王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第3章

始めましてのご挨拶

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障害物が終わり、オスカル君が僕達のいる所まで帰ってきた。



「悪い癖がでちゃった。」

あははっと頭を掻きながらそう言うオスカル君にクラスメイトから「すごかった!」「本当に楽しそうにしてたね」「相変わらず戦闘狂すぎる!」などなど沢山の声がかけられる。


そんな声にあはははーっと笑いながら僕の隣に腰を下ろしたオスカル君は小さな声で「負けちゃった」と呟いた。



まだ悔しさが心の中にあるのだろう。



「でも楽しめたんでしょ?」


「はい。」


「ならいいんじゃないか。実践だったら死んでるけどな。」


「あはは、確かに。」



僕の言葉に頷いたオスカル君の表情は満足気。


テトラ君のぐさっとする言葉には苦笑いをしつつも、気持ちが切り替わったのか先ほどよりも穏やかな顔つきになっている。









「お昼前に中学年の徒競走ですね。それまで時間がありますけど…見学してますか?」


「んー…」


オスカル君の言葉にどうしようかなぁっと悩む。

今からお昼の徒競走までは低学年の部で、ほんわかタイムなのだ。


見ててもいいのだけど…僕眠っちゃいそう。



来年はチルが学園に入学する予定だから、その時はチルの勇姿を見届けたい。




「ルナイスは父上方に挨拶をしなくていいのか?」


「んー…あの面子は挨拶した方が…いいよね。」


考える僕にテトラ君が肘で小突いてくる。

それはちょっと気づいてないふりをしようか、どうしようかと悩んでいたところで…テトラ君に言われてやっぱりあの面子はスルーできないよねぇっと項垂れる。





「あ、そうだ…それじゃあ行こうか。」


「おい!」

「ままま待って待って!!」



一人で挨拶に行くのは何だか面倒なので、二人を巻き込もうと思いつき、誘っても断られるのが分かっているので二人の手首を掴み強制的に連行。

でもそこは学年でも身体能力トップクラスの二人。



僕の腕力何て通用しないので、踏ん張られると前に進めない。


なので僕は、彼らの足元に風魔法を使い強制的に前へ進ませる。




だけど魔法もトップクラスな二人。

すぐに阻害魔法で消そうとしてくるので、とーさま達の所へ辿り着く頃には三人ともぜーはー息を荒げていた。










「何してるんだお前ら。」


そんな僕らを見てヒュー様が呆れた様子で言う。



「ふぅ…ありがとうございますにぃ様。」


「「ありがとうございます!」」



無言で自然に僕の汗をハンカチで拭きとり、飲み物をすっと差し出してくれたスパダリ系にぃ様。

同じように家の使用人達から飲み物を差し出されたテトラ君とオスカル君は背筋を伸ばしてお礼を言っている。




一般的によそのお家の使用人であっても、使用人に敬語で話すことはないのだけど二人が以前アーバスノイヤー家の使用人は例外だと言っていたなっと思い出す。

『強い相手には身分はどうであれ敬意を示す』っという理由らしい。





「ぁ…クラージュ殿下、御尊顔を拝し、恐悦至極に存じ奉ります。」

にぃ様から受け取った飲み物を呑気に飲んでいるとツンと脇腹をテトラ君に突かれてはっと我に返った。

慌てて王太子殿下に挨拶をした僕の後ろで僕と同じように二人も礼を取ったのだと思う。



「うん。楽にしてくれ。今日は世話になっている側近の弟君の競技会と聞き、興味があったのでこうして一緒に見学をさせてもらっている。主役は君達であるから、私のことは気にせず楽しんでくれ。」

挨拶をした僕達にクラージュ殿下はニコリと微笑み、優しい声色で返してくれたのでもう一度深く礼をして次ににぃ様の裾をくいくいと引っ張る。




「にぃ様、あの御仁は?」


先ほどオスカル君から聞いているけれど、にぃ様からは聞いていないし、ここは知らないってことでにぃ様に小さな声でそっと尋ねる。



「あぁ、ルナイスに会わせたことはなかったな。エイド。弟のルナイスだ。」


「やっと紹介してくれたね。初めましてルナイス君。僕はファクター公爵家次男エイド・ファクターだ。エイドとでも呼んでくれ。君の兄とは学園に入学する前からの付き合いだけれどなかなか君に会わせてくれないのに弟の話はすごくしてくるからもう興味津々でね。こうして会えて嬉しいよ。」


「ルナイス・アーバスノイヤーです。」




手を差し伸べられたので、僕も手を出せば優し気な顔からは想像できないほどゴツゴツとした男の人らしい手に握られびっくりした。

何とか表情には出さずにいられたが、つい手をぎゅっぎゅっと握って感触を確かめてしまったので、エイド様にふふっと笑われてしまった。




「それからテトラ・ハデス君にオスカル・ノルデン君だね。君達も剣、魔法共に優秀な成績を収めていると聞いている。先ほどはオスカル・ノルデン君の素晴らしい技術を見たよ。将来が楽しみだ。」


「あぁぁああありがとうございます!!!」


「光栄です。」



僕の手を離した後にテトラ君とオスカル君にも手を差し出した殿下に褒められて、オスカル君はすっごくアワアワしている。



テトラ君は普通。

でも握られた手を凝視していたから、エイド様が強い人であると認識したようできちんとしている。
(弱くて敬う必要なしと判断したら相手が誰であっても興味ありませんって態度を隠さない)








こうして初めましてのエイド様との挨拶も終えたところでとーさまとハグ。


「こんなに来るなんて聞いてません。」


「すまん。私も予想外に増えて驚いている。」


とーさまにだけ聞こえる小さな声でハグしながら小言を言うと、とーさまは苦笑いでとーさまも予想外の人物と参観することになったのだと知る。

なのでこれ以上ぐちぐちと言うのは止めて、次はノヴァのもとに。






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