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第1章
生誕祭終了
しおりを挟むあの後顔を真っ赤に染めて、兄の腕の中にいるか弱き僕に手を伸ばした老害共は王国騎士団団長でもあるヒル侯爵と部下達によって拘束され連れていかれた。
とんだ生誕祭である。
去り際にありがちのセリフ「覚えていろ!」を言ったじーさん、ばーさんはまだ何やらやらかす気満々な様子だった。
やっぱり協力者が居る可能性が高いとみていいだろう。
これは早急に魔力操作できた方が良いな。
1歳児ではどんなに頑張っても体術で大人には敵わないし…
父や兄のおかげで大分僕の魔力溜りも落ち着いてきているようだし、ノヴァさんに相談してみよ。
父と兄も忙しい人だから四六時中一緒とはいかない。
ばぁや含めアーバスノイヤー家に務める従者達は戦闘力高めなので、そこまで心配することもないけどもしもの場合も考えておかなくちゃね。
前世では両親が僕をあまり好かなかったからわりと自分に降りかかる問題は自分で対処してきたと自負している。
クラスメイト数人にいじめられて殴られている所を教師に見つかり親に報告がいったけど、親は「この子にも悪い所があるでしょうし」と言って終わった。
親には僕を虐めていた子達の気持ちの方が理解できたのかもしれない。
まぁ…過去のことはさておき、つまりは自分で自分の身を守る方法は例えか弱き1歳児であっても知っておくべき!ということである。
「公爵様、両親が無礼な振る舞いを致しましたこと深くお詫び申し上げます。」
ざわつく来客者達に声をかけ場の雰囲気を落ち着かせた父の元へ叔母様が慌てた様子で駆けつけ膝を折り頭を深く下げに来た。
「公爵様!私からも謝罪をさせて下さい!」
そしてもう1人慌てて駆け寄ってきた男の人も叔母様の横に並び深く頭を下げた。
「トゥワイマン殿には不届き者の捕獲を手伝って頂いた恩がある。レディ・アニペは事前に忠告をしてくれていたのだ。同じ意見でないことはよく理解している。謝罪を受けいれ不問とする。」
「「寛大な御心に感謝いたします。」」
父の言葉にほっと胸を撫で下ろしたのは謝罪をした2人だけではなく周りにいた人達も同じだった。
叔母様と男の人、婚約者のルド・トゥワイマン様は事の後始末をしなければならないという事で帰って行った。
去り際にお詫びも兼ねて後日僕宛ての贈り物を届けるねと言っていたので、どんな物が届くのか少し楽しみだ。
あれから場も落ち着いていくつかのアーバスノイヤー家と関わりのある貴族とご挨拶をして、1歳児の僕と8歳のお兄様は皆よりも早く広間を退室することに。
「ルナイス様、アドルファス様お疲れ様でした。しかしルナイス様、お洋服のボタンをちぎり取るのは些か問題がありますわ。今度その辺もお勉強しましょうねー。」
僕を抱えたばぁやは眠る前の僕にそんな鬼畜なことを言う。
確かにボタン1つでもウン10万としそうな服だったので、引きちぎって服をダメにしたのは申し訳ないけどさ…
「でもルナイスにボタン投げつけられた彼奴らは見物だったよ。」
兄がそう言って笑うとばぁやは困ったように笑って「そうですね」と言った。
兄とお互い良い夢をと言い(僕は心の中で)ばぁやにそっとベッドの中に入れてもらった。
そう。
1歳になった僕はベッドで眠るようになったのだ。
ベッドの中は程よく暖かくて心地よい。
ばぁやからおでこにキスをもらい、浄化を掛けてもらい眠りにつく。
おやすみなさい。
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