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20.バッキバキになるようなヤツ
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風呂から上がると理人がガシガシと頭を拭いている。急いでタオルを奪った。それではキューティクルが死んでしまう。理人のツヤツヤな黒髪は大事に保護さるべきである。
「スオが乾かしてくれるの?」
「自分で乾かせ!ほらっ、パス!」
「拒否。やってくれないなら自然乾燥でいいよ」
無駄に高い家具やら消耗品を買うクセにドライヤーは凄くチープだ。ブオォォォと辛そうな音を出す。弁当箱よりドライヤーを買いに行かなければならない。
こいつは髪の毛の大切さを分かっていない。…人のことは言えないけど。これもハウスキーパーの仕事だ。主人が快適に生活できるためと割り切ることにした。
「よし!終わり!」
「サラサラする」
「するんじゃなくてサラサラにしたんだよ」
それなりに時間をかけて丁寧に乾かすと軽く自分の毛を摘んでいる。ドライヤーのコードをまとめ棚に戻していると理人は教科書を開き始めた。ソファに座りテレビをつけると思わずあくびが漏れる。
***
「スオ、起きて、スオ」
「…ごめん、めっちゃ寝てたわ…」
体を揺さぶられる。ぼーっとした後、ハッとした。すぐ目の前に理人がいる。ドッジボールの後に慣れない部屋での家事。しかも今日は、…自慰も、してしまった。思い出してうつ伏せになるが負けじと理人が仰向けにしようとする。
「ハウスキーパーの大切な仕事、忘れてるよ」
少し考えて、…考えたが、思い当たらない。
「お土産代、稼ぐんでしょ?」
「…え、だってさっき…」
「あれは穂積って人に感想を教えるためでしょ」
はぁぁぁぁ!?勢いよく起き上がる。だってさっき見せたではないか。
主語はないが『理人のために』オナニーした?であり、『うまく教えられたか?』感想待ってる、がんばれ桜水!の流れである。しかし穂積に相談したことを理人には言えない。グッと唇を噛んだ。
「それで感想は?」
「聞くな!!!」
「彼には教えるのに?」
「教えるもなにもオナニーの感想なんて気持ちいい以外ないだろ!!!」
顔面を手のひらで覆った。頑張ったのに無効試合だなんて辛すぎる。うぁ゙ぁ゙ぁ゙…と手のひらの中で呻いた。つい叫んでしまった。
「………へぇ、そんなに気持ちいいんだ」
恐るおそる手のひらを離す。理人はすごくいい笑顔だった。かっこいいなぁ、と思って目が合う。目は全然笑って、ない。
「そんな気持ちいいなら僕にも教えてよ」
「じゅ、んびがいるから…」
「準備?」
「じゅんび、…心が、心の、えっと…!」
理人の指先が前髪を掻き分ける。口を半開きにして咄嗟に答えていた。彼の動きが止まる。最後にこいつの裸を見たのはいつだっただろう。
理人は潔癖症の生来がある。プールや大浴場といった不特定多数が共有する場には行けない。体育も見学する筋金入りだ。だからほんっとに小さい頃。そして俺は妄想の中の理人で抜いている。実物の裸を見て冷静でいられる自信がない。つまり精神を鍛えないと教えることはできない。
「そう、オカズ!大切なのはオカズ!!」
閃きの神が微笑んだ。いくら頭がいい理人でも生理現象だけで抜くのは辛いだろう。大切なのはイマジネーションとシチュエーションである。ましてや向かい合って男同士なんて可哀想だ。
すると理人がおもむろにスマホを取り出した。タップする。
「『うぁ゙♡りと、リトぉ…ぁ゙ーー~ッ!!?♡♡』」
「うわあああああああああああ!!!!!!??????」
急いでスマホを取り上げようとした。ひょいっと避けられてしまう。俺の喘ぎ声が大音量で響き渡る。…理人は音声あり派か。なんて思っている暇はない。このままでは俺の精神は壊れてしまう。
「お前俺のことキライだろ!!?」
「まさか。嫌いなら頼まないよ」
嫌いでなければこんなことはしない。帰ろうとしたが腕を掴まれた。タップして動画を止める。絶対にこれで抜ける訳がない。この場を脱する理由を考えた。
「…あ、分かった。オカズは俺が用意する」
またしても閃きの神、降臨である。簡単なことだ。理人は姫野が好き。多分姫野の写真や動画を持っていないのだろう。だから俺で抜くという愚行に走った。
つまり姫野の写真を入手すればいい。二人の恋は応援していないけどオカズは別だ。ひとりで抜けないまま大人にする訳にはいかない。
「スオが?」
「俺が。大丈夫どうにかなる」
さすがにえっちな写真は撮れないけど顔や姿はいけるだろう。丁度明日はデスマッチがある。姫野の写真を撮る絶好のチャンスだ。
「刺激的なのでお願い」
「刺激的、とは」
