王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第3章

アーバスノイヤー家の兄弟についてsideテトラ【番外編】

俺はあまり好かれる人間ではない。



理由は分かっている。
俺の物言いが明け透けだからだ。

領地では領主であり辺境伯の息子である俺に注意する人物はいなかった。
両親もそんな俺を偶に注意するくらいで、明け透けな物言いも俺の個性だと言うような人達であった。




住み慣れた領地を出て、学園に通いだしたことで自分の物言いが人によっては高圧的と感じるのだと理解したが、理解したところで今更そう簡単に変えられるものではない。





校内見学の際にルナイスに不躾な質問をし、グリシャム先生にも叱られ、その後アドルファス様とヒュー様からもきつく叱られ、何故かいつの間にやらルナイスの友人となったが…今はあの時ルナイスに声をかけていてよかったと思う。



もちろん利があるからという理由からではなく、ルナイスは明け透けな物言いの俺から距離を取らず、面白がってくれている。
あまりにも配慮のない物言いをしてしまった時は、きちんと注意をしてくれるし…学生生活を楽しめているのはルナイスのお陰だと感じているから。










そんな友人ルナイスは、兄に負けず劣らず兄弟馬鹿だ。


「あのご令嬢、僕が横に居たのに挨拶もないどころか存在しないように扱った挙句、僕を逞しい脂肪の塊で弾いてにぃさまの腕に分厚い脂肪を押し付けてさ…ほんっと馬鹿。まぁ?にぃ様がそんなご令嬢に靡くわけないですしぃ?『そのご自慢の脂肪の塊を切り落としてやろうか?』って凄む素敵なにぃ様にあんな人が似合うわけないですしぃ?」



普段あんまり喋らないし、無表情であることが多いルナイスがめちゃくちゃ早口で捲し立てる。

最近社交の場に参加することが増えたルナイスは、兄であるアドルファス様にアプローチをかけるご令嬢とよく揉めているのだが、先日の社交界でも何やらひと悶着あったらしい。


そうした鬱憤を学園でこうしてよく俺やオスカルにぶつぶつと言ってくる。

怒りが爆発すると意外と口が悪くなるルナイスを見るのは面白いので、聞く分にはいいのだが…ここの所ルナイスを害そうと動く令嬢の話を耳にする機会が増えている。




まぁ…あのアドルファス様のことだ。
傍にはノヴァ様もホルス様もいらっしゃるのだし、近々何かしら対策の為動かれるだろうから俺がそこまで心配する必要はないだろう。




しかしまぁ…




「そろそろ兄離れをしたらどうだ。」


「…まだ早い。」


兄弟仲が良いのは良い事だと思うが、アーバスノイヤー兄弟は仲が良いではすまないように感じる。

に近い。



それが良いことだとは俺は思わないが、ルナイスは需要と供給が奇跡的に合っているだけだと言い切る。

アドルファス様はルナイスに構いたいし、ルナイスを害そうとするものに異常なまでの怒りを覚え、ルナイスはアドルファス様に構われたいし、異常なくらいに心配をされるのが心地よいのだと言う。



アドルファス様はルナイスを害するもしくは蔑ろにする危険性のある人物をアーバスノイヤー家の妻として迎えるわけにはいかないとして、未だ婚約者はいない。

ヒル家のヒュー様も最近までいた婚約者が他のご令嬢と共謀してルナイスを害そうとしたことに怒り、婚約を破棄したというのは貴族界でここ最近大きく話題となった話だ。




そのご令嬢曰く『アーバスノイヤー家のご子息として守られるばかりの人間は相応しくない。』とのこと。

どうやらルナイスを可愛がるヒュー様を見て、ルナイスへ酷く嫉妬していた様子だったそうだ。



この話は大きく話題に上がった為、ルナイスの耳にも入りルナイスは落ち込んでいた。

自分の存在があったせいで色んなことが滅茶苦茶になっているのではないかと。




そんな落ち込むルナイスにヒュー様が『自意識過剰め。お前は神か?只の人間だろうが。刃も持たぬ子に大人が大勢で集って傷つけようと企む輩などヒル家には相応しくなかったから排除したのだ。むしろ結婚する前に相手がそういう人間だと分かって良かったんだ。』と言い聞かせたそうな。

アドルファス様とヒュー様に慰めに慰められて復活したルナイスは


「そうだよね。僕悪くないよね?」


と、自己肯定を高め持ち直した様子だった。







「ところで、どんな人間だったらアドルファス様との結婚を認めるんだ?」


「ん?そんなの僕よりもにぃ様を大切に思ってて、にぃ様も守れる人じゃないと駄目だよ。」



「…そうか。見つかるといいな。」



「見つかるよ。にぃ様は優良物件だもの。」



俺がした質問に即答したルナイスはそう予言めいた発言をするが、果たしてそんな人物は現れるのだろうか?




「にぃ様が甘えられる人じゃないと…僕の大切なにぃ様はあげない。」


ちょっと寂しそうにそういうルナイスの呟きは聞こえなかったふりをした。






後日、アドルファス様と会う機会があったので、ルナイスが言っていたことを教えるとアドルファス様は途端に破顔した。

とても嬉しそうにしていたので、伝えてよかったと思う。






side end

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