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第253話 [敵情視察。]
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エンポリアー国に戻ってきた俺はハロルドに頼んでトヨタさんに会える様にしてもらった。
「なんやもう終わったんかいな・・・ってカスミは何処や?」
「2人は今、ガシュウさんの所に行ってますよ。」
「そうか・・・ほな、シュウトはんは例の件を聞きに来たんか?」
「そうですね。後、今日の夕食にガシュウさんと奥様も来られるので、その旨をお伝えしに。」
「何やて、そら一大事やんけ。こりゃあかん急がな!」
そう言いながら去って行こうとするトヨタさんをハロルドがガシッと肩を掴んで止めた。
「何や、なにすんねんハロルド!」
「今から慌ててどうするのじゃ。」
「どうするって教皇陛下が来るんやで急がんでどな・・・おぉ、そうか、教皇陛下が来んのはシュウトはんの所か。」
「そうじゃ、シュウト様は両家に無理をさせない様に取り計らいして頂けているというのにお主は慌ておって。」
落ち着いたトヨタさんにハロルドが呆れているとトヨタさんが俺に軽く頭を下げた。
「そういう事か、シュウトはんは最初からそのつもりやったんかいな。」
「まぁ、カスミちゃんが前世と性格が同じだったらこうなるかなって思ってたんで、一応準備だけはしてあります。」
「さよか、迷惑掛けてすまんのぅ。ほな、わいは菓子折りだけでも用意しとこか。ほんで例の件やな・・・・・」
トヨタさんはそう言うとヘンソンさんの人形を持っているであろうワイダーの領地の場所、知っている限りの闇ギルドの情報を教えてくれた。
「ほんで直ぐにでも動くんか?」
「いえ、とりあえずは人形の有無だけでも確認しようかと。」
「ちゅう事はシュウトはんは、どないな人形か知っとんのか?」
「いえ、一応それらしき人形を発見したらトヨタさんに見てもらおうかと。」
「見てもらうって、わいは此処をそない長いこと離れられんで?」
「あっ、それは大丈夫です。」
俺はそう言うとガシュウさんの時の様にスキルでワイダーの領地を映し出した。
「なんやこれ・・・ワイダーの領地やんけ、無茶苦茶やなぁ・・・。」
「この城で良かったですか?」
「せや、悪趣味な城がワイダーのもんや。」
「じゃあ全体図も映すんで何処に有りそうか教えてもらっても良いですか?」
俺はそう言うと城の立体図を作り出した。
「こないな事まで・・・もうええわ。シュウトはんのやる事思て諦めるわ。」
「その通り、シュウト様を自分の常識に当て嵌める事など誰にも出来ないのじゃ。」
「そうみたいやな。」
2人の会話は納得出来なかったが、人形が有りそうな場所を教えて貰う事にした。その後、何ヶ所か確認し、ついに人形を発見する事が出来た。
「ワルダーはやっぱ阿呆やなぁ、応接室なんかに飾っとったら来るもんに自分は犯人の仲間や言うてるのと一緒やろ。」
「ダンジョンで亡くなってるんで預かってるって事にするんじゃないですか?」
「せやった。実際、奴の邸にはそんな怪しいもんがぎょうさん在るんやけど、もしかしたら殆どはヘンソンはんと同じ様に証拠を残さん様にダンジョンで殺されたんかもしれんなぁ。」
「それでヘンソンさんの人形は彼処に在る物で全部ですか?」
「全部かどうかは知らんけど、わいが知っとんのはアレで全部やで。」
「そうですか。」
「せや、シュウトはん、他に怪しいとこはあらへんのか?」
「何ヶ所か結界や魔道具?で隠し部屋みたいな場所はあるみたいですね。」
「ほんならそこにも何か在るかもしれんなぁ。」
「そうですね。そこも見てみますか。」
俺はそう言うと数ヶ所ある隠し部屋らしき場所を一気に見える様に映し出した。
「人形らしい物は無いですねぇ。」
「せやな。でも怪しい品もんがぎょうさん在るし、在ってはならんもんもあるみたいや、それに帳簿みたいなもんもあるさかい、もしかしたらヘンソンはんの別の人形の在り処も載っとるかもしれんなぁ。」
