王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

パワーアップした指輪

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ばぁやには休憩を取るように告げてノヴァの方へ向かう。
まだまだ元気だけど、時折腰をさすったりするようになった。

ばぁやは生まれた時から唯一傍にいてくれた人なので、長く生きて一緒に居て欲しいから最近は無理をしないように言い聞かせている。



ソファに座るノヴァの頬に頬をつけてご挨拶をした後、向かいのソファに座る。


「ノヴァ来てくれてありがとう。」

「私がルナイスに会いたかったんだ。便りもなく急に来て悪かった。」


謝るノヴァに大きく首を横に振る。

謝罪を受けるなんてとんでもない。
僕は寧ろ感謝しているのだから。



「公爵様から元気だと聞いたが、本当に体に不調はないのか?」


険しい顔をしたノヴァがそう言って、僕をつま先から頭のてっぺんまでじーっと見る。

スキャンされてる。



「大丈夫。…ただ、少しだけ魔力のコントロールがしずらいなって感じるけど。」


基本的には何の問題も無いのだけど…1つ気になっていることをぼそっと呟くとノヴァは「やっぱりか」と頷いた。



「抑えていた魔力を一気に解放したことで、不安定になっているように感じると公爵様やアドルファス様から聞いていた。私も知らせを聞いて、恐らくそういう状態になっているだろうと思っていたんだ。」


ノヴァの言葉にとーさま達が気づいていたのだと驚いた。

小さい頃から僕の魔力循環を根気強くしてくれていたお二人だから僕の魔力に敏感なのかもしれない。




「ルナイス、指輪を貸してくれるか。その間はこれに触れていてくれ。」

貸してくれるかって質問系だったけど、有無を言わさない差し出された球体とノヴァの掌。

僕は素直に水晶みたいな透明な球体に触れながら指輪を嵌めている右手を差し出した。




僕の右手の人差し指から指輪を抜き取ったノヴァは、指輪をぎゅっと握り込み目を閉じた。

握られたノヴァの掌からは青白い光がぽわっとしている。


そんなノヴァの姿がとっても綺麗で思わずぽーっと見惚れてしまう。





「…ふぅ…ルナイス手を。」


魔法を掛け終わったのか、ノヴァがそう言うので右手を差し出す。



「水晶体から手を離して。…どうだ?」


右指人差し指に指輪が嵌められ、指示されるままに水晶体から手を離す。







「うん。気持ち悪いのなくなった!」


一瞬魔力がぐりゅんってなってぶっ倒れるかと思ったけど、本当に一瞬ですぐに魔力が安定してスッキリした。

便秘が治った感じ。



「何したの?」


「付与魔法の強化だ。保護魔法の1種だ。」


ノヴァの返答にへぇ~って声しかでない。

パッと見指輪に変わった感じは無い。
変わらずファイアオパールがキラキラと輝いて綺麗だ。



「ありがとう!」

とにかく、ノヴァのおかげで不安定で気持ち悪い感じがなくなったからお礼を告げる。







「ノヴァは今回のことどれくらい知ってる?」

僕の体調も万全になったところで、用意された紅茶を飲みながらあの日のことについて尋ねてみた。



ノヴァがこっちに来る用事っていうのは十中八九あの悪鬼事件についてだと思うし。
当事者として少しくらいは詳細が知りたいところだ。




「悪鬼達は何者かによって強制的に動かされていた。それは、ルナイスが多くの悪鬼を生きて捉えてくれたおかげだ。」


「他で出現した悪鬼は?」



「生きて捉えられた悪鬼は少なかったと聞いた。」





あの時は自分の近くのことで精一杯だったから知らなかったけど、やっぱり殺されてしまった悪鬼が多かったようだ。

にぃ様達の所ではどんな風だったのかも気になる。
後で時間をもらえたら聞いてみよう。

ノヴァが何者かによってっと言ったということは、未だ黒幕は分かっていないのだろう。



生物を操る術となると…呪術あるいは魅了などの類だろう。





「悪鬼達はどうなるの?」


「解術され協会の神父達と連携して強固な結界の中に閉じ込めている。なんらかの方法で殺されてしまっては何の情報も得られないからな。…私も可能な領域で彼らの記憶を除いてみたが…犯人に繋がる情報にはノイズが入っていた。」



ちょっと悔しそうに舌打ちをするノヴァ。

悪鬼達が必死に抗おうとしていたのを分かっているだけに、彼らはなるべく手厚く保護して欲しいと思う。






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