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第3章
愛し子の想い人sideホルス【番外編】
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野蛮な人間と魔族共に情けなくも傷を負わされ、地に伏して身を潜めている所をアーバスノイヤー家の子であるルナイスに救われて数年。
昔からアーバスノイヤーとは不思議な縁があるが、龍神の加護を受けている子に出会うのは初めてのことであった。
そもそも龍神は我らのようなドラゴンや竜などを庇護する神であって、人間へ加護を与えるなどということは父や祖父からも聞いたこともない。
その為、龍神の愛し子が誕生したことは分かっていたが誰も見つけられずにいたのだ。
例え愛し子が龍の子でなくとも、龍神からの加護を受けていることは間違いなく、龍神の愛し子は守らなければならないと本能的な部分で感じている。
ドラゴンや竜は人間と違って神との距離が近い。(物理的には遥か遠いが…)
色々あってルナイスから離れている期間中、何度も脳へ龍神の声が響きイライラしたことを思い出し、イライラする。
「早くルナイスの元へ戻れ」と龍神が五月蠅かったのだとルナイスへ愚痴ってもルナイスは首を傾げるばかり。
「神様とお話ってできるんだ。」
と言うルナイスの発言で、ほとんどの人間が神とは交信できないことを思い出した。
龍神の愛し子であるルナイスでさえ交信はできていないようだが…そのうち我慢できなくなった龍神がどうにかしてコンタクトを取るのではないかと予測している。
龍神の愛し子であるルナイスは愛し子であるから…という理由だけでなく守ってやらねばっと思わせる子であった。
どうやら前世の記憶持ちのようで、なかなかに愛に飢えた複雑な心の器を持つ子のようだった。
前世ではその器を上手く満たすことができず、それが今世にも影響しているらしいが、父や兄、周りの者達がその複雑な形の器を上手に満たしていた。
それでも未だに心を堕としてしまうことがあるようだが、そんな時には我がそっと寄り添おう。
そんな繊細で複雑な愛し子には、好いている者がいることに最近気が付いた。
「ノヴァ…国王様から王女様との婚約の提案があったって本当?」
「…確かにあったが断った。」
「断れたの?」
「魔力差がありすぎて、ついうっかり殺してしまってはお互いに良くないと伝えたらすんなりと。」
「ふぁー。」
何気なく聞いているが、ノヴァに王女との婚約の打診があったと耳にした時は数秒固まり『王女いたの?婚約?…ノヴァと?…え?…は?』とぶつぶつと呪詛のような呟きをし、すぐにノヴァと会う予定を立てていたのを我は知っているが、この事はノヴァには秘密にしといてやるべきだろう。
そして落ち着くために我の胸に顔を埋め、しばらくくっついて離れなかったこともノヴァには言わないほうがいいであろう。
ルナイスは気が付いていないが、ノヴァはルナイスに好意を寄せている。
偶に我に見惚れるルナイスをしかめっ面して見ているが、ルナイスは気づかない。
ふぁーっとよく分からない返事をするルナイスだが、どうやらノヴァの対応にご満悦のようで、先ほどよりも楽しそうな雰囲気である。
二人はルナイスの体質を小さい頃からノヴァが診てきたこともあってだろう…基本的に物理的な距離が近い。
それに二人がよく話す内容は魔法について。
なので、最近まであれが二人の通常の距離感だと思っていたのである。
それが番として求めているのだと気が付いてからは、どうしてお互いに想い合っているというのに番にならないのかと不思議でしょうがないが、このことについては口にせずお節介をやかないことを口酸っぱくヨハネスから言われた。
どうやら我が口にして、二人が番ってしまったら今でも少ないルナイスとの時間が更に短くなるとアドルファスが言っているらしい。
まったく仕方のない兄である。
だが、この兄弟愛も一方通行でないのだから見ていて面白い。
与えてやりたがりの兄と貪欲に求める弟。
ルナイスがアーバスノイヤー家の元に産まれたのは、もしや龍神が何かしら手を加えたのではと予想するが、このことについては我もわざに龍神へ問うことはないし、問うたとて龍神も答えはしないだろう。
さっさと番えばいいと思いながらも、我に懐くルナイスをもう少し堪能したい気持ちもあるので…
しばらくの間は我も気が付かないふりをしていよう。
「…ルナイスはよくホルス様に見惚れているな。」
「え?…あぁ…あの肉体美と色気ある容姿が凄く好きでね…ついつい見惚れちゃうんだ。そうだ!ノヴァもホルス様の胸筋触らしてもらってみたら?すごいんだよ。」
「…そうか。」
ノヴァの嫉妬に気が付かず、更には我にノヴァも触れてみろっと告げるルナイスにノヴァは密かに自身の胸元に視線を向けていた。
