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帝国の闇
⑤
しおりを挟むギルドから出た私たちはまだヒソヒソされながらも一度話し合いをするために宿に戻ることになった。
書類に何が書かれていたのか全くわからないのでクロスに聞くしかないし、情報の集め方も私はわからないのでクロス頼りになる。
……本当に私は役に立たないね。
宿の私たちの部屋に入ればソファーに座る。
今回は帝国の宿って事で三人一緒の部屋、……何かあった時に足手まといになりそうな私が別の部屋だと色々問題が起きる可能性があるからね。
「それで、何かわかった?」
「ああ、帝国は皇帝が病で突然急死、次の皇帝を決めていなかったせいで第一皇子、第二皇子、第四皇子で争っているらしい。 第三皇子も居るが皇帝の座に興味はなく遊んでいるみたいだ」
三人の皇子が皇帝の座が欲しくて争ってるのね、日本でも過去は色々と生臭い事があったらしいけど、現代ではほぼあり得ない事だったからね。
遺産で骨肉の争いとかはあるらしいけど、私からしたらドラマの中の世界だし。
「どの人が皇帝になるかで色々変わるよね」
「だが、三人とも王国との戦争に賛成派だからどの皇子が皇帝になっても戦争は始まるだろうな」
うわー、最悪じゃない。
三人の内一人でも反対派が居たらその皇子を応援出来るけど全員が賛成派なら意味ないじゃん。
第三皇子が反対派ならいいけど本人が皇帝に興味がないなら意味ないし、遊び人ってことはどうしようもない人なんだろうしね。
期待するだけ無駄かも。
「キース達はその為に色々動いてるんだね……」
「そうだろうな。 あいつ等が王国に居たのは戦争の為だろうが、跡目争いの事で戻って来たんだろう」
やっぱそうだよね。
キース達の手伝いが出来ればって思って居たけどそれによって王国に戦争が仕掛けられる事になったら……。
改めてどうするか考えなきゃ。
「……誰だ?」
しんっと静まった部屋の中に警戒してるようなクロスの声が聞こえた、アルフは持っていたナイフを取り出して私を庇うように立つ。
「あー、すまんすまん。 俺だ」
ドアから現れたのは先ほど別れたキースだった。
さっきはシリアスな雰囲気出してたのに軽く入って来た事にビックリしたわ。
アルフは来たのがキースだったのでナイフを下すがクロスはまだ警戒しているみたい。
いや、敵国だからクロスが警戒してるのは当たり前の事なんだけどさ。
「キース」
「リーフィがやっと落ち着いてな。 リーフィは嫌がって居たがやはりアヤミに手伝って貰おうと思ってな」
様子の変わらないキースに私はちょっと複雑に思ってしまう。
手伝いたい気持ちはあるけど戦争を起こしたいわけでもないし……。
戦争が起きなかったら手伝いたいんだけど、そんな都合の良い事ないだろうし。
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※残酷描写は保険です。
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