「それは調べる価値が有りそうですね。ところで彼処の魔道具って普通の通信魔道具って訳じゃないですよね。」
「せやな。恐らくは闇ギルド専用のもんやろうな。」
「アレも調べれば色んな場所の闇ギルドの支部を逆探知出来るかもしれんな。」
「なら、あの人形と隠し部屋の物は全部回収する方向で考えた方が良いかもしれませんね。」
「せやな。その方がええやろうな。」
その後、邸に居る者の配置、其奴らの鑑定をある程度行い、考えているとトヨタさんから声を掛けられた。
「どないしたんや?」
「奴等に気付かれない様に注意して鑑定してるんですけど、全員かなり悪辣な連中ですね。」
「せやろなぁ。表には出せへん様なもんが集まっとるというか、殆どは闇ギルドの連中ちゃうか?」
「そうみたいです。ただ・・・。」
「ただ、何や?」
「奴隷にされてる人や攫われたであろう人は何処にも居ないなぁと思って。」
「そら居らんやろう。自分の邸に犯罪の証拠であるもんを置いとかんやろ。」
「そうなんですね。自分はてっきり最低でも2~3人は居るのかと。」
「あぁ、なるほどな。彼奴にそういう趣味はあらへんよって。」
「そうなんですか。」
「そういうのはプロ相手やないとせんちゅうのは有名やさかい。」
「なるほど、なら奴隷や攫われてきた人達は何処に居るか分かりますか?」
「流石にそれは分からんのぅ。」
「そうですか。なら別の方法で探してみます。」
「どうすんねや。」
「丁度、自分の使命を待ってる霊達が固まっている場所が在るんで、その方達に聞いてみます。」
「どんな場所や?」
トヨタさんにそう聞かれた俺は遺体がそのまま捨てられている大きな穴を映し出した。
「なんやこれ!?」
「そうですよね。信じられませんよね・・・。」
「シ、シュウトはん・・・。」
「シュウト様!!!」
トルバが急に影から出てきて俺の肩を掴んで叫んだ。
トルバが突然現れた事にビックリしていると隣りで大穴を見ていたトヨタさんが崩れ落ちた。
「え?あっ、トルバ、急に現れたらビックリさせたじゃないか。」
「ふぅ・・・ちゃうでシュウトはん、何方か知らんけど、その人のお陰で助かったんや。気ぃ付いたら腰抜かしてもうたわ。」
「え?」
俺がそう言いながら混乱していると汗だくになったハロルドが声を掛けてきた。
「シュウト様の怒気に御座います。」
「怒気ってそんなに出てたのか?」
「出てた出てた、久々に死ぬかと思たわ。」
「それはすいません。」
「ええ、ええ、気にせんとき。あんなん見たら普通なら誰でもあぁなるって。」
「ありがとうございます。あっ!でもそれだとこの部屋以外にも被害が!」
「それでしたら私が結界を張りましたので問題ありません。」
「そうか、悪いなトルバ。」
俺がそう言うとトルバは会釈をして再び影の中に消えた。
「シュウトはんの執事やとしても普通やあらへんなぁ。」
「それはそうです。」
「なんやハロルドは何もんか知ってんのか?」
「知ってるも何もお前も知ってる方だぞ。」
「知っとる?」
「あぁ、四聖獣の玄武様じゃ。」
「げ、玄武様やとぉー!」
「そうじゃ、シュウト様が従えておるのは知っておろう。」
「かぁー!参った。降参や、シュウトはんには驚かされてばっかやのぅ。ちゅうか玄武様かぁ・・・あん時の事は・・・覚えてへんやろうなぁ。」
「トヨタさんはトルバ達に会った事が有るんですか?」
「他の四聖獣方には会うた事はあらへんけど玄武様には会った事は有るで、わいが悪党に追われとる時にその悪党をプチッと潰して助けてくれはったんや。」
「なるほど、そんな事があったんですね。」
「せや、シュウトはん。」
「何ですか?」
「夕食の時でええさかい、わいに紹介してくれへんか?あん時の礼が言いたいねん。」
「分かりました。」
俺達がそう話しているとセバスが映し出されている大穴を見て首を振っていた。
「どうしたんだセバス?見てて気持ちのいいモノではないだろ。」
「いえシュウト様、そうではなく此処を拡大して頂く事は出来ますでしょうか?」
「此処か?」
