王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第1章

前世の約束その名は指切り

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びっくりして固まってしまったけど、一向にとーさまは顔を上げてくれない。


「と、とととーさま…お、お顔…お顔上げてください。」

とーさまを、この家のトップを何時までも頭下げさせる訳にはいかないと、とりあえず頭を上げるようにお願いする。


「ぼ…僕の言ってること可笑しいことだって分かってます。僕もさっきやっと自分がどんな思いを感じていて…どんなじょーたいであったのかをりかいしました。」

とーさまは何度も僕に危ないことはするなと注意してくれたし、どーして注意するのかもきちんとお話してくれてた。

そんなとーさまの言葉を分かっているふりをして、心の底では捻くれた僕がどうでもいいと笑ってた。



とーさまがあれほどお怒りになることは、決して間違ったことでは無いし当然であると思う。


「父上は少し大人気なかったですし、ルナイスは人格が分離していたという解釈で合っているのならばちょっとした病だったわけだ。ルナイスが勇気をだしてお話してくれた今日きちんと話し合う必要があるかと思います。」


にぃ様はハキハキといつもより饒舌だ。

きっと謝罪のし合いを初めそうな僕ととーさまを止めてくれたんだな。





「そうだな。アドルファスありがとう。」


とーさまは少し恥ずかしそうににぃ様にお礼を言って最初に座った1人がけのソファに座った。


「では…ルナイス、他に私達に伝えておきたいことはあるか?」

チラッと後ろにいるノヴァを見ていたらとーさまから声を掛けられて慌てて正面を向く。



「えっと…今のところは思いつかないです。」


「よし、ならば何かあれば些細なことでも私かアドルファスに報告すること。約束できるか?」


「はい。」



約束ときいて反射的に出してしまった小指をとーさまやにぃさまが不思議そうに見た。

なんだそれは?という言葉が聞こえてきほうなお顔に苦笑いがこぼれる。



「昔のくせです。」

忘れてくださいと手を後ろに隠した。

無意識に前世の習慣がでてしまうのは、打ち明けた後だからこそ余計に恥ずかしい気がする…。





「ルナイス、とーさまは今のにとても興味がある。教えてくれないか?」


とーさまは手を隠してモジモジしている僕に容赦なく聞いてきた。

気を使われて?と思ってチラッととーさまのお顔を見ると、全然気を使われての言葉でなかったことが分かる。


本当に興味だけだ。



チラッとにぃ様の方を見てみれば無言で無表情のいつものお顔のにぃ様だけれど、こちらも興味深く僕を見ているのが伝わってくる。


最後にノヴァに助けを求め振り返るが、こちらからはやれとの指ピンの司令がだされた。




「…えっと…これは前世のやつですので。」

「分かっている。」


やんわりと逃げようとしたがとーさまにより瞬殺それた。


「…約束の…約束の指切りっていうおまじないです。約束をちがえた時には針を千本飲み込ませるぞっていうせいやくのようなものでもあった気がします…たぶん。」


前世の僕は指切りのことなんて詳しく知らずに文化だから自然とやってた。

改めて口にしてみるとなかなかである…。




とーさま、にぃ様、ノヴァの顔も引き攣っている。


「…なかなか過激な世界だったのだな。」


「ぼ、僕が生きてた時代は平和でしたよ!」



日本だったし余計に。

僕が生きた時代よりも昔は拷問で色々えぐいものがあったので言われてみれば過激な世界であったのかもしれない。



「ちなみに飲まされたことは?」


「ないです!」



さすがにそこまで悲惨な人生じゃなかったよ!

にぃ様の質問には誤解を与えないよう即答した。





「指切りというのは?切るのか?」


「じ、じっさいには切っていませんよ。小指をからめて「指切った」ていう決まり文句で離すんですけど…その時の動き?ん?…よく分かんないですけど切りませんので。」



自分の両手の小指を絡めて実演してみるけど、説明難しい…。

取り敢えず言葉は怖いけど、実際にはやらないよーっと必死に伝えておいた。



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