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第3章
徒競走アヴィオ!
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ノヴァの方へ体を向けるとすぐに両手を広げてくれたので、そこに飛び込みハグをする。
「これから徒競走だったか。」
「うん。」
「怪我をしないようにな。」
「うん。」
静かに耳元で話してくれるのが安心するけど、くすぐったい。
「ルナイス、俺には挨拶なしか?」
ノヴァとほのぼのお話を楽しんでいたのに、邪魔をしてきたのはヒュー様。
「チル!遠いのに来てくれてありがとぉ。ヒュー様ご機嫌よう。何で来たの?チルを連れて来てくれたのは嬉しいけど、暇なの?」
「おっまえなぁ…暇なわけないだろ?昔から可愛がってる弟の勇姿を見に来たに決まってるだろ?」
ヒュー様の隣にいたチルを抱き上げてからヒュー様に殿下や初対面のエイド様には聞けなかった暇なのですかっという疑問を投げかけた。
ヒュー様は暇じゃないけど、僕を見に来てくれたらしい。
その気持ちの本当のところが揶揄いなのかどうかはさておき…
「あのお二人はなぜ?」
「あー…俺達がお前の話をしているのを聞いて会わせろって言われてたんだが無視してたら、今日だったら会えるだろうって着いて来た。アドルファスと俺は呼んでねーよ?」
こそっとヒュー様に殿下とエイド様について聞くと、自分達は呼んでないと主張する。
そんなに部下の弟が見たくなるような話をにぃ様達はしていたのだろうか?
どんな話をしていたかは…今は聞く時間がないので、また後で必ず聞くとしよう。
「ルナイス様、チル来るの迷惑だった?」
「そんなことないよぉ。チルが応援してくれるなんて面倒臭い競技会も頑張ろうって思えるよぉ。」
僕とヒュー様の会話や僕の様子を見て不安になったのか、チルが瞳をうるうると潤ませてそんなことを聞いてくるのですぐさま、そんなことはないと抱きしめる。
「チルに対する態度からアドルファスがいかにルナイスを猫可愛がりしてたかが伝わってくるな。」
「愛していることを伝えるのは家族だからこそ大切なことだと思う。」
「それを恥ずかしがらずに当たり前にできるのが、アーバスノイヤー家のすごいところだよな。」
チルをぎゅーぎゅー抱きしめる僕の傍でにぃ様とヒュー様が何やらお喋りしているが、僕にはあんまり関係なさそうなことかなと判断し、チルを可愛がるのに専念する。
「ルナイス、そろそろ戻るぞ。」
チルと遊んでいるとテトラ君から声を掛けられたので、皆に挨拶をしてから元居た場所に戻る。
丁度徒競走の前の競技が終わる頃で、低学年の子たちがダンスを終えて可愛く退場していく姿が見えた。
僕達が小学年の時は、学園で色々あったし、位の高い貴族の子息令嬢が多かった為、競技会は不参加となった。
にぃ様が小さい頃も、僕は1歳児で魔力も安定していなかったから見れなかった。
とーさまはにぃ様が参加するところだけお忍びで見に行ったらしいけど。
にぃ様は僕のダンスなどが見れなくて残念だと言っていたなぁ。
だからと言って、今の僕が可愛く踊って見せてもあの可愛さは出ないし、何なら今の僕が踊ったところで……否……にぃ様なら今の僕が踊っても喜びそう…。
うん…このことは考えなかったことにしよう。
「ルナイス様、行きましょう。」
ぼぉっと考え事をしているとオスカル君に声を掛けられて慌てて立ち上がり徒競走へ向けて指定されている位置へ移動する。
徒競走はクラスごとに競うのだけど、剣や武術を使っての妨害や危険行為は禁止。
魔法を使って自分が早くゴールへ辿り着くのはあり。でも転移魔法はだめ。
最初僕は影から影に映ってゴール付近まで行けばいいと思っていたけど、あまり闇魔法は歓迎されないことと転移魔法と同等だからダメだろうってとーさまに言われた。
確かにあれ使っちゃうと僕が闇魔法の適合者ですよーって言っちゃうようなもんだもんね。
んー…いい顔されないってだけで、闇魔法使える人は死刑ってわけでもないからもうバラしちゃってもいいと思うのは僕だけ?
まぁ、そんなこんなで闇魔法系は使えない僕。
お茶にお誘いしたオリヴァーに『どうしたらいいと思う?』と相談したら『重力魔法と浮遊魔法使えば?』と言われた。
重力魔法で僕の周りの重力を無くして、浮遊魔法でゴールまでびゅーんってしたらいいじゃん?って提案に僕は飛びついた。
「これより中学年による徒競走を開始する。…アヴィオ!」
お決まりの始まりの掛け声で、オスカル君が走り出す。
走るというか…滑る?
氷魔法で道を作って滑って移動してる。
そんなオスカル君の氷に乗っかって滑る生徒が何名か。
これは自ら氷の上に乗っているので妨害には当たらず、オスカル君はぐんぐん進んで行く。
「策士だ。」
「本当にあいつにお似合いの魔法だよな。」
絶対あれ、こうなるって分かっててやってるよ。
同学年の生徒がすっころんでるのは
なんで?授業でも何度もオスカル君の氷魔法見てるでしょ?って思うけど、僕達より下の歳の子達は可哀想。
オスカル君が手を合わせた次の走者は騎士を目指している子でぐんぐん自分の足で進んでいく。
恐らく彼は身体強化の魔法を自身にかけているのだと思う。
しかし別のクラスの子も同じように身体強化を使っていて、その子の方が大柄でガタイもよくぐんぐん近づいていき、抜いて行ってしまった。
悔しそうな顔をしながらも次の走者まで無事につないで次の子が走る。
ついにテトラ君が走る時がきた。
テトラ君は手を合わせてすぐにビューンと走り出した。
もう本当にビューンって。
身体強化を使って走り抜け一位を走っていた子をあっという間にぬかし、しばらくしたら身体強化を解いて自身の脚力だけで走っていたけれど、それでも後ろの子がぬかせないほど速かった。
「これから徒競走だったか。」
「うん。」
「怪我をしないようにな。」
「うん。」
静かに耳元で話してくれるのが安心するけど、くすぐったい。
「ルナイス、俺には挨拶なしか?」
ノヴァとほのぼのお話を楽しんでいたのに、邪魔をしてきたのはヒュー様。
「チル!遠いのに来てくれてありがとぉ。ヒュー様ご機嫌よう。何で来たの?チルを連れて来てくれたのは嬉しいけど、暇なの?」
「おっまえなぁ…暇なわけないだろ?昔から可愛がってる弟の勇姿を見に来たに決まってるだろ?」
ヒュー様の隣にいたチルを抱き上げてからヒュー様に殿下や初対面のエイド様には聞けなかった暇なのですかっという疑問を投げかけた。
ヒュー様は暇じゃないけど、僕を見に来てくれたらしい。
その気持ちの本当のところが揶揄いなのかどうかはさておき…
「あのお二人はなぜ?」
「あー…俺達がお前の話をしているのを聞いて会わせろって言われてたんだが無視してたら、今日だったら会えるだろうって着いて来た。アドルファスと俺は呼んでねーよ?」
こそっとヒュー様に殿下とエイド様について聞くと、自分達は呼んでないと主張する。
そんなに部下の弟が見たくなるような話をにぃ様達はしていたのだろうか?
どんな話をしていたかは…今は聞く時間がないので、また後で必ず聞くとしよう。
「ルナイス様、チル来るの迷惑だった?」
「そんなことないよぉ。チルが応援してくれるなんて面倒臭い競技会も頑張ろうって思えるよぉ。」
僕とヒュー様の会話や僕の様子を見て不安になったのか、チルが瞳をうるうると潤ませてそんなことを聞いてくるのですぐさま、そんなことはないと抱きしめる。
「チルに対する態度からアドルファスがいかにルナイスを猫可愛がりしてたかが伝わってくるな。」
「愛していることを伝えるのは家族だからこそ大切なことだと思う。」
「それを恥ずかしがらずに当たり前にできるのが、アーバスノイヤー家のすごいところだよな。」
チルをぎゅーぎゅー抱きしめる僕の傍でにぃ様とヒュー様が何やらお喋りしているが、僕にはあんまり関係なさそうなことかなと判断し、チルを可愛がるのに専念する。
「ルナイス、そろそろ戻るぞ。」
チルと遊んでいるとテトラ君から声を掛けられたので、皆に挨拶をしてから元居た場所に戻る。
丁度徒競走の前の競技が終わる頃で、低学年の子たちがダンスを終えて可愛く退場していく姿が見えた。
僕達が小学年の時は、学園で色々あったし、位の高い貴族の子息令嬢が多かった為、競技会は不参加となった。
にぃ様が小さい頃も、僕は1歳児で魔力も安定していなかったから見れなかった。
とーさまはにぃ様が参加するところだけお忍びで見に行ったらしいけど。
にぃ様は僕のダンスなどが見れなくて残念だと言っていたなぁ。
だからと言って、今の僕が可愛く踊って見せてもあの可愛さは出ないし、何なら今の僕が踊ったところで……否……にぃ様なら今の僕が踊っても喜びそう…。
うん…このことは考えなかったことにしよう。
「ルナイス様、行きましょう。」
ぼぉっと考え事をしているとオスカル君に声を掛けられて慌てて立ち上がり徒競走へ向けて指定されている位置へ移動する。
徒競走はクラスごとに競うのだけど、剣や武術を使っての妨害や危険行為は禁止。
魔法を使って自分が早くゴールへ辿り着くのはあり。でも転移魔法はだめ。
最初僕は影から影に映ってゴール付近まで行けばいいと思っていたけど、あまり闇魔法は歓迎されないことと転移魔法と同等だからダメだろうってとーさまに言われた。
確かにあれ使っちゃうと僕が闇魔法の適合者ですよーって言っちゃうようなもんだもんね。
んー…いい顔されないってだけで、闇魔法使える人は死刑ってわけでもないからもうバラしちゃってもいいと思うのは僕だけ?
まぁ、そんなこんなで闇魔法系は使えない僕。
お茶にお誘いしたオリヴァーに『どうしたらいいと思う?』と相談したら『重力魔法と浮遊魔法使えば?』と言われた。
重力魔法で僕の周りの重力を無くして、浮遊魔法でゴールまでびゅーんってしたらいいじゃん?って提案に僕は飛びついた。
「これより中学年による徒競走を開始する。…アヴィオ!」
お決まりの始まりの掛け声で、オスカル君が走り出す。
走るというか…滑る?
氷魔法で道を作って滑って移動してる。
そんなオスカル君の氷に乗っかって滑る生徒が何名か。
これは自ら氷の上に乗っているので妨害には当たらず、オスカル君はぐんぐん進んで行く。
「策士だ。」
「本当にあいつにお似合いの魔法だよな。」
絶対あれ、こうなるって分かっててやってるよ。
同学年の生徒がすっころんでるのは
なんで?授業でも何度もオスカル君の氷魔法見てるでしょ?って思うけど、僕達より下の歳の子達は可哀想。
オスカル君が手を合わせた次の走者は騎士を目指している子でぐんぐん自分の足で進んでいく。
恐らく彼は身体強化の魔法を自身にかけているのだと思う。
しかし別のクラスの子も同じように身体強化を使っていて、その子の方が大柄でガタイもよくぐんぐん近づいていき、抜いて行ってしまった。
悔しそうな顔をしながらも次の走者まで無事につないで次の子が走る。
ついにテトラ君が走る時がきた。
テトラ君は手を合わせてすぐにビューンと走り出した。
もう本当にビューンって。
身体強化を使って走り抜け一位を走っていた子をあっという間にぬかし、しばらくしたら身体強化を解いて自身の脚力だけで走っていたけれど、それでも後ろの子がぬかせないほど速かった。
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