王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

伝達係たま

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それにしてもノヴァほどの魔法師の術が妨害されるなんて…。

予想以上に大物が裏に居そうな予感にげっそり。



「ルナイスにも話を聞きたいという声が上がっていた。もちろん公爵様同席のもとで、ということになる。」


「うん。悪鬼達の様子ももう一度きちんと見たいんだけど…」



事情聴取が僕の方にも話がくるだろうと思っていたし、とーさまが同席して下さるのなら心配することは何もない。

それよりもやっぱり、僕は悪鬼達の様子が気になっている。




「分かった。私が同伴であればスムーズに悪鬼達の結界内に入れる。話が終わったら公爵と一緒においで。」


ノヴァがそう言ってくれたので、お言葉に甘えることにする。

悪鬼達の所へ行くのに、傍にノヴァもとーさまも居るのならとっても安心。





ノヴァはこれからしばらくは今回の事件のことでこっちに滞在する予定らしい。

王都へは宿泊したくないからアーバスノイヤーの領地で宿泊する予定だと言うから、それなら家に泊まりなよっとお誘いした。


ノヴァは渋ったけど、僕が問答無用で扉の傍に待機していたヨハネスにすぐにとーさまに許可を貰うよう通達したのでノヴァは諦めて「よろしく」と笑った。



うん。
とーさま絶対ダメって言わないし。

なんなら、たぶん家に泊まれって命令する。


ノヴァには僕を助けて貰って、魔法についても教えてもらっている恩義があるからね!







談話室で引き続きお話しつつランチを一緒に取っていると扉がノックされアーバスノイヤーの伝達係、たまが顔を覗かせた。


「当主様からノヴァ・ウォード様へのご伝言です。『必要な物は使用人に言うといい。今日は私もアドルファスも夕飯に間に合わないので、ルナイスと一緒に夕飯をとるように。』とのことです。それからルナイス様へのご伝言もお預かりしております。『明後日、事情聴取がある。迎えをよこすから用意していなさい。』とのことです。以上ですが、何かご伝達することはございますか?」



たまは昔僕を殺しにきた刺客で、依頼主をすんなり答えたことと、依頼を受けざるを得ない状況(妹を人質にされていた)だったことから減刑され2年間の無給労働を言い渡された。

もちろんとーさまは人質にされていた妹さんを救出し、二人に屋敷の一室を与え、衣食住は提供した。


そうしてアーバスノイヤー独自の刑期を終え、晴れて自由の身となった、たまだけどこれからもアーバスノイヤー家に仕えさせてくれと土下座をして一日門の前に居た。

とーさまは放っておけと言っていたけど、たまの横にポピー(たまの妹)が兄を見て一緒に座り込んでいてずっと居るから仕方なく僕が拾い受けることにした。





きちんととーさまにも説明をして、たまは決してアーバスノイヤー家の者を傷つけられず裏切れない、恐ろしい契約書にサインをすることでアーバスノイヤー家で仕えることを許された。

ポピーはまだ幼いし、彼女は被害者でもあるので契約書にサインはさせていない。
でも兄の様子を見て理解しているのか、自分ができることは率先してお手伝いをしたりしている。


今度チルと遊ぶ時、連れて行ってみようかな…。





「公爵様にお礼を伝えておいてくれ。」

ぼぉっとたまとの出会いから従者になるまでを振り返っていると苦笑いしたノヴァがたまに告げた。

僕もはっと我に返って了解しましたって伝えてっと言っておいた。






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