王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
64 / 422
第2章

重力魔法に興味津々

しおりを挟む


会議が終わったのは何時もの夕食の時間を半刻ほど過ぎた頃。

折角なので皆で夕食を取ろうって事になった。



僕のお隣にはノヴァが座ってて、よく家に来てくれるノヴァの定位置。

にぃ様の隣にはオリヴァーが座ってて心配。

すごく心配。


にぃ様は寛大な人だけど、オリヴァーは我が強く礼儀とか気にしないから…にぃ様の眉間の溝がふかーーくなってしまいそう…



「ヘイズと言えば、あのヘイズ家の家系か。」

席でだら~っとしてるオリヴァーを見て、とーさまがポツリと口にした。


「あぁ~、不愉快でしたら飯詰めてくれたらかえりやすよぉ。」

そんなとーさまのポツリにオリヴァーが一瞬顔を顰めてへらっと笑いながら言う。


オリヴァーは没落貴族のヘイズ家の子孫。

ヘイズ家が没落したのは、昔の当主がとんでもないクズっぷりで領地を重力魔法で領民ごと更地にしてしまったり、酒池肉林したり、奴隷を他国に斡旋したりしてたのが原因。



今でもその悪名は偶に話題になるので、特に貴族はヘイズの名を嫌っている。

小さい頃から差別をされ、恥ずかしい思いを沢山してきたと重力魔法を教わっている間にチラッと聞いた。



確かに今はもうこの世に存在しない昔の当主はクズでゲスだったかも知れないけど、オリヴァーは我が強いだけで、決して悪い人では無い。

すくなくとも僕にとっては。


重力魔法に興味を示した僕を鬱陶しがることなく、依頼した研究の合間に教えてくれたし、なにより彼とは性格の相性がいい。




そう思ったら歳は離れているけれど、彼のことを友人と見ていいのではないだろうか?



「いやそうではない。優れた重力魔法を扱う一族という意味で私は以前より興味があったのでな。」


とーさまは立ち上がろうとしていたオリヴァーを座るように促し、オリヴァーはとーさまの言葉に戸惑った様子でぎこちなく再び椅子にお尻をつけた。




「ルナイス。コルダから報告が上がっている。重力魔法を彼に習ったな。」

突然向けられた矛先にビクッと肩を飛び跳ねさせてしまった。

実は重力魔法が使えるようになった事は秘密にしていたんだ。


いや、昔のことで僕も学んでいるしオリヴァーに教わっているから秘密と言っても、ヨハネスがそばに居たし、コルダが何処かで見ていることもきちんと分かっていたので秘密というのもあれなんだけれども。



「最近コントロールが上達してきましたので、そろそろとーさまとにぃ様にひろーしようと思ってたのです。」

本当のことだけれど、ぎこちないせいでとーさまの目が細まってしまっている。


「…まぁ、いい。重力魔法はコントロールが重要な高度な魔法だ。自身が怪我をしない為、他者を傷つけることのないようにきちんと最後まで習いなさい。オリヴァー・ヘイズ…君は最後まで責任を持ってルナイスに重力魔法を教えてくれるね。」


真剣な瞳でとーさまは僕とオリヴァーに圧をかけてきた。

さすがのオリヴァーも顔を引きつらせながら頷くしかないみたい。
もちろん僕も。



その後はとーさまとにぃ様は重力魔法への興味が溢れてオリヴァーに矢継ぎ早に質問をしながら食事を始め、オリヴァーは顔を引き攣らせながらも自身の重力魔法に興味を抱かれることが嬉しいのか、ちゃんと全部の質問に答える為食事が進んでない。

ちょっと可哀想に思ってそっと近くの使用人につまみやすい物を追加することと、持ち帰り用にいくらか包んでおくように指示を出しておいた。




本当はとーさまとにぃ様に少し注意をしてあげれば良いのだろうけど、3人ともなんだかんだ満足そうなお顔なので口出すのはよろしくないだろう。


ノヴァと美味しいねーって言い合いながら、風船について前世のことも交えながらお話した。


ノヴァは昔の僕の記憶がある事を知ってるから気兼ねなく思い出すままに話せて楽だ。




数日後、ノヴァは風船を研究しすぎて重力魔法と風魔法がより上達したとか怖いこといいだして、彼の家が風船まみれなのだとかって言って風船の束を渡された。

あんまり研究に没頭しすぎてはいけないとよくよく言い聞かせておいたのでした。



しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。 藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!? 「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」 ……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。 スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。 それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。 チート×獣耳×ほの甘BL。 転生先、意外と住み心地いいかもしれない。

【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる

ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。 この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。 ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

神子の余分

朝山みどり
BL
ずっと自分をいじめていた男と一緒に異世界に召喚されたオオヤナギは、なんとか逃げ出した。 おまけながらも、それなりのチートがあるようで、冒険者として暮らしていく。 途中、長く中断致しましたが、完結できました。最後の部分を修正しております。よければ読み直してみて下さい。

【完結】悪役令息⁈異世界転生?したらいきなり婚約破棄されました。あれこれあったけど、こんな俺が元騎士団団長に執着&溺愛されるお話

さつき
BL
気づいたら誰かが俺に?怒っていた。 よくわからないからボーっとしていたら、何だかさらに怒鳴っていた。 「……。」 わけわからないので、とりあえず頭を下げその場を立ち去ったんだけど……。 前世、うっすら覚えてるけど名前もうろ覚え。 性別は、たぶん男で30代の看護師?だったはず。 こんな自分が、元第三騎士団団長に愛されるお話。 身長差、年齢差CP。 *ネーミングセンスはありません。 ネーミングセンスがないなりに、友人から名前の使用許可を頂いたり、某キングスゴニョゴニョのチャット友達が考案して頂いたかっこいい名前や、作者がお腹空いた時に飲んだり食べた物したものからキャラ名にしてます。 異世界に行ったら何がしたい?との作者の質問に答えて頂いた皆様のアイデアを元に、深夜テンションでかき上げた物語です。 ゆるゆる設定です。生温かい目か、甘々の目?で見ていただけるとうれしいです。 色々見逃して下さいm(_ _)m (2025/04/18) 短編から長期に切り替えました。 皆様 本当にありがとうございます❤️深謝❤️ 2025/5/10 第一弾完結 不定期更新

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

処理中です...