「やはりそうですかぁ・・・。」
セバスはそう言うと神妙な面持ちで考え込んでいたので気になって聞いてみた。
「何かあったのか?」
「何と申しましょうか必要最低限の物が無く、代わりに程度の悪い結界と此方も何時壊れてもおかしくない様な火魔法を自動で定期的に放つ魔道具が置かれているのです。」
「必要最低限って?」
「こういう集団墓地、集団埋葬と言いますか戦時中や大災害にて仕方なく遺体を1ヶ所に集める事は有るのですがその際には浄化魔法や浄化効果のある魔道具を最低限設置する義務が御座います。」
「・・・アンデットにならない様にって事か。」
「はい。ですが、あの場所にはアンデットに対抗する為の魔道具、それも何時壊れてもおかしくない物しか設置されていません。」
「最低だなぁ・・・ん?一寸待てよ、この近くって集落がないか?」
俺はそう言うと見える範囲を拡げた。
「確かに御座いますね。恐らくはスラム街ではないかと。」
「スラム街って事はやっぱり住民が居るんだよなぁ、なら何でこんなに近くに大穴が在るんだ?」
「そりゃ、ワルダーの野郎が民の事を金としかみてへんからや。彼奴からしたらスラム街の人間は家畜以下やと思とんねん。」
「それなら逃げようとはしないのですか?」
「逃げとうても島から出るには奴のいう一般市民が1年掛けてようやく貯まるか貯まらんかの金額が必要やし、それで1人分や、しかも身内のもんを1人は島に残しとかんといかんねん。」
「・・・酷いですね。なら小舟か・・・流石に無理ですね。」
「断崖絶壁に囲まれとる島やからな。出来たとしても奇跡をなんぼ程掛けたら生きて出れるかっちゅうレベルやな。せやからあの阿呆は領民に何してもええ、思てんねん。」
「なるほど、それでセバス、アレでどのくらい持ちそうなんだ?」
「怨みの強さによって変わると思われますが詳しくは現地に行って調べて見ない事には正確な判断は出来ませんが、1週間程かと。」
「分かった。」
「アカンで!シュウトはん、行ったらアカンで!」
「トヨタ、何を慌てておる。」
「いやだってもう夕食の時間やん。」
トヨタさんが急に真剣な顔でそんな事を言ったお陰で爆笑に包まれ、全員が穏やかな気持ちになった。
「なんやもう終わったんかいな・・・ってカスミは何処や?」
「2人は今、ガシュウさんの所に行ってますよ。」
「そうか・・・ほな、シュウトはんは例の件を聞きに来たんか?」
「そうですね。後、今日の夕食にガシュウさんと奥様も来られるので、その旨をお伝えしに。」
「何やて、そら一大事やんけ。こりゃあかん急がな!」
そう言いながら去って行こうとするトヨタさんをハロルドがガシッと肩を掴んで止めた。
「何や、なにすんねんハロルド!」
「今から慌ててどうするのじゃ。」
「どうするって教皇陛下が来るんやで急がんでどな・・・おぉ、そうか、教皇陛下が来んのはシュウトはんの所か。」
「そうじゃ、シュウト様は両家に無理をさせない様に取り計らいして頂けているというのにお主は慌ておって。」
落ち着いたトヨタさんにハロルドが呆れているとトヨタさんが俺に軽く頭を下げた。
「そういう事か、シュウトはんは最初からそのつもりやったんかいな。」
「まぁ、カスミちゃんが前世と性格が同じだったらこうなるかなって思ってたんで、一応準備だけはしてあります。」
「さよか、迷惑掛けてすまんのぅ。ほな、わいは菓子折りだけでも用意しとこか。ほんで例の件やな・・・・・」
トヨタさんはそう言うとヘンソンさんの人形を持っているであろうワイダーの領地の場所、知っている限りの闇ギルドの情報を教えてくれた。
「ほんで直ぐにでも動くんか?」
「いえ、とりあえずは人形の有無だけでも確認しようかと。」
「ちゅう事はシュウトはんは、どないな人形か知っとんのか?」
「いえ、一応それらしき人形を発見したらトヨタさんに見てもらおうかと。」
「見てもらうって、わいは此処をそない長いこと離れられんで?」
「あっ、それは大丈夫です。」
俺はそう言うとガシュウさんの時の様にスキルでワイダーの領地を映し出した。
「なんやこれ・・・ワイダーの領地やんけ、無茶苦茶やなぁ・・・。」
「この城で良かったですか?」
「せや、悪趣味な城がワイダーのもんや。」
「じゃあ全体図も映すんで何処に有りそうか教えてもらっても良いですか?」
俺はそう言うと城の立体図を作り出した。
「こないな事まで・・・もうええわ。シュウトはんのやる事思て諦めるわ。」
「その通り、シュウト様を自分の常識に当て嵌める事など誰にも出来ないのじゃ。」
「そうみたいやな。」
2人の会話は納得出来なかったが、人形が有りそうな場所を教えて貰う事にした。その後、何ヶ所か確認し、ついに人形を発見する事が出来た。
「ワルダーはやっぱ阿呆やなぁ、応接室なんかに飾っとったら来るもんに自分は犯人の仲間や言うてるのと一緒やろ。」
「ダンジョンで亡くなってるんで預かってるって事にするんじゃないですか?」
「せやった。実際、奴の邸にはそんな怪しいもんがぎょうさん在るんやけど、もしかしたら殆どはヘンソンはんと同じ様に証拠を残さん様にダンジョンで殺されたんかもしれんなぁ。」
「それでヘンソンさんの人形は彼処に在る物で全部ですか?」
「全部かどうかは知らんけど、わいが知っとんのはアレで全部やで。」
「そうですか。」
「せや、シュウトはん、他に怪しいとこはあらへんのか?」
「何ヶ所か結界や魔道具?で隠し部屋みたいな場所はあるみたいですね。」
「ほんならそこにも何か在るかもしれんなぁ。」
「そうですね。そこも見てみますか。」
俺はそう言うと数ヶ所ある隠し部屋らしき場所を一気に見える様に映し出した。
「人形らしい物は無いですねぇ。」
「せやな。でも怪しい品もんがぎょうさん在るし、在ってはならんもんもあるみたいや、それに帳簿みたいなもんもあるさかい、もしかしたらヘンソンはんの別の人形の在り処も載っとるかもしれんなぁ。」
「それは調べる価値が有りそうですね。ところで彼処の魔道具って普通の通信魔道具って訳じゃないですよね。」
「せやな。恐らくは闇ギルド専用のもんやろうな。」
「アレも調べれば色んな場所の闇ギルドの支部を逆探知出来るかもしれんな。」
「なら、あの人形と隠し部屋の物は全部回収する方向で考えた方が良いかもしれませんね。」
「せやな。その方がええやろうな。」
その後、邸に居る者の配置、其奴らの鑑定をある程度行い、考えているとトヨタさんから声を掛けられた。
「どないしたんや?」
「奴等に気付かれない様に注意して鑑定してるんですけど、全員かなり悪辣な連中ですね。」
「せやろなぁ。表には出せへん様なもんが集まっとるというか、殆どは闇ギルドの連中ちゃうか?」
「そうみたいです。ただ・・・。」
「ただ、何や?」
「奴隷にされてる人や攫われたであろう人は何処にも居ないなぁと思って。」
「そら居らんやろう。自分の邸に犯罪の証拠であるもんを置いとかんやろ。」
「そうなんですね。自分はてっきり最低でも2~3人は居るのかと。」
「あぁ、なるほどな。彼奴にそういう趣味はあらへんよって。」
「そうなんですか。」
「そういうのはプロ相手やないとせんちゅうのは有名やさかい。」
「なるほど、なら奴隷や攫われてきた人達は何処に居るか分かりますか?」
「流石にそれは分からんのぅ。」
「そうですか。なら別の方法で探してみます。」
「どうすんねや。」
「丁度、自分の使命を待ってる霊達が固まっている場所が在るんで、その方達に聞いてみます。」
「どんな場所や?」
トヨタさんにそう聞かれた俺は遺体がそのまま捨てられている大きな穴を映し出した。
「なんやこれ!?」
「そうですよね。信じられませんよね・・・。」
「シ、シュウトはん・・・。」
「シュウト様!!!」
トルバが急に影から出てきて俺の肩を掴んで叫んだ。
トルバが突然現れた事にビックリしていると隣りで大穴を見ていたトヨタさんが崩れ落ちた。
「え?あっ、トルバ、急に現れたらビックリさせたじゃないか。」
「ふぅ・・・ちゃうでシュウトはん、何方か知らんけど、その人のお陰で助かったんや。気ぃ付いたら腰抜かしてもうたわ。」
