと、私を守るようにピピンの前に立ち塞がった。
「メアリー・・・神殺しの剣を持っていけ。そして、戦士達に匿ってもらえ。俺はお前に死んでほしくない」
「えっ?で、でもこれは私の問題です!私に向けられた復讐なんです!ですから、私が──────」
「お前だって、蘭丸さんとボニーさんと一緒に俺の復讐手伝ってくれたろ?それのお礼だよ」
痛みに苦しみながらも必死で笑顔を作ると、私を片腕で持ち上げ、ランマルさんへと投げ飛ばしました。
「頼みました!蘭丸さん!!」
「任された!」
「離して下さい!離して!ランマルさん!コウスケさんが!死んじゃう!」
「だとしても、拙者は幸助からお主を頼まれた。なので、そ
の要求は聞けん!」
「メアリーちゃん、ごめんね・・・『スリープ』」
そう言ってボニーさんは私の額に人差し指を付けると、錨のように重い睡魔が私の目蓋を閉じさせた。
★
「か弱い女の子を守る騎士気取りか!片腕の復讐者さん!!見ない間に随分と格好良くなったじゃないか!」
「まあな。こう見えてアイツの恋人だし、これくらいはしなきゃ面子が保てないでしょ」
ピピンの挑発に乗らない・・・というよりも乗れないの方が正しい。足元には水溜まりのように左肩から出た血が溜まっており、身体からは挑発にのるのに必要な頭脳の回転も碌にできない状態。立っているのもやっとな感じだ。
「それよりも、腕は治さなくて良いのか?お前なら、簡単な再生魔術なら覚えているのだろう?」
「まあな・・・でも、お前の事だ。どうせ左腕を手に取った瞬間、俺を燃やすんだろ?」
「・・・ふんっ!」
不機嫌そうに鼻息を吹くと、落ちていた幸助の左腕を炎の魔術で燃やしてしまう。今まで苦楽を共にしてきた左腕は炭となり、煙となったのだ。
「あの腕は・・・お前にくれてやるよ。英雄の腕だ、ありがたくもらい・・・なっ!!」
言い終わると同時に傷口に再生魔術を施し、傷口を塞ぐ。幸助程度の魔力、魔術の力では勿論の事腕を再生する事は出来なかったが、傷口は塞ぐ事が出来た。
「よくよく考えてみると、こうやって正面切って戦うのはあの雨の日以来だな。あの日のお前はとても弱かった。今は・・・どうかな?」
時間が経って冷静さを取り戻したのか、収監される前の口調に戻ってきている。幸助は質問に答えるように闘士の剣を構えた。
「異世界人、舐めるなよ?」
パンッ!という破裂音が空耳で聞こえてくる。まるで銃を放った時のような音だ。その音がピピンにも聞こえていたのかは定かではない。だが、同時に互いを求めて走り出したのは確かだ。
「「ぶっ殺す!!」」
言葉が重なったのも偶然だったが、確かだ。
愛の女神に人生を狂わされその先に幸せを手に入れた者と、愛の女神を狂うように敬愛し、人生を壊した者の戦いにもならない醜い殺し合いが幕を開ける。
薄暗い地下牢獄に閉じ込められた影響か、ピピンは以前よりも凶暴になっていました。でも、そんな事どうでもいい。今はなによりもコウスケさんの事だ彼を・・・彼を助けなければ・・・。
「ピピン・アルベール!止めなさい!もう戦いは終わりました!私が全ての責任を負います。ですからこれ以上血を流すのは──────」
「うるせぇ!黙ってろ!裏切者!!こんなにも尽くしてきたのに!人生をかけて信仰したのに!俺達を捨て駒のように扱いやがって!今に待ってろ!ソイツの剣奪って斬り殺してやる!!」
ピピンの怒りは十分に理解できます。信じていた者に人生をめちゃくちゃにされた・・・被害者は異世界人だけではないんです。ですが、牢獄にぶち込まれる殺人を行ったのはアモーラの指示ではなく、自分の意志だったはず。自分の行動とアモーラの指示すらも判断できていない。これが狂信の末路なのか。
「おい!お前ら!止めろ!あの男を何としてでも止めるんだ!!」
急な事態の変化に慌てて対応する戦士達。しかし─────
「ちょっと待ってくれ・・・皆!俺に、やらせてくれ・・・!」
あろう事か、左腕を失ったコウスケさんが立ち上がり、闘志の剣を腰から抜くと、私を守るようにピピンの前に立ち塞がった。
「メアリー・・・神殺しの剣を持っていけ。そして、戦士達に匿ってもらえ。俺はお前に死んでほしくない」
「えっ?で、でもこれは私の問題です!私に向けられた復讐なんです!ですから、私が──────」
「お前だって、蘭丸さんとボニーさんと一緒に俺の復讐手伝ってくれたろ?それのお礼だよ」
痛みに苦しみながらも必死で笑顔を作ると、私を片腕で持ち上げ、ランマルさんへと投げ飛ばしました。
「頼みました!蘭丸さん!!」
「任された!」
「離して下さい!離して!ランマルさん!コウスケさんが!死んじゃう!」
「だとしても、拙者は幸助からお主を頼まれた。なので、そ
の要求は聞けん!」
「メアリーちゃん、ごめんね・・・『スリープ』」
そう言ってボニーさんは私の額に人差し指を付けると、錨のように重い睡魔が私の目蓋を閉じさせた。
★
「か弱い女の子を守る騎士気取りか!片腕の復讐者さん!!見ない間に随分と格好良くなったじゃないか!」
「まあな。こう見えてアイツの恋人だし、これくらいはしなきゃ面子が保てないでしょ」
ピピンの挑発に乗らない・・・というよりも乗れないの方が正しい。足元には水溜まりのように左肩から出た血が溜まっており、身体からは挑発にのるのに必要な頭脳の回転も碌にできない状態。立っているのもやっとな感じだ。
「それよりも、腕は治さなくて良いのか?お前なら、簡単な再生魔術なら覚えているのだろう?」
「まあな・・・でも、お前の事だ。どうせ左腕を手に取った瞬間、俺を燃やすんだろ?」
「・・・ふんっ!」
不機嫌そうに鼻息を吹くと、落ちていた幸助の左腕を炎の魔術で燃やしてしまう。今まで苦楽を共にしてきた左腕は炭となり、煙となったのだ。
「あの腕は・・・お前にくれてやるよ。英雄の腕だ、ありがたくもらい・・・なっ!!」
言い終わると同時に傷口に再生魔術を施し、傷口を塞ぐ。幸助程度の魔力、魔術の力では勿論の事腕を再生する事は出来なかったが、傷口は塞ぐ事が出来た。
「よくよく考えてみると、こうやって正面切って戦うのはあの雨の日以来だな。あの日のお前はとても弱かった。今は・・・どうかな?」
時間が経って冷静さを取り戻したのか、収監される前の口調に戻ってきている。幸助は質問に答えるように闘士の剣を構えた。
「異世界人、舐めるなよ?」
パンッ!という破裂音が空耳で聞こえてくる。まるで銃を放った時のような音だ。その音がピピンにも聞こえていたのかは定かではない。だが、同時に互いを求めて走り出したのは確かだ。
「「ぶっ殺す!!」」
言葉が重なったのも偶然だったが、確かだ。
愛の女神に人生を狂わされその先に幸せを手に入れた者と、愛の女神を狂うように敬愛し、人生を壊した者の戦いにもならない醜い殺し合いが幕を開ける。
20
あなたにおすすめの小説
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる