54 / 425
第1章
ついに打ち明ける
しおりを挟む
ノヴァに手を引いてもらいながらまずはにぃ様のお部屋に。
コンコンとノックをするとレオが扉を開けてくれた。
レオは事情を知っているのか少し心配そうに僕を見てくれたけど、大丈夫だと頷いてみせれば口角を少し上げて笑ってくれた。
「ルナイス。」
部屋に入った僕を見てにぃ様は少し気まずそうに僕の名前を呼んだ。
さっきの今なのでにぃ様の気まずさはよく分かる。
「にぃ様…お話、聞いてほしいです。」
自分で思っている以上に緊張しているのか、僕の声は掠れてしまったけど…何とか要件を伝えることができた。
「…父上もお呼びしよう。」
にぃ様は僕の様子に察してくれたのか、レオにとーさまを呼んでくるように指示を出し、僕をソファに座らせ自身は反対側のソファに座った。
何か話した方がいいのかもしれないけれど、今の僕にはにぃ様にどんな声をおかけすればいいのかまったく分からないし正直これからお話する内容にドキマギしていてそれどころじゃない。
にぃ様と居てこんなに気まずい空気を感じるのは初めてだ。
ソファの後ろの離れた所にある椅子に座っているノヴァを振り返れば大丈夫だという風に頷いてくれた。
コンコン
ノックの後開かれた扉にはとーさまの姿。
チラっと僕を目にしてすぐににぃ様に促された一人席のソファに座る。
座ったとーさまは腕を組んで目を瞑り、僕のことを絶対に視界に移さない姿勢だ。
そんなとーさまの様子に思わず尻込みしてしまい、口が震えて上手く話しだせない。
焦れば焦るほど口がどんどん開かなくなってしまって冷や汗がダラダラと流れ落ちる。
「ルナイス、お話があるのだろう。」
そんな僕を見かねたにぃ様がシーンと静まった空気を壊す様に声を掛けてくれた。
「ぁ…ぁあ、あの……」
「はぁ…話ができないようなら私は戻らせてもらう。」
あの…から言葉が続かない僕にとーさまは重たい溜息を吐き出して立ち上がってしまう。
体から一気に血の気が引いて、握りこんだ掌は爪が刺さって血が滲みだしているけど痛みをまったく感じない。
あぁ…とーさまはもう僕のことがどうでもよくなってしまったのだろうか。
何度も注意をされていたのに守らず、今も忙しいにぃ様ととーさまを呼びだしておいて話し出さない僕にほとほと呆れてしまったに違いない。
「父上。まだルナイスの話を何一つ聞いていません。ご着席願います。」
部屋を出て行こうとするとーさまににぃ様が低い声で言った言葉に驚いて俯いていた顔を上げる。
にぃ様は僕を見て静かに座っていて、とーさまは動きを止めて扉の前に居る。
「僕はルナイスの話を聞きたいです。こうして勇気を出して話をしに来てくれたのですから。」
ピリピリした空気にゴクリと唾を飲み込む。
まさか僕のせいでにぃ様ととーさまも気まずい空気になるなんて…。
「ルナイスの話を聞きたいから父上もわざわざ此処に来たのではないですか?」
にぃ様の言葉に立ち止まっていたとーさまはふんっと鼻を鳴らし、扉に近い所の椅子に腰掛けてまた腕を組み目を閉じた。
にぃ様のおかげでとーさまは部屋を出ずにいてくれたけど、空気は最悪。
次こそはきちんとお話しなくちゃ。
「と…とーさまたちからの…注意を、何度も聞かなくて…ご、ごめんなさい。」
まずは謝罪からっと頭を下げる。
これに対して期待はしていなかったけど、やっぱりとーさまとにぃ様からの反応はない。
「あ…あの……わざ…わざとじゃなくて!…わざとじゃないん、です……忘れちゃうんです。僕が傷ついたり…死んでしまって、とても悲しむ人が…いるって…忘れるんです。」
これだけ言われても上手く伝わらないって分かっている。
黙ってきいていたにぃ様ととーさまが困惑しているのが表情から伺える。
「僕には…ルナイスとして産まれてくる前の記憶があります。」
僕のこの言葉には前話しに出たことがあったので二人から特別驚いた様子はない。
それから僕はノヴァに話した昔の僕の話をとーさまとにぃ様にした。
今までは昔の僕としての感情や思考が大きくて、僕とルナイスとの意識が分裂していた為に僕に何かあって悲しむような人がいるだなんて信じられなくて…無意識にその現実を忘却していた。
後で叱られてやっと思い出して…でもその心配や思いはルナイスに向けたものであって昔の僕には関係ないって思っている僕もいて…