「え?」
俺がそう言いながら混乱していると汗だくになったハロルドが声を掛けてきた。
「シュウト様の怒気に御座います。」
「怒気ってそんなに出てたのか?」
「出てた出てた、久々に死ぬかと思たわ。」
「それはすいません。」
「ええ、ええ、気にせんとき。あんなん見たら普通なら誰でもあぁなるって。」
「ありがとうございます。あっ!でもそれだとこの部屋以外にも被害が!」
「それでしたら私が結界を張りましたので問題ありません。」
「そうか、悪いなトルバ。」
俺がそう言うとトルバは会釈をして再び影の中に消えた。
「シュウトはんの執事やとしても普通やあらへんなぁ。」
「それはそうです。」
「なんやハロルドは何もんか知ってんのか?」
「知ってるも何もお前も知ってる方だぞ。」
「知っとる?」
「あぁ、四聖獣の玄武様じゃ。」
「げ、玄武様やとぉー!」
「そうじゃ、シュウト様が従えておるのは知っておろう。」
「かぁー!参った。降参や、シュウトはんには驚かされてばっかやのぅ。ちゅうか玄武様かぁ・・・あん時の事は・・・覚えてへんやろうなぁ。」
「トヨタさんはトルバ達に会った事が有るんですか?」
「他の四聖獣方には会うた事はあらへんけど玄武様には会った事は有るで、わいが悪党に追われとる時にその悪党をプチッと潰して助けてくれはったんや。」
「なるほど、そんな事があったんですね。」
「せや、シュウトはん。」
「何ですか?」
「夕食の時でええさかい、わいに紹介してくれへんか?あん時の礼が言いたいねん。」
「分かりました。」
俺達がそう話しているとセバスが映し出されている大穴を見て首を振っていた。
「どうしたんだセバス?見てて気持ちのいいモノではないだろ。」
「いえシュウト様、そうではなく此処を拡大して頂く事は出来ますでしょうか?」
「此処か?」
「やはりそうですかぁ・・・。」
セバスはそう言うと神妙な面持ちで考え込んでいたので気になって聞いてみた。
「何かあったのか?」
「何と申しましょうか必要最低限の物が無く、代わりに程度の悪い結界と此方も何時壊れてもおかしくない様な火魔法を自動で定期的に放つ魔道具が置かれているのです。」
「必要最低限って?」
「こういう集団墓地、集団埋葬と言いますか戦時中や大災害にて仕方なく遺体を1ヶ所に集める事は有るのですがその際には浄化魔法や浄化効果のある魔道具を最低限設置する義務が御座います。」
「・・・アンデットにならない様にって事か。」
「はい。ですが、あの場所にはアンデットに対抗する為の魔道具、それも何時壊れてもおかしくない物しか設置されていません。」
「最低だなぁ・・・ん?一寸待てよ、この近くって集落がないか?」
俺はそう言うと見える範囲を拡げた。
「確かに御座いますね。恐らくはスラム街ではないかと。」
「スラム街って事はやっぱり住民が居るんだよなぁ、なら何でこんなに近くに大穴が在るんだ?」
「そりゃ、ワルダーの野郎が民の事を金としかみてへんからや。彼奴からしたらスラム街の人間は家畜以下やと思とんねん。」
「それなら逃げようとはしないのですか?」
「逃げとうても島から出るには奴のいう一般市民が1年掛けてようやく貯まるか貯まらんかの金額が必要やし、それで1人分や、しかも身内のもんを1人は島に残しとかんといかんねん。」
「・・・酷いですね。なら小舟か・・・流石に無理ですね。」
「断崖絶壁に囲まれとる島やからな。出来たとしても奇跡をなんぼ程掛けたら生きて出れるかっちゅうレベルやな。せやからあの阿呆は領民に何してもええ、思てんねん。」
「なるほど、それでセバス、アレでどのくらい持ちそうなんだ?」
「怨みの強さによって変わると思われますが詳しくは現地に行って調べて見ない事には正確な判断は出来ませんが、1週間程かと。」
「分かった。」
「アカンで!シュウトはん、行ったらアカンで!」
「トヨタ、何を慌てておる。」
「いやだってもう夕食の時間やん。」
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