その日の夜、ルナイスが眠っているのを見守っていると部屋にやってきたルグノスよりノヴァがホルス様のような肉体になるにはどう鍛錬を積めばいいのかと問われたが何があったのかと聞かれたのだった。
side end
昔からアーバスノイヤーとは不思議な縁があるが、龍神の加護を受けている子に出会うのは初めてのことであった。
そもそも龍神は我らのようなドラゴンや竜などを庇護する神であって、人間へ加護を与えるなどということは父や祖父からも聞いたこともない。
その為、龍神の愛し子が誕生したことは分かっていたが誰も見つけられずにいたのだ。
例え愛し子が龍の子でなくとも、龍神からの加護を受けていることは間違いなく、龍神の愛し子は守らなければならないと本能的な部分で感じている。
ドラゴンや竜は人間と違って神との距離が近い。(物理的には遥か遠いが…)
色々あってルナイスから離れている期間中、何度も脳へ龍神の声が響きイライラしたことを思い出し、イライラする。
「早くルナイスの元へ戻れ」と龍神が五月蠅かったのだとルナイスへ愚痴ってもルナイスは首を傾げるばかり。
「神様とお話ってできるんだ。」
と言うルナイスの発言で、ほとんどの人間が神とは交信できないことを思い出した。
龍神の愛し子であるルナイスでさえ交信はできていないようだが…そのうち我慢できなくなった龍神がどうにかしてコンタクトを取るのではないかと予測している。
龍神の愛し子であるルナイスは愛し子であるから…という理由だけでなく守ってやらねばっと思わせる子であった。
どうやら前世の記憶持ちのようで、なかなかに愛に飢えた複雑な心の器を持つ子のようだった。
前世ではその器を上手く満たすことができず、それが今世にも影響しているらしいが、父や兄、周りの者達がその複雑な形の器を上手に満たしていた。
それでも未だに心を堕としてしまうことがあるようだが、そんな時には我がそっと寄り添おう。
そんな繊細で複雑な愛し子には、好いている者がいることに最近気が付いた。
「ノヴァ…国王様から王女様との婚約の提案があったって本当?」
「…確かにあったが断った。」
「断れたの?」
「魔力差がありすぎて、ついうっかり殺してしまってはお互いに良くないと伝えたらすんなりと。」
「ふぁー。」
何気なく聞いているが、ノヴァに王女との婚約の打診があったと耳にした時は数秒固まり『王女いたの?婚約?…ノヴァと?…え?…は?』とぶつぶつと呪詛のような呟きをし、すぐにノヴァと会う予定を立てていたのを我は知っているが、この事はノヴァには秘密にしといてやるべきだろう。
そして落ち着くために我の胸に顔を埋め、しばらくくっついて離れなかったこともノヴァには言わないほうがいいであろう。
ルナイスは気が付いていないが、ノヴァはルナイスに好意を寄せている。
偶に我に見惚れるルナイスをしかめっ面して見ているが、ルナイスは気づかない。
ふぁーっとよく分からない返事をするルナイスだが、どうやらノヴァの対応にご満悦のようで、先ほどよりも楽しそうな雰囲気である。
二人はルナイスの体質を小さい頃からノヴァが診てきたこともあってだろう…基本的に物理的な距離が近い。
それに二人がよく話す内容は魔法について。
なので、最近まであれが二人の通常の距離感だと思っていたのである。
それが番として求めているのだと気が付いてからは、どうしてお互いに想い合っているというのに番にならないのかと不思議でしょうがないが、このことについては口にせずお節介をやかないことを口酸っぱくヨハネスから言われた。
どうやら我が口にして、二人が番ってしまったら今でも少ないルナイスとの時間が更に短くなるとアドルファスが言っているらしい。
まったく仕方のない兄である。
だが、この兄弟愛も一方通行でないのだから見ていて面白い。
与えてやりたがりの兄と貪欲に求める弟。
ルナイスがアーバスノイヤー家の元に産まれたのは、もしや龍神が何かしら手を加えたのではと予想するが、このことについては我もわざに龍神へ問うことはないし、問うたとて龍神も答えはしないだろう。
さっさと番えばいいと思いながらも、我に懐くルナイスをもう少し堪能したい気持ちもあるので…
しばらくの間は我も気が付かないふりをしていよう。
「…ルナイスはよくホルス様に見惚れているな。」
「え?…あぁ…あの肉体美と色気ある容姿が凄く好きでね…ついつい見惚れちゃうんだ。そうだ!ノヴァもホルス様の胸筋触らしてもらってみたら?すごいんだよ。」
「…そうか。」
ノヴァの嫉妬に気が付かず、更には我にノヴァも触れてみろっと告げるルナイスにノヴァは密かに自身の胸元に視線を向けていた。
その日の夜、ルナイスが眠っているのを見守っていると部屋にやってきたルグノスよりノヴァがホルス様のような肉体になるにはどう鍛錬を積めばいいのかと問われたが何があったのかと聞かれたのだった。
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