でもノヴァと先ほど話して、やっと昔の僕と今の僕がひとつになった感覚があったこと、すべて話し終える頃にはこんな話をノヴァは信じてくれたけど、とーさまやにぃ様は信じて受け入れてくれるだろうかっと不安な気持ちが大きくなり顔を上げることができなかった。
「ルナイス。」
俯く僕の名前を呼んだのはとーさま。
「お前には前世の記憶があるのではないかとは予測していた。しかし…私はそのことを軽く考えていた。前世の記憶があろうがなかろうが目の前に存在しているルナイスに変わりはない、のだと。」
とーさまは喋りながらゆっくりと僕の所へ歩いてきて、僕の前に辿り着くと膝を折って僕の前にしゃがみこんでしまった。
アワアワする僕の手を取って、爪が食い込んで血が滲んでいるところに浄化魔法をかけて綺麗な白いハンカチで包んでくれる。
「ルナイスが抱える苦悩を考えることもせず、𠮟りつけ、先ほども大人げなく話も聞かず部屋を出ようとしてすまなかった。」
とーさまはそう言って深く頭を下げた。
_____________
(重要なお知らせ)
お話の途中にすみません。
いつもならば近況のほうに載せるのですが、ストーリーに関わることだったのでこちらにて失礼します。
実はあらすじにてアーバスノイヤー家は近衛騎士の一族としておりましたが、バカな作者はその設定を忘れておりました。
分かる範囲ではなおしたのですが、どこかおかしなところがありましたらコメントくださるととても助かります。すみません。
ちなみに王国騎士さんが出てきておりますが、王国騎士さんよりも近衛騎士さんの方が位が高い設定です。
コンコンとノックをするとレオが扉を開けてくれた。
レオは事情を知っているのか少し心配そうに僕を見てくれたけど、大丈夫だと頷いてみせれば口角を少し上げて笑ってくれた。
「ルナイス。」
部屋に入った僕を見てにぃ様は少し気まずそうに僕の名前を呼んだ。
さっきの今なのでにぃ様の気まずさはよく分かる。
「にぃ様…お話、聞いてほしいです。」
自分で思っている以上に緊張しているのか、僕の声は掠れてしまったけど…何とか要件を伝えることができた。
「…父上もお呼びしよう。」
にぃ様は僕の様子に察してくれたのか、レオにとーさまを呼んでくるように指示を出し、僕をソファに座らせ自身は反対側のソファに座った。
何か話した方がいいのかもしれないけれど、今の僕にはにぃ様にどんな声をおかけすればいいのかまったく分からないし正直これからお話する内容にドキマギしていてそれどころじゃない。
にぃ様と居てこんなに気まずい空気を感じるのは初めてだ。
ソファの後ろの離れた所にある椅子に座っているノヴァを振り返れば大丈夫だという風に頷いてくれた。
コンコン
ノックの後開かれた扉にはとーさまの姿。
チラっと僕を目にしてすぐににぃ様に促された一人席のソファに座る。
座ったとーさまは腕を組んで目を瞑り、僕のことを絶対に視界に移さない姿勢だ。
そんなとーさまの様子に思わず尻込みしてしまい、口が震えて上手く話しだせない。
焦れば焦るほど口がどんどん開かなくなってしまって冷や汗がダラダラと流れ落ちる。
「ルナイス、お話があるのだろう。」
そんな僕を見かねたにぃ様がシーンと静まった空気を壊す様に声を掛けてくれた。
「ぁ…ぁあ、あの……」
「はぁ…話ができないようなら私は戻らせてもらう。」
あの…から言葉が続かない僕にとーさまは重たい溜息を吐き出して立ち上がってしまう。
体から一気に血の気が引いて、握りこんだ掌は爪が刺さって血が滲みだしているけど痛みをまったく感じない。
あぁ…とーさまはもう僕のことがどうでもよくなってしまったのだろうか。
何度も注意をされていたのに守らず、今も忙しいにぃ様ととーさまを呼びだしておいて話し出さない僕にほとほと呆れてしまったに違いない。
「父上。まだルナイスの話を何一つ聞いていません。ご着席願います。」
部屋を出て行こうとするとーさまににぃ様が低い声で言った言葉に驚いて俯いていた顔を上げる。
にぃ様は僕を見て静かに座っていて、とーさまは動きを止めて扉の前に居る。
「僕はルナイスの話を聞きたいです。こうして勇気を出して話をしに来てくれたのですから。」
ピリピリした空気にゴクリと唾を飲み込む。
まさか僕のせいでにぃ様ととーさまも気まずい空気になるなんて…。
「ルナイスの話を聞きたいから父上もわざわざ此処に来たのではないですか?」
にぃ様の言葉に立ち止まっていたとーさまはふんっと鼻を鳴らし、扉に近い所の椅子に腰掛けてまた腕を組み目を閉じた。
