ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの

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私はヒロインじゃない

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「……帰りたい?」



「帰る……?」



「帰りたいなら帰る方法はあるよ。 でも、君はあの世界で生きていける? 平和な世界で育った君があの人を平気で殺すあの世界で」







……生きていく自信はある。

だけど、自分が人を殺すなんてもう二度と考えたくない。







「あの世界に戻ればまた人を殺してしまうかもしれないよ?」



「……もし帰らないを選んだらどうするんですか?」



「君が死んだのはこちらの責任だからね。 最初に望んだ通りに天国へ連れて行くよ」







天国か……。

天国だったらもうあんな思いする必要はないかな。



……なんて、前までの私なら即答で“帰らない”を選択するはずだったのにね。









「さあ、どうする?」



「私は帰りたい」







自分でもおかしいのはわかってる。

人を殺したくない、人が死ぬ姿を見たくないって思ってるはずなのに帰りたいと思ってる。



私はアルフもクロスもリーフィもウィルさんもみんな大好きなんだ。

たった数ヶ月しか一緒に居なかったのにみんなを捨ててまで天国で幸せになりたいとは思わない。

みんなあの世界で生きてきたんだから。









「後悔はしないかい?」







すっと綺麗な目を細め私の真意を探ろうとしているかのように見つめられるも私はしっかりと目を見返す。







「後悔はするかもしれません。 私は人間だし、人間は後悔する生き物ですから」



「……いいよ。 君がそう望むなら」



「ありがとうございます」







私には戦いなんて向いてない。

いくら向こうで住むからって血を見るなんて嫌だし、命を奪う覚悟もない。



だけど、私の住む場所はもうあそこしかないんだ。









「じゃあ、そろそろ戻ろうか。 君が覚悟を決めたならもう戻れるし、早く戻らないと心配する子たちが居るからね」



「心配ってそんな時間経ってないじゃないですか」





私の感覚ではまだ2時間くらいしか経ってないし。

まあ、2時間で覚悟を決めれるなんて単純かもしれないけど。







「ああ、気付いてないの? あの事件からもう2週間は経ってるよ」







へ……?



2時間じゃなくて2週間?







「だから早く戻らないと。 まあ、今から戻ったとしても数日はまともに動けないかもしれないけどね」



「えー、今元気ですが」



「この部屋は特別だからね。 今は魂だけがここに居るだけで、身体は現実世界にあるから魂が向こうに戻ったら一気に疲れるよ」







こっちとあっちじゃ時間の差があるのかな……。

あっちでは植物状態的な感じとか。









「もう戻るかい?」



「あっ、はい。 ……どうやって戻るんですか?」







神様は私の額に人差し指を突き付ければにっこりと笑みを浮かべた。







「簡単だよ。 おやすみ」







神様の声を聞けば不意に目の前が真っ暗になったように感じる。

そして、意識が遠ざかっていく









「次に会う時はちゃんと僕を神様だと認識してくれると嬉しいな」





薄れゆく意識の中、神様のにこやかな声が聞こえてきた。

……こんなに待遇良いなら神様と認めようかな……なーんて。





 
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