「バッキバキになるようなヤツ」
息を呑んだ。バッキバキとは勃起勃っ起するようなヤツだろう。…自分に撮れるだろうか。しかし理人のためだ。
「任せろ!」
「スオが乾かしてくれるの?」
「自分で乾かせ!ほらっ、パス!」
「拒否。やってくれないなら自然乾燥でいいよ」
無駄に高い家具やら消耗品を買うクセにドライヤーは凄くチープだ。ブオォォォと辛そうな音を出す。弁当箱よりドライヤーを買いに行かなければならない。
こいつは髪の毛の大切さを分かっていない。…人のことは言えないけど。これもハウスキーパーの仕事だ。主人が快適に生活できるためと割り切ることにした。
「よし!終わり!」
「サラサラする」
「するんじゃなくてサラサラにしたんだよ」
それなりに時間をかけて丁寧に乾かすと軽く自分の毛を摘んでいる。ドライヤーのコードをまとめ棚に戻していると理人は教科書を開き始めた。ソファに座りテレビをつけると思わずあくびが漏れる。
***
「スオ、起きて、スオ」
「…ごめん、めっちゃ寝てたわ…」
体を揺さぶられる。ぼーっとした後、ハッとした。すぐ目の前に理人がいる。ドッジボールの後に慣れない部屋での家事。しかも今日は、…自慰も、してしまった。思い出してうつ伏せになるが負けじと理人が仰向けにしようとする。
「ハウスキーパーの大切な仕事、忘れてるよ」
少し考えて、…考えたが、思い当たらない。
「お土産代、稼ぐんでしょ?」
「…え、だってさっき…」
「あれは穂積って人に感想を教えるためでしょ」
はぁぁぁぁ!?勢いよく起き上がる。だってさっき見せたではないか。
主語はないが『理人のために』オナニーした?であり、『うまく教えられたか?』感想待ってる、がんばれ桜水!の流れである。しかし穂積に相談したことを理人には言えない。グッと唇を噛んだ。
「それで感想は?」
「聞くな!!!」
「彼には教えるのに?」
「教えるもなにもオナニーの感想なんて気持ちいい以外ないだろ!!!」
顔面を手のひらで覆った。頑張ったのに無効試合だなんて辛すぎる。うぁ゙ぁ゙ぁ゙…と手のひらの中で呻いた。つい叫んでしまった。
「………へぇ、そんなに気持ちいいんだ」
恐るおそる手のひらを離す。理人はすごくいい笑顔だった。かっこいいなぁ、と思って目が合う。目は全然笑って、ない。
「そんな気持ちいいなら僕にも教えてよ」
「じゅ、んびがいるから…」
「準備?」
「じゅんび、…心が、心の、えっと…!」
理人の指先が前髪を掻き分ける。口を半開きにして咄嗟に答えていた。彼の動きが止まる。最後にこいつの裸を見たのはいつだっただろう。
理人は潔癖症の生来がある。プールや大浴場といった不特定多数が共有する場には行けない。体育も見学する筋金入りだ。だからほんっとに小さい頃。そして俺は妄想の中の理人で抜いている。実物の裸を見て冷静でいられる自信がない。つまり精神を鍛えないと教えることはできない。
「そう、オカズ!大切なのはオカズ!!」
閃きの神が微笑んだ。いくら頭がいい理人でも生理現象だけで抜くのは辛いだろう。大切なのはイマジネーションとシチュエーションである。ましてや向かい合って男同士なんて可哀想だ。
すると理人がおもむろにスマホを取り出した。タップする。
「『うぁ゙♡りと、リトぉ…ぁ゙ーー~ッ!!?♡♡』」
「うわあああああああああああ!!!!!!??????」
急いでスマホを取り上げようとした。ひょいっと避けられてしまう。俺の喘ぎ声が大音量で響き渡る。…理人は音声あり派か。なんて思っている暇はない。このままでは俺の精神は壊れてしまう。
「お前俺のことキライだろ!!?」
「まさか。嫌いなら頼まないよ」
嫌いでなければこんなことはしない。帰ろうとしたが腕を掴まれた。タップして動画を止める。絶対にこれで抜ける訳がない。この場を脱する理由を考えた。
「…あ、分かった。オカズは俺が用意する」
またしても閃きの神、降臨である。簡単なことだ。理人は姫野が好き。多分姫野の写真や動画を持っていないのだろう。だから俺で抜くという愚行に走った。
つまり姫野の写真を入手すればいい。二人の恋は応援していないけどオカズは別だ。ひとりで抜けないまま大人にする訳にはいかない。
「スオが?」
「俺が。大丈夫どうにかなる」
さすがにえっちな写真は撮れないけど顔や姿はいけるだろう。丁度明日はデスマッチがある。姫野の写真を撮る絶好のチャンスだ。
「刺激的なのでお願い」
「刺激的、とは」
「バッキバキになるようなヤツ」
息を呑んだ。バッキバキとは勃起勃っ起するようなヤツだろう。…自分に撮れるだろうか。しかし理人のためだ。
「任せろ!」
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