にぃ様のおかげでとーさまは部屋を出ずにいてくれたけど、空気は最悪。
次こそはきちんとお話しなくちゃ。
「と…とーさまたちからの…注意を、何度も聞かなくて…ご、ごめんなさい。」
まずは謝罪からっと頭を下げる。
これに対して期待はしていなかったけど、やっぱりとーさまとにぃ様からの反応はない。
「あ…あの……わざ…わざとじゃなくて!…わざとじゃないん、です……忘れちゃうんです。僕が傷ついたり…死んでしまって、とても悲しむ人が…いるって…忘れるんです。」
これだけ言われても上手く伝わらないって分かっている。
黙ってきいていたにぃ様ととーさまが困惑しているのが表情から伺える。
「僕には…ルナイスとして産まれてくる前の記憶があります。」
僕のこの言葉には前話しに出たことがあったので二人から特別驚いた様子はない。
それから僕はノヴァに話した昔の僕の話をとーさまとにぃ様にした。
今までは昔の僕としての感情や思考が大きくて、僕とルナイスとの意識が分裂していた為に僕に何かあって悲しむような人がいるだなんて信じられなくて…無意識にその現実を忘却していた。
後で叱られてやっと思い出して…でもその心配や思いはルナイスに向けたものであって昔の僕には関係ないって思っている僕もいて…
でもノヴァと先ほど話して、やっと昔の僕と今の僕がひとつになった感覚があったこと、すべて話し終える頃にはこんな話をノヴァは信じてくれたけど、とーさまやにぃ様は信じて受け入れてくれるだろうかっと不安な気持ちが大きくなり顔を上げることができなかった。
「ルナイス。」
俯く僕の名前を呼んだのはとーさま。
「お前には前世の記憶があるのではないかとは予測していた。しかし…私はそのことを軽く考えていた。前世の記憶があろうがなかろうが目の前に存在しているルナイスに変わりはない、のだと。」
とーさまは喋りながらゆっくりと僕の所へ歩いてきて、僕の前に辿り着くと膝を折って僕の前にしゃがみこんでしまった。
アワアワする僕の手を取って、爪が食い込んで血が滲んでいるところに浄化魔法をかけて綺麗な白いハンカチで包んでくれる。
「ルナイスが抱える苦悩を考えることもせず、𠮟りつけ、先ほども大人げなく話も聞かず部屋を出ようとしてすまなかった。」
とーさまはそう言って深く頭を下げた。
_____________
(重要なお知らせ)
お話の途中にすみません。
いつもならば近況のほうに載せるのですが、ストーリーに関わることだったのでこちらにて失礼します。
実はあらすじにてアーバスノイヤー家は近衛騎士の一族としておりましたが、バカな作者はその設定を忘れておりました。
分かる範囲ではなおしたのですが、どこかおかしなところがありましたらコメントくださるととても助かります。すみません。
ちなみに王国騎士さんが出てきておりますが、王国騎士さんよりも近衛騎士さんの方が位が高い設定です。
1,179
あなたにおすすめの小説
王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
王太子殿下のやりなおし
3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。
とある時代のとある異世界。
そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。
公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。
王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。
そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。
王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。
王太子は喜び、舞い上がっていた。
これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる!
僕はやっと幸せを手に入れられるんだ!
「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」
あの男が現れるまでは。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる